神奈川県は横浜市や川崎市などを擁し首都圏の一角を成す県ですが、神奈川県の英語教育とはどんなものなのか、気になりますね。
この記事では、神奈川県の英語教育とはどんなものなのか、神奈川県のさまざまな取り組みを紹介しながら解説していきます。
神奈川県の英語教育推進プログラム
神奈川県では英語教育推進プログラムを設定しています。2024年度の神奈川県の英語教育推進プログラムの目標は、「小・中・高の学びの接続に係る課題を明確にし、 確実な英語によるコミュニケーションの能力を育成する」でした。
英検の試験を受けると、各級の合否と共にCEFR A1~C1までのレベルも表示されています。A1が英検3級程度、A2が英検準2級程度、B1が英検2級程度、B2が英検準1級程度、C1が英検1級程度です。神奈川県ではCEFR A2/B1レベル相当以上の英語力を取得または有すると思われる生徒の割合がどれぐらいいるかもチェックして、達成目標を立てています。
(神奈川県の高等学校で、令和5年: A2以上 53.8%、B1以上 23.4% ⇒令和6年: A2以上 55.0%、B1以上 30.0%)という目標が掲げられています。令和6年度に、英検準2級以上が55%、英検2級以上が30%以上に改善することを目標にしています。
神奈川県の英語教育推進プログラムでは、「改善が進んだ点」と「未だ改善が必要な点」に分けて、分析し評価を行っています。未だ改善が必要な点の要因分析として、生徒の英語力をペーパーテストのみで評価するなど、「外国語」の目標及び適切な評価方法についての理解が不十分なことが要因として挙げられています。今後、ライティングテストだけでなく、スピーキングテストも積極的に行っていこうとする姿勢が伺えます。
神奈川県公立高校入試の英語
神奈川県公立高校入試の英語問題は、2025年時点で、前年と変わらず8題構成でした。文法や語彙、読解などを総合的にはかる問題で、より実践的な力が求められました。
リスニングや英作文、長文読解問題、文と資料を見て答える問題、対話文読解問題などが出題されます。本文の内容に合うグラフを選ぶ問題は、近年よく出題される形式です。
英語の4技能が問われる問題が出題されますが、4技能についてバランス良く英語学習を進めていれば、解ける問題です。
神奈川県の小学校では英語が必修化
神奈川県内の小学校でも、2020年度より小学校3年生から英語の「外国語活動」が必修化されています。
小学校3・4年生の外国語活動では、クイズや歌、ダンスなどを通じて英語に触れる活動型学習が実施されます。英語に慣れ親しむとともに、これから本格的に始まる英語学習への意欲を高めるのが目的です。
教科として英語を学ぶ小学校5・6年生では、中学年での「聞く」、「話す」といった発声によるコミュニケーションに、「読む」、「書く」の表現が加わります。
英語教育が小学校3年生からになり英語教育が前倒しされたメリットもあります。第一のメリットは、英語教育を小学校に前倒しすれば、英語に親しむ時間が増えるため、足りない学習時間を補うことができることです。
もう一つのメリットとしては、日本語を介さずに考える「英語脳」が育つことが期待できます。言語学者レネバーグは、言語は12~13歳までに習得され、それ以降はスムーズに吸収されなくなるとの仮説を立てています。その仮説が正しいとすれば、中学生13歳になってから英語を勉強し始めるよりも、10歳より前に英語を学び始めた方がスムーズに吸収されると考えられます。
神奈川県の高校の英語教育モデル校
聖和学院は神奈川県で唯一高校に英語科を設置しており、神奈川県の高校の英語教育モデル校となっています。聖和学院の学習者は Listening / Speaking / Reading / Writing の4技能の確実な英語力に支えられて、国際人としての教養を身につけます。
聖和学院のグローバル教育は1987年(昭和62年)からスタート。聖和学院は、語学研修を実施するなど質の高い英語教育を担うリーダーを育成し続けています。聖和学院は海外で活躍する女性リーダーから、将来の自分像を創造するプログラムを定期的に実施しています。生徒たちが自ら学びあう環境を整え、英語を使って働く女性たちから、その経験や課題への克服課程を学び、グローバルな分野で活躍する女性リーダーを育成します。
神奈川県の英語教師の研修
神奈川県では、英語教師の研修にも力を注いでおり、英語教育アドヴァンスト研修を行っています。英語教育アドヴァンスト研修では、神奈川県の県立高校における英語教育で中核的役割を担う教員に専門性の高い研修の機会を提供することを目指し、県教育委員会との連携のもと、国際言語文化アカデミアで2011年度から実施してきました。これまでアカデミアが担ってきた研修は、2021年度から県立総合教育センターで新たな研修として生まれ変わり実施されています。
小中学校の英語教育も充実していますが、高校の英語教育は、小中学校で英語を学んできた生徒たちの英語力をさらに伸ばすことを目的としているので、専門邸の高い高度な教育が求められています。そういった需要に対してしっかりした研修の機会を設けているのは素晴らしいですね。
神奈川県では英語検定が人気
神奈川県では、英語検定の取得に力を入れている生徒さんが多く、中学3年で英検3級や準2級を取得している生徒さんが多いです。
神奈川県の公立高校は英検含めた各種検定に対しての優遇は一切ないとされています。神奈川県では、公立よりも私立の方が英検による優遇を設けている学校が多いと言われています。英語に力を入れている高校やスーパーグローバル高校などは、英検による優遇を高確率で設けているので、そのような学校が志望校の場合は入試要項を確認し、英検での優遇や推薦がある場合は積極的に英検の受験をするのがおすすめです。
英検は受験したらその場で結果が出るものではなく、結果が出るまでに1ヶ月半ぐらいかかるので、私立高校受験などで英検の結果を活用したい場合、出願直前に英検®を受験するのはおすすめできません。出願時期は学校により異なりますが、私立高校ではおおよそ12月中旬開始となるので、英検の資格を高校入試などで活用したい場合、出願開始までには、英検3級、準2級を取得しておきたいですね。
神奈川県の中学校の英語弁論大会
神奈川県では、神奈川県下の各中学校の代表が一堂に会して、日頃の英語学習の成果として の英語弁論大会を行うことにより、英語を聞き、話す能力を高めるとともに、国際性豊かな 人間の育成を図っています。県内公私立中学校に在籍する生徒で、各ブロックの予選を通過した者で各校1名が選出されます。
壇上へのスピーチ原稿の持ち込みは可能ですが、演台に広げてスピーチをすることは勧めないとされていますので、スピーチ原稿は暗記して、本番に臨まなければなりません。
上位5名が、カップと賞状を授与されますが、本英語弁論大会は、高円宮杯 全日本中学校英語弁論大会決勝予選大会 (関東地区)の県予選も兼ねています。
まとめ
神奈川県の英語教育がどのようなものかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。神奈川県の英語教育推進プログラムでは、明確な数値目標を掲げて、その目標達成に向けて努力していることが分かりましたね。
神奈川県の高校の英語教育モデル校での教育や、県立高校における英語教育で中核的役割を担う教員に専門性の高い研修の機会を提供していることも分かりました。神奈川県は中学校の英語弁論大会にも力を入れており、とても積極的に英語教育に取り組んでいますね。