「It’s a piece of cake!」(そんなの簡単だよ!)
「The typhoon is accelerating its speed.」
英語を読んでいると、it’sやitsといった似た形の英語を見ることがあります。
it自体がとても基礎的な英単語で頻繁に英文に登場しますから、it’sとitsの違いがあやふやだと、英文を読むのにとても苦労しますよね。
そこでこの記事では、基本的かつ頻出な英単語ながら、ややこしいit’sやitsの違い、そしてその意味についてお伝えしていきます。
英語初心者にもわかりやすく解説していくので、この記事を読み終わる頃には、it’sとitsの意味、そして違いについてしっかりと理解してグッと英文を読みやすくなるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
it’sとitsの違いとは?
it’sとitsは、同じit(それ)という単語が元になった同音異義語です。
同音異義語とは、口に出して読む時に全く同じ音で表すものの、意味が違う言葉の事を指します。
具体的には、日本語で言う「橋」と「端」の関係がそうですね。
たいへん似た「it’s」と「its」という2つの英語ですが、最も大きな違いは「省略形か否か」という点です。
アポストロフィの有無が見分ける時の最大の特徴です。アポストロフィとは、「it’s」のtとsの間にある「’」のマークです。it’sやitsを見た時は、「’(アポストロフィ)」の有無を確認すればすぐ見分けることが出来ますね。
それでは、「it’s」と「its」を見分けられるようになったところで、それぞれの意味や使われ方をお伝えしましょう。
it’sの意味
まずはアポストロフィのつく方、it’sの意味からお伝えしていきましょう。
アポストロフィのつくit’sは、大きく以下の2つに分けられます。
- it isの略
- it hasの略
順番に見ていきましょう。
1.it isの略
it’sの最初の意味は、it isの略です。
アポストロフィのつくit’sは、まずほとんどがit isの略です。
it isは、「それは~です。」の意味になります。
~の部分には、it isの次に来る語句が入ります。
It’s my cellphone.
訳)それは私の携帯電話です。
It’s his racket.
訳)それは彼のラケットです。
また、天気や時間、距離を表す時にも主語として用いられます。
詳しくは「it」について詳しく解説した記事があるので、そちらをぜひご参照ください。
itの記事の内部リンク
2.it hasの略
It’sがit isの略じゃなかった場合、it hasの略になります。hasはhaveの三人称単数形です。haveとhasの関係は、doとdoesの関係と一緒です。
ただし、ここのhasは「持っている」という意味ではなく、中学校で学ぶ「現在完了形」のhasです。
現在完了形には、大きく分けて3つの用法があります。
- 継続:「ずっと~している」
- 完了・結果: 「ちょうど~したところだ」「すでに~した」
- 経験: 「~したことがある」
It’s(it has) been a while since I came here last time.
訳)私が前にここに来てから、しばらくですね。(ここに来てない状態が継続している)
I was planning to take a trip, but it’s(it has) been postponed.
訳)私は旅行に行く予定だったが、延期になった。(完了)
itsの意味
続いてはアポストロフィのつかないitsの意味を見ていきましょう。
アポストロフィのつかないitsは、itの所有格です。
所有格とは?
所有格とは、例えばI my me mineのmyにあたる言葉です。My penが「私のペン」ですから、元の意味が「それ」のitの所有格であるitsは「それの」という意味になります。
「itは物なのに、物が物を所有するの?」といった感じに、あまりピンと来ない人も多いかもしれませんね?それでは例を挙げてみましょう。
That cell phone doesn’t work, because its battery is broken.
訳)そのケータイは動かないよ。バッテリーが壊れているからね。
この「its」の部分は、「That cell phone’s」を指しています。
「その”ケータイの”バッテリー」の部分ですね。
また、物だけに関わらず、性別のわからない動物のものを指して「its」を使う時もあります。
That cat is a clean freak, it licks its paw every day.
訳)あの猫は綺麗好きだ。毎日足を舐めている。
この場合のitsは、”その猫の”足を指すわけですね。
その他の「’s」がつく英語表現
it以外の名詞にも「’s」がくっついているのを見かけることがありますよね。John’s dog(ジョンの犬)やCat’s eye(ネコの目)などがそうです。これらは、各名詞の「所有格」を表しています。
itの所有格である「its」にはアポストロフィがつかなかったのに対して、他の名詞が所有格になる時はアポストロフィがつくので少し混乱してしまうかもしれませんね。「itの所有格はits」「他の名詞の所有格は”名詞’s”の形」と覚えてしまいましょう。
慣れてしまえば、英文を読んでいる時に、形から視覚的に、自動的に見分けがつくようになりますよ。
Let’sの「’s」は?
「Let’s go!(いこうぜ!)」などで使われるLet’sの「’s」はいかがでしょうか?
Let’sの’sは、「us」の略です。usはwe(私たち)の目的格ですね。I my me mineで言うところのmeにあたる格です。
letには「~させる」という意味があり、「let+人+動詞」という形で「”人”に”動詞”させる」という意味になります。
有名なディズニーアニメ映画の劇中歌「Let it go」もこの形ですね。「それを行かせろ」という直訳から「手放してしまおう」「そのままにしておこう」「自由にさせてやろう」というニュアンスでも用いられます。
話が逸(そ)れましたが、Let’s go!の場合はLet us go!になるわけですから、「俺たちに行かせろ!」という直訳から「行こうぜ!」というニュアンスで使われるというわけですね。
まとめ
この記事では、it’sやitsの違い、見分け方、意味の違いについてお伝えしてきました。
- it’sとitsは、同じitが元になる同音異義語。同じ「イッツ」という読み方をするが、意味と使われ方が違う。
- ’(アポストロフィ)の有無で見分けることが出来る。
- it’sはit isかit hasの略。itsはitの所有格になる。
- 他の名詞に’sがつくことでも、所有格の形になる。
itは英語を使う上で、必ずといって良いほど遭遇(そうぐう)する英単語です。
それはitから派生したit’sやitsにも同じことがいえます。
しかし、今回お伝えした内容を適切に用いることが出来れば、頻繁に出てくるitの色んな形に惑わされることなく読んでいくことが出来ます。
この記事でお伝えしたことを活用して、あなたの英語学習をより円滑で充実したものにすることが出来れば幸いです。