言えそうで出てこない英語表現ってありますね。例えば、花や木は言えても「茎」はどうですか?
本記事で取り上げるstemは茎、そこから派生する様々な意味を持つ面白い単語です。STEMという教育やビジネスにおける使い方についてもあわせて紹介しましょう。
stemの意味と使い方
stemは名詞と動詞です。カタカナ語の読み方はステムのように発音し、その語源は「茎」の意味を持つラテン語stamen/stammaです。当初は、植物に関する意味で使用されていましたが、今では「中心部分」というような表現にも使われています。
さっそく、stemの意味と使い方を解説しましょう。
stemの意味
stemは「茎・幹」という意味でよく使われます。茎(くき)は植物の花や葉を支える基本器官で これを木で言うと「幹(みき)」になります。日本語では茎・幹と使い分けますが、英語ではstemを覚えれば両方を表現することができます。ちなみに、幹で言えばもう一つの単語trunkでも表現できます。
stemが面白いのは、茎のイメージから他の細長い部分も表現できる点です。シャンパングラスなどの脚がその例です。
次に覚えたい意味は、物事の主要部分を比喩的に表す場合のstemです。茎や幹がそうであるように、問題の核心部分であったり中心となるものもstemで表せます。
stemは他にも動詞として、以下の意味も持っています。
起因する・始まる
(〜の穴を)塞ぐ・詰める
(流れを)せき止める
(スキーで)シュテムする
stemの使い方
ここでは、stemを具体的な例文で紹介し、使い方を解説します。
訳)薔薇の茎には、鋭いトゲがたくさんあります。
この例文は、メインで使われるstemの「茎」という意味を使っています。バラと言えば棘も特徴で、これらは茎の上に生えていますね。この場合のstem(stems)は可算名詞であることもご確認ください。
訳)指でワイングラスの脚を持っています。
ワインのグラスなど、細長い形状のものをstemで表現する例です。
ここで一つ、流れをせき止めるという動詞stemの例文も紹介しましょう。
訳)友達は、出血を止めるために私の腕にハンカチを巻きつけたんです。
血液の流れを止めることをstemを使って英文を作成しています。この使い方の場合、フィジカルな液体などの流れだけでなく、犯罪などを食い止めるといった場合にもstemが使用できます。stem the tideで「流れを阻止する」の意味になります。
さて、次では動詞「起因する・始まる」に関連したstemのフレーズについて紹介しましょう。
句動詞stem fromの意味と使い方
stemを覚えるとき、ぜひ使えるようになりたいフレーズがあります。それがstem fromです。
stem fromで「起因する」「引き起こされる」
stem fromは、何かが他の誰か、または何かによって引き起こされた、または由来していることを意味する句動詞です。他の言い方にすれば、原因となる・発生する・もたらされる・生じる、などになります。いずれにしても、何かの結果をもたらす元になるものというニュアンスです。
stem fromの例文
例文でみたほうが使い方が分かりますね。stem fromを使えるようにしていきましょう。
訳)この成功は、君たちの努力の賜物だ、よくやったね!
惜しみない努力によって、成功を達成しました。努力を起因とした成功ですね。
訳)私の母は天気が悪いと腰痛になります。これは、若いときに起きた事故が原因なんです。
事故に遭わなければそれによって生じる腰痛もなかった、という例文です。stems from an accidentの部分に注目しましょう。
ステム教育/STEM Learningとは?
次に、ステム教育という教育方法について紹介します。ステム教育を英語にするとSTEM Learningになります。STEMと大文字になっている点にも注目しましょう。
STEM Learningとは?
まずSTEMですが、これは以下の頭文字をとって略した表現です。
“Science, Technology, Engineering and Mathematics”
科学・技術・工学・数学という4つの学問を掛け合わせた教育方法です。ステム教育の目的は、急速に発展する技術や多様化する社会に対応できる人材を育成することです。
アメリカでは2000年ごろから始まり、日本では遅れをとって中学校で2021年から、高校では2022年から実施されています。
イギリスのSTEM Learning
筆者の住むイギリスでは2004年にSTEM Learningが学校教育に取り入れらました。14~19歳が対象、スタートはもう20年も前のことであり、今は大学生の息子もSTEMを学んでいました。
訳)科学的な概念が好きで、数学や科学的推論が得意で、新しいテクノロジーについて学ぶのが好きなら、STEMが好きかもしれません。
皆さん、またはお子さんはSTEMに興味がありますか?
stemmingの意味
さらに、stemming(ステミング)という名詞についてもみていきます。
stemmingで「語幹処理」
語幹処理とは語形が変化する単語の共通の部分のみを取り出す処理を指し、これをステミング(語幹化)と言います。語幹処理の英語がstemmingになります。例えば、プログラミング・プログラマー・プログラムという3つの単語はすべて共通の語幹プログラムに短縮できます。
訳)変換を実行するコンピュータプログラムは、ステマーまたはステミングアルゴリズムと呼ばれる。
stem分野とは?
続けて、STEM分野とはどのような分野なのか説明しましょう。STEM分野とSTEM Learningは共通しています。
STEM分野とは?
STEMは“Science, Technology, Engineering and Mathematics”の頭文字をとって略した造語でした。STEM分野はまさしくこれらの分野(科目)を総称したものになります。STEM Learningが重要となってきた経緯を含め、STEM分野は国際競争力を高めるために重要と考えられています。STEM思考という言葉もあります。これは、科学技術を使い、課題の発見から解決までのプロセスを持つことを指し、AI時代に社会を生き抜くカギとも言われています。
このSTEM分野を英語で思考できるようになれば、将来が大変明るいものになることは間違いないでしょう。
stem人材とは?
STEM関連の表現が続きますが、ここではSTEM人材と呼ばれる人がいることを紹介します。
STEM人材とは?
ここまで記事をお読みになってきた人には、もうSTEM人材がどういった人なのかイメージできているかもしれません。
STEM(科学・技術・工学・数学)といった教育を受けた人、それらを使い科学技術の発展に貢献する人材がSTEM人材です。
STEM人材を英語にすればSTEM human resourcesでしょう。
訳)テクノロジー分野で大規模なレイオフが行なわれているなかでも、STEMスキルの需要は高い。
ビジネスコースにおけるstem
ビジネスとしてのSTEMもやはり、科学・技術・工学・数学を総称したものです。これらの分野の傘下にあるビジネスと経営の学位を指します。STEMの学位は多くのキャリア上の利点をもたらします。
イギリスのSTEMコース
例えば、a STEM Business degreeというコースを提供するイギリスの大学はケンブリッジやオックスフォード大をはじめ多くあります。STEM卒業生の需要は高まっており、人工知能、ソフトウエア開発、データ分析などができる人材を生み出しています。
訳)STEMビジネスの学位を取得すると、法律、知的財産、保険、金融、小売業などの分野でのキャリアの扉も開かれます。
まとめ
茎や幹から、中心部分となるものを表現するstem。科学・技術・工学・数学の頭文字をとったSTEMという教育やビジネスコースで学ぶ内容は現代の根幹の一つだと考えれば、stemの本来の意味と通じます。
本記事ではstemとSTEMについて紹介しました。ぜひご参考にしてくださいね。
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