「アウトレット」と聞いて、みなさんは何をイメージしますか?
洋服や靴、バッグなどが割引価格で買えるアウトレットモールやアウトレット商品を想像した方が多いのではないでしょうか。
「アウトレット」は、英語の”outlet”に由来したカタカナ言葉ですが、日本語の「アウトレット」とは少し意味が異なります。
”outlet”には「小売店」や「販売店」という概念ももちろん含まれていますが、他にもいろいろな意味があるので、文脈に応じて正しく使い分けることが必要です。
今回は、アウトレットモールとしてなじみのあるカタカナ言葉「アウトレット」について、英語”outlet”の正しい意味と使い方、類義語を解説していきます。
「アウトレット」の意味
「アウトレット」は、英語”outlet”をカタカナ表記した言葉です。
”outlet”には、おもに「販路」「はけ口」「出口」といった意味があります。
しかし、日本語でいう「アウトレット」は一般的に、衣料品や日用雑貨など、メーカーのサンプル品や売れ残った在庫品を通常より安価で販売すること、またはその販売店のことを指して使われています。
「アウトレット」の原点は、1970年代にアメリカの衣料品工場の敷地内で始まった「ファクトリーアウトレット」です。
新作のサンプル品や工場の製造過程で発生した欠陥品(傷、汚れなど)、在庫品などを処分するために、メーカーの工場や倉庫に「アウトレットストア」が設置されたのがきっかけでした。
当初は、従業員向けだったアウトレットストアが、その後、一般客にも開放されるようになったといわれています。
メーカー直販の「ファクトリーアウトレット」に対して、小売店が過剰在庫品や訳あり商品を仕入れて販売する店舗を「リテール・アウトレット」と言います。
いわゆる「B品」と呼ばれる、サンプル品や欠陥商品、売れ残った商品、返品された商品などを安く仕入れ、通常価格から割引して販売します。
「ファクトリーアウトレット」と「リテールアウトレット」に由来する「アウトレット」が、サンプル品や余った在庫品、欠陥商品を格安で販売する店舗形態として日本に導入され、現在に至ります。
そのため、日本語で使われている「アウトレット」は和製英語で、「ファクトリーアウトレット(factory outlet)」もしくは「リテールアウトレット(retail outlet)」とするのが正解なのです。
「アウトレット」を含む表現には以下のようなものがあります。
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”outlet”の意味
”outlet”のおもな意味は、「排気口」「はけ口」「出口」です。
ものや商品が出ていく場所という概念から、「販売所」や「小売店」、「販売経路」という意味も持っています。
電気や感情など目に見えない何かが「出ていく口」という意味で、「コンセント」や「アンテナ」、「ストレス発散」などとも訳され、いろいろな場面で幅広く用いられています。
辞書では以下のように定義されています。
- (液体・気体などの)出口、放水口
- (感情などの)はけ口
- (商品の)販路、はけ口、市場、マーケット
- (特定商品の)販売代理店、(卸商店の)直売部、(工場直結の)小売店、特約店
- (電気の)差し込み口、コンセント
参考:Weblio英和辞書
- a way, especially a pipe or hole, for liquid or gas to go out
液体や気体を外に出すための通路、特にパイプや穴のこと- a way in which emotion or energy can be expressed or made use of
感情やエネルギーを表現したり利用したりする方法- a shop that is one of many owned by a particular company and that sells the goods that the company has produced
特定の企業が所有する数ある店のうちの一つで、その会社が製造した商品を販売する店- an organization that broadcasts programs or publishes news
番組を放送したり、ニュースを発行したりする組織
”outlet”の発音記号は、 /ˈaʊt.let/ で、カタカナでは 「アウトゥレッ」と読みます。
英会話で日本語のように「アウトレット」と言ってしまうと、発音が聞き取れないばかりか、意味も通じない可能性が高いため注意しましょう。
”outlet”は、ゲルマン祖語の”letana”(放っておく)が語源といわれています。
商品が出ていくところという意味から派生して、メーカーの「特約店」や「直営店」を表すするようになりました。
「ファクトリーアウトレット(factory outlet)」と呼ばれる「工場直販店」が、全米からヨーロッパに普及し、後に世界中に広まりました。
”outlet”を含む関連表現には以下のようなものがあるので一緒に覚えておきましょう。
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”outlet”を使った例文
”outlet”を使った例文を紹介します。
”outlet”にはさまざまな意味があるので、よく使われる4つのパターンに分けてみてみましょう。
「コンセント」「電源」を表す”outlet”
訳)安全のためには、USBポートよりもむしろ電気コンセントから充電をするほうが良でしょう。
訳)空港のコンセントは、自身のデバイスを充電している人たちでごった返していました。
「はけ口」を表す”outlet”
訳)わたしはどこにも気持ちを吐き出せませんでした。
訳)サッカーをすることが唯一のストレス発散でした。
「販売店」「小売店」を表す”outlet”
訳)その会社は昨年、新しい直販店を15店舗オープンしました。
訳)その衣料品メーカーの小売店は、いつもお客さんでにぎわっています。
「放送局」「メディア」を表す”outlet”
訳)彼は地元の小さな放送局に勤めています。
訳)このニュースを最初に報じたのは地元のメディアでした。
”outlet”の類義語
複数の意味を持つ”outlet”と言い換えが可能な類義語を紹介します。
類義語を合わせて覚えておくことで、表現の幅が広がり、自信を持って使いこなせるようになるでしょう。
exit
”exit”は、おもに建物や車両から人が出る「出口」を意味する英語です。
「退場口」や「非常口」と訳される場合もあります。
看板や標識でもよく見かける英語なので、最も簡単で覚えやすい類義語といえます。
訳)建物から安全に避難するために、わたしたちは急いで非常口に向かいました。
vent
”vent”は、「穴」「通気口」「感情やストレスを発散するための手段」という意味を持つ英語です。
名詞としても動詞としても使用できるので、文脈によって意味が異なることに注意しましょう。
訳)天井の通気口は、建物の温度調節に使用されています。
release
”release”は、「解放」「放出」「公表」を意味する英語です。
ものや情報を一般に公表したり、サービスを供給したり、拘束や責任からの解放などさまざまな文脈で幅広く使用されます。
訳)来週、新しい映画が公開されます。
channel
”channel”は、「水路」「運河」「海峡」「水管」「側溝」など、多くの意味を持つ英語です。
ラジオやテレビなどのチャンネルとしての意味もあり、共通したジャンルやテーマのメディアにも用いられます。
訳)彼女はお気に入りの番組を見るためにチャンネルを変えました。
まとめ
カタカナ言葉「アウトレット」について、英語”outlet”の正しい意味と使い方、類義語を解説しました。
「アウトレット」は、英語”outlet”をカタカナ表記した言葉です。
通常価格から割引きされた店舗を意味するショッピングモールとしての「アウトレット」は和製英語でなので、正しくは「ファクトリーアウトレット(factory outlet)」もしくは「リテールアウトレット(retail outlet)」とするのが正解です。
”outlet”は、「排気口」「はけ口」「出口」をおもな意味として、「販売所」「小売店」「販売経路」「コンセント」「ストレス発散」など、文脈によってさまざまな訳が用いられます。
カタカナの「アウトレット」の意味に引っ張られないよう、英語本来の意味をしっかりと理解し、正しく使えるようになりましょう。
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