最近、急速に「親ガチャ」という言葉が出て来るようになって、一種の流行りのようになってきています。これを英語で何と言うのかというと、親ガチャ自体が新語のようなものですから、まずはこの意味を英語に直して説明することから始めなければいけません。しかし、同じような考え方は昔から西洋にもあるようで、色々と興味深い情報が出てきました。では、親ガチャを英語で表現する方法を見ていきましょう!

そもそもガチャは英語でどう言うの?

まとめ

親ガチャという言葉を英語で説明する前に、ガチャは英語で何と言うのかを知っておきましょう。そもそもあのガチャガチャは日本発祥のものなので、gachaと言ったりもしますが、伝わらない時にはcapsule toyとし、さらに説明を加えます。ガチャガチャの機械のことを言いたければ以下の通りです。

  • a capsule toy machine
  • a toy-dispensing macine
  • Japanese capsule toy ‘Gacha’

親ガチャの場合はこのガチャガチャが元になっているとも考えられますし、スマホゲームの方のガチャが元になっていても話は通じます。スマホのガチャの場合もやはりgachaで通じたりします。

ガチャガチャについて

親ガチャの英語表現について詳しく見ていく前に、ガチャガチャについてざっと見ておきましょう。

起源

「ガチャガチャ」とは日本の capsule toysのことをいいますが、ガチャガチャは1965年、ペニー商会という会社がアメリカから輸入した自動販売機から始まりました。 最初の機械はわずか10円で、小さくて丸いカプセルに入った安くて簡単なおもちゃやキャンディーを出していました。

そして1977年、玩具メーカーの「バンダイ」が10円から100円のカプセル玩具を市場に投入し、大成功を収めました。このメーカーは「ガチャポン」という言葉を商標登録し、カプセル玩具市場のリーダーになり、今日ではガチャガチャの約50%をこのガチャポンが占めています。

進化

当初、ガチャガチャは低品質のプラスチック製で、ディテールはほとんどなく、色も1色だけでした。それらは主に人気アニメの収集フィギュアで、かなりシンプルでチープなものでした。年月が経ち、業界が成長するにつれ、品質とディテールは格段に向上しました。

2012年に発売されたガチャガチャのアイコンである「コップのフチ子さん」を覚えておられるでしょうか? フチ子さんは、コップの上やお皿の上など、好きな場所に置けるように作られたOLフィギュアで、かなりヒットしました。

青や赤の衣装を身に付けたコップのフチ子さんを見かけた方も多いのではないでしょうか。発売以来、「コップのフチ子さん」は会合やお茶会、飲み会などで取り上げられてきました。

Aさん
Do you remember Koppu no Fuchiko, an iconic Gacha-Gacha product was so popular?
訳)コップのふち子さんというガチャガチャが流行ったのを覚えてる?
Bさん
Of course, I remember. I thought she was cute and wanted to buy the product, but it was sold out.
訳)もちろん、覚えているよ。彼女が可愛いなと思って、商品を買いたかったけど、売り切れていたよ。

 

今日のガチャガチャ

今日、ガチャガチャの機械は以前よりずっと小さくなり、より密集して、JRの駅周辺、ショッピングモール、秋葉原、池袋などあちこちに置かれています。

平均価格が200~300円なので、以前より高価になりましたが、品質は飛躍的に向上しました。日本を訪れる外国人の間でもガチャガチャは大人気のようで、秋葉原、東京駅周辺、大阪、羽田空港、成田空港、関西国際空港などに大量のガチャガチャの機械が置かれています。アニメのキャラクターから、カップラーメン、寿司などの食べ物まで、ガチャガチャの種類は多岐に渡っています。

親ガチャを英語で言うならば

親ガチャを英語で言うならば

では、ガチャを英語でどう言うのかを学んだところで、次はいよいよ本題の、親ガチャを英語でどう言うのかを説明していきます。まさにこの単語!というような英語はないため、説明するとしたら以下のようなものになります。

born with a silver spoon in one’s mouth

さてこちら、やはり親ガチャについて説明しなければならないので長くなってしまいますが、直訳すると「銀のスプーンを口にくわえて生まれた」となります。これがどうして親ガチャという意味になるのか。それを理解するには18世紀のヨーロッパにまでさかのぼる必要があります。

簡単に言うと、その時期のヨーロッパでは、外食する時ですら自宅から食器を持ってきていたそうで、その素材を見るとどの階級であるかがわかったというのです。これでなんとなく意味はわかりましたよね。生まれながらにしてその家の階級が引き継がれる、つまり子は親を選べないという意味につながるのです。

He was born with a silver spoon in his mouth, but unfortunately I was not.

