「サブマリン」という言葉を聞いて、皆さんはどのような意味を思い浮かべますか?
1966年にリリースされたビートルズの人気曲「イエローサブマリン」は、黄色い潜水艦での暮らしを歌ったものです。
であれば、「サブマリン」は「潜水艦」を表しているのかな、と予想できますよね。

「サブマリン」は、英語の”submarine”からきたカタカナ言葉です。
基本的に「潜水艦」の意味で使われることが多いのですが、じつは”submarine”は他にもいろいろな意味を持っています。

今回は、そんな知っているようで知らないカタカナ言葉「サブマリン」について、英語本来の意味と使い方、スラング表現を紹介します。

「サブマリン」の意味

「サブマリン」の意味

「サブマリン」は、英語の”submarine”をそのままカタカナにした言葉です。
”submarine”は、通常、海底に潜って敵を攻撃したり、偵察したりするために使われる「潜水艦」を意味します。
潜水艦は、戦争や軍事作戦の攻撃の要になるだけでなく、海洋の安全保障においても重要な役割を果たしています。

また、野球では、海に潜って下から攻撃する「潜水艦」のイメージから、下投げの投球フォームを「サブマリン投法」と呼びます。
サブマリン投法の投手を「サブマリンピッチャー」、略して「サブマリン」と言うこともありますよ。

「サブマリン」を比喩したビジネス用語で、「サブマリン特許」という言葉を聞いたことはありますか?
「サブマリン特許」とは、権利内容の公開が遅くなった特許のことを表した言葉です。
特許の出願を意図的に遅らせることで、多くの企業に高額な特許使用料や損害賠償金など莫大な損害を与えることから、突如現れて攻撃してくる潜水艦のような特許=サブマリン特許と呼ばれています。

 

”submarine”の意味

”submarine”は、基本的に名詞として「潜水艦」を意味する単語です。
潜水艦のように下から浮かび上がってくるような形から、野球の下投げの投球フォームを指す場合もあります。
名詞以外にも、形容詞として「海底の…」「海中で使う…」、動詞として「潜水艦で攻撃する」などの意味を持っています。

英和辞書と英英辞書に載っている定義を改めて確認してみましょう。

【名詞】

  • 潜水艦、潜水艇、潜水船
  • 海底植物
  • 野球の投球フォーム
  • 下投げ投手(submarine pitcher)の略
  • サブマリンサンドイッチ(ロールパンを使ったサンドイッチ)

【形容詞】

  • 海底に、海底に生じる、海底に生息する、海中で使う

【動詞】

  • 潜水艦で攻撃する
  • 潜水艦を制御する
  • 足元への一撃で倒す
  • (野球で)下手投げで投げる、アンダースローで投げる
  • スライディングする動作で上下に動く

参考:Weblio英和辞書

 

【noun】

  • a ship that can travel underwater
    水中航行が可能な船
  • a throw made by leaning down and releasing the ball with your hand below your knee
    体を倒して膝下に手を置いてボールを投げる投法
  • a large sandwich, usually consisting of a small loaf of bread or long roll cut in half lengthwise and containing a variety of ingredients; hero sandwich
    通常、小さいまたは長いロールパンを縦半分に切り、いろいろな具材を挟んだサンドイッチ

【adjective】

  • existing below the surface of the sea
    海面下に存在する

【verb】

  • to attack, esp. to torpedo, with a submarine
    潜水艦で攻撃する、特に魚雷で攻撃する
  • to move or slide under something
    何かの下で動く、滑る

参考:Cambridge Dictionary
Collins Dictionary

ちなみに、”submarine”を略した”sub”が、アメリカ発のファーストフードチェーンSUBWAYの名前の由来になっていると知っていましたか?
アメリカでは、潜水艦のような形をした細長いロールパンに切れ目を入れて具材を詰めたサンドイッチを ”submarine sandwich”と呼びます。
その ”submarine sandwich”を、”the way you like it”(ひとりひとりの好みに合わせ提供する)ということから、「SUBWAY」という名前が付けられました。

 

”submarine”の発音と語源

”submarine”の発音記号は、 /ˌsʌbmərˈiːn/ で、カタカナでは「サッマリーン」のように読めます。
「サブマリン」と言っても通じない場合があるので、正しい発音をしっかり覚えておきましょう。

