美食の国フランスのお菓子といえば、「エクレア」ではないでしょうか。
サクサクとした食感のシュー生地と濃厚なカスタードクリームは、子どもから大人まで虜にしてしまう美味しさがあります。
「エクレア」をはじめとするフランスのお菓子は、ヨーロッパだけではなく、世界中で多くの人々から愛されています。
中でもシュー生地にクリームを挟み、チョコレートでコーティングした「エクレア」は、美しい見た目と上品な味わいが魅力のフランスを代表する伝統的なお菓子です。
日本の洋菓子店やスーパー、コンビニなどでもよく見かけるほど広く知られており、とても身近で定番のスイーツとなっています。
今回は、そんな誰もが一度は食べたことのあるフランス菓子「エクレア」について、起源や魅力、さまざまなバリエーション、英語表現を紹介していきます。
「エクレア」とは
「エクレア」は、フランスが発祥といわれているシュー生地菓子の一つです。
細長い形に焼いたシュー生地にクリームを詰めて、表面にフォンダンやチョコレートをたっぷりかけて作ります。
同じシュー生地のお菓子であるシュークリームと似ていますが、細長い形とたっぷり詰まったクリーム、そして表面のチョコレートコーティングは、「エクレア」ならではといえるでしょう。
「エクレア」の起源
「エクレア」の起源は、19世紀初頭にフランスのシェフでありパティシエだった、マリー・アントワーヌ・カレームが考案した「パン・ア・ラ・デュシェス(pain à la duchesse)※」と呼ばれるお菓子だといわれています。
カレームは、1760年にシュー生地を完成させた「シューの巨匠」ジャン・アヴィスの弟子で、他にも洋菓子シャルロットやソースの考案、クリームの絞り袋の発明などにおいて活躍しました。
当時は「シェフの帝王」とも呼ばれており、後のフランス料理の発展に大きく貢献した人物です。
「エクレア」が日本に入って来たのは、明治維新前、横浜の外国人居留地でフランス人が営んでいた洋菓子店で作られたのが始まりといわれています。
その後、ミルキーやポップキャンディで有名な不二家によって商品化されたことで、日本中へ広まりました。
洋菓子がまだ珍しかった時代に、フランス菓子の「エクレア」を初めて販売した不二家は、「エクレア」のパイオニアといえるでしょう。
※パン・ア・ラ・デュシェス(pain à la duchesse)
細長く成形したシュー生地にフォンダンかカラメルをかけたお菓子で、現在の「エクレア」の原型になっている
「エクレア」の名前の由来
「エクレア」は、「稲妻」を意味するフランス語”éclair”に由来しています。
なぜ”éclair”と呼ばれるようになったのかは、諸説ありますが、中でも有力とされている3つの由来を簡単にご紹介します。
- シュー生地を焼いたときの表面にできる割れ目がまるで稲妻のように見えるから
- 表面にかけられたフォンダンやチョコレートのコーティングが稲妻のように光って見えるから
- 中に詰めたクリームが溶けてこぼれ出てこないように、稲妻の光のごとく素早く食べる必要があるから
光沢のあるチョコレートコーティングとこぼれそうなほどたっぷり詰まったクリームが、まさに「エクレア」という名にぴったりなのがわかりますね。
「エクレア」のバリエーション
「エクレア」は、細く絞って焼いたシュー生地にたっぷりと詰めたクリーム、表面にフォンダンやチョコレートがかかったお菓子です。
発祥の地フランスでは、シュークリームよりも人気でなじみ深く、多くのパティスリーやスーパーなどで販売されています。
「エクレア」には、カスタードクリームやホイップクリームを挟むのが定番ですが、チョコレートやコーヒー、スロベリー、抹茶など他にもさまざまな種類があり、味や見た目のバリエーションはとても豊富です。
いろいろなフレーバー
- カスタード
- ホイップ
- ストロベリー
- フランボワーズ
- バニラ
- チョコレート
- キャラメル
- コーヒー
- メープル
- 抹茶
- ナッツ
- ラム酒
最近では、クリームにさまざまな風味付けをしたり、カラフルなフォンダンをあしらったりと、とてもバラエティー豊かな「エクレア」も増えてきました。
サクサクのシュー生地にとろける濃厚なクリームがたっぷり入った「エクレア」は、美味しさはもちろん、片手で食べやすい手軽さも人気を呼び、多くの人々から親しまれています。
「エクレア」の英語
「エクレア」は、英語で”éclair”で、「稲妻」を意味するフランス語”éclair”に由来しています。
発音は、日本語のカタカナで言う「エクレア」と微妙に違うため気をつけましょう。
【イギリス英語】ɪˈkleər「ィクレアー」
【アメリカ英語】ɔɪkler「ェクレアー」
éclair
a small thin cake made of pastry, with cream inside and usually chocolate on top
ペストリーで作られた小さくて薄いケーキのこと。中にクリームが入っていて、通常は上にチョコレートがかかっている
“with cream inside and usually chocolate on top”から、焼いたシュー生地にクリームが入っていて、上にチョコレートがかかったお菓子とであることがわかりますね。
ちなみに、このチョコレートのアイシングをかけた「エクレア」は、フランス語で「エクレール・オ・ショコラ(éclair au chocolat)」と呼ばれています。
例文
“éclair”を使った例文をいくつか紹介しましょう。
訳)チョコレートエクレアのように、祖母のデザートやケーキはどれも甘さがちょうど良いです。
訳)彼女は生クリームたっぷりのエクレアと、魅力的なタルトレットをいくつか選びました。
訳)彼は、片手にティーカップ、もう片方にエクレアを持ち、庭へと歩き出しました。
「エクレア」と「シュークリーム」の違い
最後に、「エクレア」と同じシュー菓子である「シュークリーム」について、2つの共通点と違いを見てみましょう。
「エクレア」も「シュークリーム」も、シュー生地が使われているフランス発祥のお菓子である点は共通しています。
中にカスタードクリームや生クリームが入っていて、種類によってフルーツやいろいろなフレーバーがあるのも同じです。
形 | 表面のコーティング | |
エクレア | 細長い棒型 | あり(フォンダンやチョコレート) |
シュークリーム | 丸型 | なし |
細長い形で表面にフォンダンやチョコレートでコーティングされている「エクレア」に対し、「シュークリーム」は、丸くて表面には何もかかっていません。
「シュークリーム」は、フランス語で「キャベツ」を意味する「シュー(chou)」から来ており、ふわっと丸い見た目が、キャベツのように見えることから名付けられたといわれています。
まとめ
フランスを代表する伝統菓子「エクレア」について、その起源と魅力、さまざまなバリエーション、そして英語表現などを紹介しました。
「エクレア」は、英語で”éclair”で、フランス語に由来しています。
チョコレートがかかった定番の「エクレア」は、フランスでは「エクレール・オ・ショコラ(éclair au chocolat)」と呼ぶのが一般的です。
フォンダンやチョコレートがたっぷりかかり、濃厚でとろけるクリームがあふれる「エクレア」は、上品でありながら手軽に食べられるのが魅力で、世界中で愛され親しまれています。
甘い「エクレア」を片手に街中を歩けば、気分はまるでパリジェンヌ。
おしゃれなティータイムはもちろん、日常に溶け込む手軽なおやつとして、甘くて上品なフランス菓子の「エクレア」どうぞ。
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