会話はキャッチボールのようなもので、じょうずにキャッチできてこそ、相手に投げ返すことができるものです。それは英語でも同じで、テンポよく話が進めば会話は盛り上がり、話す相手との距離も縮まります。

さて、職場の同僚とこれまでの転職経験を話していて、こう言われたとします。

In terms of salary, my previous job was better.

あなたは、この発言をどのように受け取って、次に進めたらよいのでしょうか?

この記事では、英語でよく使われるin terms ofという表現を少し掘り下げて説明します。

便利な表現in terms ofの意味とその使い方

便利な表現in terms ofの意味とその使い方

in terms of は、「…の点から、…に関して」という意味がある英語表現です。

冒頭の同僚のことばを日本語にすると、

Aさん
In terms of salary, my previous job was better.
(給料面では、前の仕事のほうがよかったんだけどね。)

と訳すことができます。

仕事には、給料のほかに、実務によって得られるスキルや資格、職場や取引先との人間関係、やりがい、などいろいろな面があるものです。そういうなかでIn terms of salary「給料についていえば」と、事柄を特定しているのがin terms ofです。

同僚が、給料では恵まれていた前職を辞めて転職したのには、現在の仕事にそれ以外の魅力があった、ということでしょう。

ですから聞き手のあなたはそれを受けて、

Bさん
What made you change from your previous job?
(転職の理由はどんなことだったの?)

などと尋ねることができますね。

名詞termの意味は

termはいろいろな意味をもつ単語です。

term(名詞) 学校の学期、期間、任期

Aさん
How long is the term of office of the President of the United States?
(アメリカ合衆国の大統領の任期は何年ですか?)

という具合に使うことができます。

in terms of what はどんな意味?

英語のwhatには、疑問詞のほかに関係代名詞としての用法があります。
in terms ofにwhatで始まる節を続けると、このような言い方もできます。

Aさん
The survey found some differences in terms of what children learned.
(調査では、子どもたちが何を学んだかという点で、いくつかの違いがあることがわかった。)
Aさん
Now we talk in terms of what we call global warming.
(今、私たちはいわゆる「地球温暖化」の観点で話しています。)

termには、先述の「学期、期間、任期」のほかに「用語、表現」という意味もあり、よく知られたものでは

a technical term 専門的な用語

があります。「テクニカル・ターム」は日本語でも使われますね。

in terms of that の意味は?

in terms of that の意味は?

少し似た表現にin terms ofにthatを続ける言い方もあります。

Bさん
I think you did what you could in terms of that matter.
(あなたは、そのことに関してできることはしたと思うよ。)

that だけでも「それ」を指すことはできますが、that matter で「そのこと(問題)」と少し意味が具体的になります。

何か望ましくないことが起きたときに、ああすればよかった、こうしたら違ったかもしれない、と後悔することは誰にでもありますが、こんなふうに友だちに言ってもらえたら、気持ちを切り替えて前に進めそうですね。

in terms of humor が意味するものは?

in terms ofは「…の点から、…に関して」ですから、humorが後に続く場合は「ユーモアの点では」という制約がつけられます。

たとえば、こんな場面がありそうです。

Aさん
He is right, but not in terms of humour.

(彼は正しいけれど、ユーモアの面ではいただけないね。)

言っている内容は妥当でも、あまりに性急だったり、表現が直接的すぎたりすると周囲の賛成が得られない、ということは仕事の場面でも往々にしてありますね。

深刻な場面ほど、ユーモアの力を借りると和やかに進むという経験をわたしは外国でも何度かしています。

in terms of を書き換える

英語を含むヨーロッパの言語では、ある文章、あるいはスピーチのなかで、同じ表現を繰り返さないというスタイルが定着しています。中心的な単語はともかく、それ以外のことについては、さまざまな単語や言い回しをすることに工夫をこらします。

英語の文脈や丁寧さの度合は少し変わりますが、in terms of は、以下のようにいくつかの表現で置き換えることができます。

in terms ofとin relation toの違い

さて、in terms ofを別の表現で書き換えるとしたら、どのような言い方があるでしょうか。
ややかたい言い回しでは、in relation toがよく使われます。

relation(名詞) 関係、関連

in terms of:
This study looked at the length of sleep in terms of working hours.
(この研究では、睡眠の長さを勤務時間との関連で調べた。)

in relation to:
This study looked at the length of sleep in relation to working hours.

in terms ofをas forで言い換える

「〜について」というin terms ofを、もしカジュアルな場面の話しことばで言い換えるなら、as for を使って表現することができます。

in terms of:
In terms of project progress, we are on schedule. (プロジェクトの進捗については、予定通りです。)

as for:
As for project progress, we are on schedule.

on schedule 予定通りに、時間通りに

in terms ofをregardingで言い換える

「〜に関して」というin terms ofを、もし少し改まった場面での話しことばや、書きことばで言い換えるなら、regardingを使って表現することができます。

regard(名詞) 心づかい、好意、注視

in terms of:
In terms of recent trends, Japan’s fertility rate continues to decline.
(最近の傾向に関しては、日本の出生率は低下し続けている。)
regarding:
Regarding recent trends, Japan’s fertility rate continues to decline.

さらに丁寧な表現としては、with regard toもあります。やや堅苦しい印象のある言い方です。

with regard to:
With regard to recent trends, Japan’s birth rate continues to decline.

まとめ

この記事ではin terms ofが「…の点から」「…について、…に関して」という意味をもつ英語表現であることを説明しました。
場面に応じて、いろいろな言い換えができることもわかりましたね。

レディー・ガガ(Lady Gaga)が2006年に発表した歌曲”Oh well”にも、in terms ofが出てきます。

In terms of love,
I’m at a loss. So well.

あなたなら、どのように訳しますか?

歌にも登場するin terms ofは、英語では日常的に使われる表現のひとつです。何かの話題の、ある点「…について」「…に関して」意見や感想を言いたいときなどに使えるように覚えておくと、きっと役に立つでしょう。

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