”submarine”は、ラテン語が語源といわれています。
もともとは、ラテン語の”mare”(海)と”-inus”(〜の)を組み合わせた”marinus”(海の)から”marine”へ変化し、頭に”sub”(下の)がついて、”sub-” +”marine”=”submarine”となりました。
「海の下の」というコアの意味を持った”submarine”が、海底に潜る「潜水艦」を表すようになったのもうなずけますね。

ラテン語 mare(海)+ -inus(~の)

marinus

中期フランス語 marin(海の)

sub-(下に)+marine(海の)

submarine

 

”submarine”を使った例文

”submarine”を使った例文

潜水艦や投球フォーム、サンドイッチなどの名詞用法のほかに、形容詞や動詞のはたらきもある”submarine”。
”submarine”を使った例文を、用法ごとに紹介していきます。

名詞の”submarine”

Aさん
I want to go under the ocean in a submarine someday.
訳)いつか、潜水艦で海に潜ってみたいです。
Aさん
The submarine finally came to the surface.
訳)潜水艦がとうとう水面に姿を現しました。
Aさん
I tried throwing submarine pitches to put less stress on my shoulder.
訳)肩への負担を減らすために、サブマリン投法を試してみました。
Aさん
He ordered a submarine sandwich for lunch.
訳)彼はランチにサブマリンサンドイッチを頼みました。

形容詞の”submarine”

Aさん
The lines show you submarine cables and trade routes.
訳)その線は、海底ケーブルや貿易ルートを示しています。
Aさん
Later, that old ship was converted into a submarine rescue ship.
訳)後に、その古い船は潜水艦救難艦に改造されました。
Aさん
In submarine gates, gates may break depending on their shape.
訳)海底ゲートの場合、形状によっては壊れてしまうことがあります。
Aさん
The submarine pipes are fitted into the bracket in the lateral direction.
訳)海底パイプは、ブラケットに横向きにはめ込まれています。

動詞の”submarine”

Aさん
In the past, the Germans submarined the Allies.
訳)かつて、ドイツ軍は連合軍を潜水艦で襲撃しました。
Aさん
Finally, he submarined for the first time in his life.
訳)そしてついに、彼は生まれて初めて潜水艦に乗りました。
Aさん
The child was injured when he submarined under the seat of the car.
訳)その子どもは、車の座席の下に潜り込んでケガをしました。

 

動詞の”submarine”は、”submerge”に言い換えることもできます。
”submerge”は、完全に水中に入ることを意味する単語です。
海底に潜るときに使われる頻出単語なので、”submarine”と一緒に覚えておくと役立ちます。

Aさん
The submarine slowly began to submerge into the depths of the ocean.
訳)その潜水艦は、ゆっくりと海底の奥深くへ潜り始めました。

 

”submarine”を使ったスラング

最後に、”submarine”を使ったスラングを紹介します。

”useful as a screen door on a submarine”は、「あっても全く役に立たない」という意味を表す英語スラングです。

screen doorは網戸のことを指します。もし潜水艦にスクリーンドアがあったとしても、水が入ってきてしまうため、全く役に立ちませんよね。そのことから、”useful as a screen door on a submarine”は「あっても全く役に立たない」を表現するときに使われます。

Aさん
His opinion was as useful as a screen door on a submarine.
訳)彼の意見は、潜水艦のスクリーンドアと同じくらい役に立たなかった。
Aさん
The outdated technology was as useful as a screen door on a submarine in today’s fast-paced world.
訳)時代遅れの技術は、変化の激しい現代において潜水艦のスクリーンドアと同じくらい役に立たなかった。

 

まとめ

カタカナ言葉「サブマリン」について、英語本来の意味と使い方を解説しました。

「サブマリン」は、英語”submarine”に由来した言葉で、潜水艦や下投げの投球フォーム、サンドイッチなどを意味しています。
”submarine”には、名詞のほかにも形容詞や動詞の使い方があるので、文脈によってどの用法なのか判断する必要があります。

カタカナの「サブマリン」に惑わされず、”submarine”の意味をしっかり理解して、正確に使いこなしていきましょう。

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