先ほどの言い回しと似ているものながら、少し意味が違うのがこちら。直訳すると、「彼は生まれつき金持ちだが、残念ながら自分は違う」つまり、彼は親ガチャで当たりを引いたが、残念ながら自分は違うという意味になります。

親ガチャはもともと否定的に、自虐的に使うことが多いため、このように他人と比較して自分は生まれが良くないことを言うのにはこちらの英文が合っていると言えるでしょう。

born on third base

もう少し短い文章だとこんなものがあります。こちらの直訳は「三塁で生まれた」。野球を身近に感じるアメリカ人などになら伝わる表現です。

三塁ランナーは、もう一本ヒットがでればホームインできますよね。つまり、親ガチャに成功した人は初めからこの恵まれた位置から人生をスタートできることを揶揄しているのです。そしてこの表現には、「この三塁ランナーは自力で三塁打を打ったと思っている」という嘲笑が込められているのだそうです。

自分はこんな恵まれた位置から人生をスタートできていないということを言いたいのであれば、シルバースプーンの例のように文章を作り、「He was born on third base, but I was not.」「彼は三塁に生まれたが、自分は違う」と言えば良いでしょう。親ガチャに失敗したことを表現できます。

銀のスプーンと三塁の表現を実際に使った例

銀のスプーンと三塁の表現は、実際に2020年2月18日にCNN Right Nowで使われてもいます。米国の歴代民主党大統領の経済ブレインを務めるジーン・スパーリングのセリフに、”born on third base”という表現があります。以下はその引用です。

”GENE SPERLING, FORMER ECONOMIC ADVISER TO PRESIDENT BARACK OBAMA: You might remember that Ann Richards was famous for saying that George Bush Sr was born on third base and thought he hit a triple. I think with Donald Trump, it’s was more like he was the pinch-runner for the guy who hit the triple. And when he scores on a wild pitch, he wants to insist he hit the homerun.”

訳:「『ジョージ・ブッシュ(シニア)は三塁に生まれていながら、自分では三塁打を放ったと思っている』と言ってアン・リチャーズが有名になったことを覚えているかもしれない。私はドナルド・トランプこそ、三塁打を打った男のピンチランナーとして三塁に生まれた男だと思っている。しかも、暴投でホームインしても、自分がホームランを打ったと言い張りたい男なのだ」

参考:https://www.youtube.com/watch?v=p-tyKWNwtMU

そしてこのスピーチが終わった後、今度は”He was born with a silver foot in his mouth!”という表現が出てきます。mouthではなくfootになっているのは、”born with a silver spoon in one’s mouth”という表現と、”put one’s foot in one’s mouth”「失言をする」という表現を混ぜ合わせたユーモアだからです。生まれつきのボンボンであり、かつ生まれつきに失言家だと言ったのです。

Ovarian lottery

他にも、親ガチャと似たような表現があります。こちらは「卵巣の宝くじ」という表現で、まあまあストレートですよね。

Lottery of birth

こちらは「誕生の宝くじ」です。確かに、親ガチャに当たるか当たらないかを宝くじで例ればわかりやすいかもしれません。これらのテーマ、実は西洋ではなんと500年前から論じられているそうですよ!哲学を考える人たちが多いので、アジアは哲学なしで進歩してきたなんて言われるほどです。今は親ガチャという単語が生まれたためそうでもなさそう・・・ですかね?

子ガチャはあるのか?

2021年に「親ガチャ」という言葉が流行りましたが、その当時、脳科学者の茂木健一郎氏が「子ガチャ」について持論を展開しました。

その持論の中で、彼は「親ガチャ だけでなく 子ガチャ もある。親の側から見れば、子どもがどのような個性を持ってどう育つかは予想できない面もあるわけで、そこには「子ガチャ」もあります。」と発言しました。

平凡な親のもとに、非凡な才能を持った子供が生まれて育つということも、確かにありますね。

当時、ネット上で子供による「親ガチャ失敗」「親ガチャハズレ」という書き込みがあったようですが、「自分は親に恵まれないからダメなんだ」と言っているように聞こえます。うまく行かないことがあったら、何でも親や環境にせいにするのではなくて、自分で人生を切り拓こうとする気持ちが大事なように思います。

「鳶が鷹を生む」は英語で何と言う?

「鳶が鷹を生む」は英語で何と言う?

日本語で、平凡な親が優れた子を生むことを表現する場合、「鳶が鷹を生む」という表現がよく使われますが、英語では何と言うのでしょうか?

「鳶」は英語で、”kite” と言います。なので、その表現を文字通り訳すと、”A black kite gives birth to a hawk”となりますね。直訳ではないですが、”A goose gives birth to a swan”として「ガチョウが白鳥を生む」としても、言いたいことが伝わりますね。

”Even ordinary parents can produce a genius child”「平凡な親が天才の子供を生む」としても、言いたいことがよく伝わりますね。

「蛙の子は蛙」は英語で何と言う?

「鳶が鷹を生む」の反対の意味を表す表現が、「蛙の子は蛙」ですが、それは英語で何と言うのでしょうか?

「蛙の子は蛙」は、英語では “The apple doesn’t fall far from the tree” と言います。英語を日本語に直訳すると、「リンゴはその木から遠く離れて落ちない」という意味になりますが、この英語表現が、「蛙の子は蛙」に相当する英語表現としてよく使われているので、覚えておきましょう。

まとめ

親ガチャなんて単語をどうやって英語で表現するのかと疑問に思っていた方も、今回の記事で疑問が解けたのではないでしょうか。意外にも西洋では親ガチャ的な考えをずっとずっと昔から持っていたようですね。だから表現方法もたくさん見つかりました。貴族階級がある地域もありますし、それを考えれば当然のことなのかも。日本は若者が親に対してイライラした時に使うなど、西洋とは傾向が少し違うのも覚えておきましょう。