「インビジブル」という言葉を聞いたことがある人は多いですよね。
「インビジブル」は、「目に見えない」「姿が見えない」といった意味で使われており、アメリカのSFホラー映画の邦題にもなっています。
英語”invisible”をそのままカタカナで読んだ「インビジブル」は、「目に見えないさま」を表す日本語として定着したカタカナ言葉です。
なじみのあるカタカナ言葉の中には、「インビジブル」のように意味を知らないまま、なんとなくの感覚で使っているものも少なくないでしょう。
今回は、聞き慣れたカタカナ言葉「インビジブル」について、英語”invisible”の正確な意味と使い方に加え、類義語と対義語も一緒に解説していきます。
「インビジブル」の意味
「インビジブル」は、英語”invisible”から来たカタカナ言葉です。
「目に見えない」「表に出ない」「顔(姿)を見せない」「気づかれない」などといった意味を表すときに使われます。
文脈によっては、「透明である」「目視できないほど離れている」「帳簿に記載されない」のように訳される場合もあります。
「インビジブル」は、カタカナ言葉として浸透しており、テレビドラマや映画などのタイトルに用いられたり、目に見えない超能力のことを指したりと、いろいろなシーンで多用されています。
例えば、2000年にアメリカで公開されたホラー映画「インビジブル」が有名ですね。
透明人間になって次々に犯行を重ねる男と、彼が起こす事件に立ち向かう人々を描いた作品です。
映画のキャッチコピーは「姿は見えないが、殺意は見える」で、原題の ”Hollow Man”
の”hollow”は、「うつろな」「実体のない」という意味があります。
「インビジブル」の使用例を他にも挙げてみましょう。
・幽霊とはインビジブルな存在だ。 ・インビジブルなものは、信じようがない。 ・インビジブルだからといって、絶対に存在しないわけはない。 |
「目に見えない」をカタカナで表現した「インビジブル」が、いかに日本語になじんでいるかがわかりますね。
invisibleの意味
”invisible”は、「目に見えない」「人目につかない」を意味する形容詞です。
「人目につかない」から転じて、「みじめであるさま」「無視されているさま」を表して使われることもあります。
形容詞として使われるのが一般的ですが、空気やガス、感情や影響など、肉眼で視認できないものや状態を指した名詞としてのはたらきも持っています。
辞書でも、形容詞と名詞2つの用法があると定義されています。
【adjective】
- impossible to see
見ることが不可能- ignored, not noticed, or not considered
無視される、気づかれない、考慮されない【noun】
- something that cannot be seen but has a definite effect
目には見えないが、確かな効果をもたらすもの- a service such as insurance or banking that is sold in foreign countries or to buyers from foreign countries
保険や銀行など、外国で、または外国からの購入者に販売されるサービス
”invisible”の発音記号は、/ɪnˈvɪz.ə.bəl/ で、「vi」の部分にアクセントをつけて「インヴィジヴォゥル」と発音します。
”invisible”は、ラテン語で否定を表す接頭辞を”in-”と「見える」を意味する”visibilis”が語源といわれています。
「見えない」という意味を持ったまま、ラテン語から現在の英語”invisible”に変化し、やがてカタカナ言葉として日本語に定着しました。
カタカナ言葉の意味は、元になった英語とその語源をさかのぼることで理解が深まりますね。
”invisible”を使った例文
「目に見えない」を意味する”invisible”の例文を紹介します。
カタカナ言葉「インビジブル」との使われ方の違いにも着目してみていきましょう。
「肉眼で見えない」という意味で使われる”invisible”
訳)赤外線は、特殊なフィルターを通して見る以外は目に見えません。
訳)新しいアプリでは、さまざまな機能に目に見えないコードが使用されています。
訳)海岸線は遠ざかり、ついには見えなくなりました。
「気づかれない」という意味で使われる”invisible”
訳)彼女は、彼らの生活にとって重要ではないため、ほとんど目に見えない存在でした。
訳)孤独感というのは、他人からはわからないものです。
訳)多くの社会問題はうまく隠されていて、わたしたちはほとんど気づきません。
”invisible”の類義語
”invisible”は、同じような意味を持つさまざまな英語に言い換えが可能です。
”invisible”の類義語を例文とともに紹介します。
unseen
”unseen”は、ものや存在が「目に見えない」「視覚的に認識できない」という意味を表す英語です。
映画やテレビ番組のストーリーに登場しないキャラクターや、視認できない超自然現象や霊的な存在なども含まれます。
訳)今は、目に見えない力が働いていることを受け入れられます。
imperceptible
”imperceptible”は、「ほとんど気づかない」「わからないほど微細な」という意味を持つ英語です。
極めて微小で、気がつかないほど小さい事象を表現するときに用いられます。
訳)彼のためらいは、ほとんど感じられませんでした。
indiscernible
”indiscernible”は、「識別できない」「区別できない」といった意味を持つ英語です。
音声が小さすぎて聞き取れないときや、距離が遠くてはっきり見えない場合など、何かを識別できない状態を指して使われます。
訳)その兆候は、ほとんどわからないくらいに隠されていました。
unperceivable
”unperceivable”は、「知覚できない」「認識できない」という意味を表す英語です。
何かを感じたり認識したりすることが不可能である状態を指して使われます。
文学や哲学などの分野で、抽象的な概念を示すときにもよく用いられている単語です。
訳)彼女の行動の微妙な変化に、友人たちは気づきませんでした。
”invisible”の対義語
「インビジブル」は、日本語で「不可視」と解釈できますが、この場合の対義語は「可視」ですね。
本来の英語”invisible”の対義語には、どのような単語があるのでしょうか。
obvious
”obvious”は、「明らかな」「明確な」という意味の英語です。
ものや状況が簡単に理解できるときや、周りの人々にも明らかな状態を表現するときによく使われます。
訳)彼があの子を嫌っているのは明らかです。
distinct
”distinct”は、「区別された」「はっきりと異なる」などを意味する英語です。
特定のものが周囲と区別されるようなときや、明確な違いがあるようなときに使われます。
訳)彼女の態度には、明らかな変化がありました。
discernible
”discernible”は、「識別できる」「見分けられる」と訳されることの多い英語です。
何かがはっきりと認識できる状態、または他とは明確に区別できる状態を表現します。
訳)彼女の体調に目立った変化はありません。
perceptible
”perceptible”は、「感知できる」「気づける」という意味を持つ英語です。
音や光、匂いなど、人が五感で感じられるものを表現するときに使われます。
また、物理的な感覚以外にも、人の感情や態度の変化などが含まれることもあります。
訳)一瞬だったが、はっきりとした沈黙が訪れました。
まとめ
日本語としてなじみのあるカタカナ言葉「インビジブル」について、英語”invisible”の正確な意味と使い方、さらに類義語と対義語も一緒に解説しました。
「インビジブル」は、英語”invisible”に由来したカタカナ言葉です。
”invisible”には形容詞と名詞2つの用法があり、おもに「目に見えない」「視認できない」などの意味を表します。
”invisible”には、類義語と対義語が複数あり、文脈によって適切に使い分けることが必要です。
「インビジブル」のように聞き慣れたカタカナ言葉こそ、英語本来の意味を正しく理解しておくようにしましょう。
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