日本独自のカルチャーとして「メイドカフェ」は広く定着しましたが、最近ではそれに類する「執事カフェ」なるものもあるそうです。メイドも執事も、日常生活ではまずお目にかかれない存在なので、機会があればぜひ行ってみたいものですね。

ということで、今回のテーマは「執事」です。執事を英語で何と言えば良いか、「家政婦」や「お手伝いさん」などの類語を含め、詳しく解説していきます。

それでは、早速始めていきましょう!

「執事」は英語で何て言う?

「執事」は英語で何て言う?

「執事」は英語で “butler” と言います。発音記号は【ˈbʌtlər】で、カタカナだと「バトラー」と読みます。

butler の butle の部分は「瓶」を意味する bottle と同じ語源です。末尾に付いている -er は「~する人」の意味なので、butler の語源は「瓶を扱う人」となります。

昔の王室や貴族の家庭ではワインが非常に重要な飲み物だとされていて、それを扱えるのは召使の中でも一級の知識を持つ者に限られていました。そのため、「ワインを扱う人→頼りになる召使の長→執事」と、意味が変遷したのだと思われます。

ただ、実際の butler はワインの管理のみならず、家計の管理をしたり、賓客を応対したりなどと、家庭内の色々な業務を担っています。

Aさん
What is your occupation?
訳)あなたの職業は何ですか?
Bさん
I am a butler.
訳)私は執事です。

 

女性執事の英語での呼び方は?

そもそも、butler という役職は男性に限定されていたため、本来の意味での女性執事は歴史上存在しません。そのため、butler とだけ言うと暗に「男性執事」を意味してしまいます。

性別によって職種が変わるなど、現代の感覚で考えるとおかしなものですが、かつてはこのように、男女で明確に職業が決まっていました。

しかし、現代ではそのような性別による職業の制限は取り払われているので、女性執事がいてもおかしくありません。その場合、「女性執事」であることを強調するなら “female butler” と表現するのが良いでしょう。

Aさん
Are there any female butlers at this café?
訳)このカフェには女性執事もいますか?
Bさん
Currently, all of us are male. Would you like to work together if you’re interested?
訳)現在のところ、全員男性です。良かったら一緒に働きませんか?

 

家令と執事の違い

日本語には、貴族の家庭で雇われる使用人の名前として「家令」と「執事」が使われてきました。

家令とは、家庭の資産を管理したり、その他の使用人の管轄をしたりする役割を担っています。敢えて言うなら、使用人のリーダーのようなイメージです。

一方で執事は、家庭内で生じるほぼ全ての物事の管理を行います。そのため、家令よりも高度な知識やスキルが求められます。

家令は英語で何て言う?

家令を英語に訳す場合は、”steward(スチュワード)” が適切です。

steward の語源は「大広間(ste-)を守る(-ward)」から来ていて、「家庭の大部分を占める大広間を守る人」が原義になっています。

なお、steward は時代が下るにつれて、家庭内で働く家令だけでなく、広い意味でサービスをする人を表すようになりました。

その結果生まれたのが、飛行機の添乗員である “stewardess(スチュワーデス)” です。stewardess は、waitress(ウエイトレス)や actress(アクトレス)で使われる、女性を意味する接尾辞 -ess を steward に付け加えて生まれました。

ただ、その後男女で職業を分けるのが好ましくないとされ、-ess が付く言葉はあまり使われないようになりました。その結果、今では客室乗務員を stewardess とは呼ばず、FA(flight attendant)やCA(cabin attendant)と呼んでいます。

Aさん
My grandmother was a stewardess, and my mother was a flight attendant.
訳)私の祖母はスチュワーデスで、母はFA(CA)でした。
Bさん
It’s interesting to feel the changes in job titles over the years.
訳)職業名の違いに時代の変化を感じますね。

 

執事が持っている白い布は何て言う?

執事と言うと、片手に白い布を持っている姿をイメージする方も多いでしょう。この白い布は日本語だと「トーション」と呼ばれることが多いです。

ただ、トーションはフランス語で「ふきん」を意味する “torhon” をカタカナ化した言葉なので、英語ではあまり使われません。そのため、英語で例の白い布を指し示す場合は、「布」を意味する “cloth(クロス)” や “towel(タウー)” を使う方が良いでしょう。

なお、towel は日本語式だと「タオル」と発音しますが、その言い方だと十中八九通じないので注意が必要です。

Aさん
When I think of a butler, I imagine them having a white cloth.
訳)執事って、白い布を持ってるイメージがあります。
Bさん
I see. But in reality, butlers don’t always carry a white cloth around.
訳)確かに。でも実際の執事は、常に白い布を持ってるわけじゃないですよ。

 

「執事」の類義語を英語で言ってみよう!

「執事」の類義語を英語で言ってみよう!

ここでは、執事に似ているけれど少しニュアンスの違う言葉を、英語で何と言うか確認していきます。

それぞれ英語で何と言えば良いか、ぜひ考えながら読み進めてみてください。

「家政婦」in English

「家政婦」は英語で “housekeeper(ハウスキーパー)” と言います。

housekeeper を分解すると「家(house)を維持する(keep)人(-er)」となり、家を清潔な状態に維持する仕事に従事する人を意味します。

housekeepr は掃除や洗濯、アイロンがけや整理整頓など、家庭の日常的な業務全般を行います。

「お手伝いさん」in English

「お手伝いさん」は英語で “maid(メイド)” と言います。

先述の housekeeper と似ていますが、maid の方が地位的には低く、負う責任も少ないイメージです。

なお、maid は古ゲルマン語で「若い女性」を意味していた単語が語源になっていて、基本的には女性のお手伝いさんを意味します。

「使用人」in English

「使用人」は英語で “servant(サーヴァント)” と言います。

servant は語源的に「提供する」を意味する serve と繋がりがあり、「サービスを提供する人」の意味で使われるようになりました。

先ほどの maid が主に女性を指したのに対し、servant は主に男性の使用人を指します。女性使用人の場合 servante という表現もあるにはありますが、maid とほぼ同義なこともあり、滅多に使われません。

「給仕人」in English

「給仕人」は英語で “waiter(ウエイター)” と言います。

waiter は「待つ(wait)人(-er)」が原義で、名前の通りお客の注文を待つことを主な仕事とする人を意味します。

女性の給仕人の場合は waitress(ウエイトレス)と表現することもありますが、現代ではジェンダーの考えが根付いたことから、男女問わずに waiter と言うことが多いです。

まとめ

今回は「執事」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。

執事は英語で “butler” と言います。

執事は歴史上、基本的に男性が担ってきた職業なので、女性執事であることを強調する場合は female butler となります。とはいえ、現代では男女での職業の呼び分けは撤廃される方向性にあるので、今後は男女問わず butler で通じるようになるでしょう。

今回ご紹介したことを参考に、執事やそれに類する職業について、英語でどんどん表現していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!