シナモンシュガーたっぷり、外側はカリッと中はもちっとした食感の甘いチュロスは、テーマパークでもおなじみのスイーツですね。
最近ではスーパーやコンビニなどいろいろなお店で売られており、日本人なら誰もが一度は食べたことがあるのではないでしょうか。

2022年頃からじわじわとブームが来ており、パフェにアレンジされていたり、チョコレートにディップしたりと、映えるスイーツとしての地位を確立しつつあります。

今回は、キュートな見た目と美味しさを兼ね備えたスペインの揚げ菓子「チュロス」について、その起源から現地ならではの食べ方、英語表現などを紹介していきます。

チュロスとは

チュロスとは

チュロスは、スペイン発祥の揚げ菓子の一つです。
スペインの名物としてトップ3に入るほど広く知られたお菓子で、現地ではおもに朝食やおやつ、晩酌のおつまみとして親しまれています。
スペインのチュロスは、日本で売られているものと違い、味はほとんどついていないシンプルで素朴な味わいが特徴です。

コートが欲しくなる11月下旬頃になると、スペインではチュロスの季節が到来します。
秋から冬にかけての寒い時期に、揚げたてのチュロスをホットチョコレートにディップして食べるのが定番です。

このチュロス×ホットチョコレートの組み合わせは、Churros con Chocolate (チュロス・コン・チョコラテ) と呼ばれ、チュロス店Churrería (チュレリーア)や、チョコレート店Chocolatería(チョコラテリーア)などで必ず売られています。

チュロスの起源

チュロスの起源は、17世紀のスペインアンダルシア地方にあるといわれています。
スペイン南部に位置するアンダルシア地方は、8世紀から15世紀にかけて約800年もの間、イスラム王朝の支配下にあり、現在もイスラムの文化が色濃く残る場所です。

そんなアラブの影響を強く受けてきたスペインで、野外生活をしていた羊飼いがパンの代用として作ったのがチュロスの前身といわれています。
大きく弧を描くようにカーブした形が、かつてイベリア半島で飼われていたヒツジ、ナバホ・チュロの角に似ていることから「チュロス」と名付けられたそうです。

スペインが発祥とされる一方で、ポルトガルを起源とするという説も存在します。
16世紀初頭、明に渡ったポルトガル人が、中国の伝統的な揚げパンを模して作ったことをきっかけにスペインへ広まりました。

いずれにせよ、チュロスはスペインで古くから食べられている伝統的な揚げ菓子であることに変わりはありません。
スペインの街中では、特に冬になるとチュロスを売っている露店や屋台が多く立ち並び、たくさんの人々のお腹と心を満たしています。

チュロスが星形の理由

チュロスは、小麦粉、卵、水、オリーブ油、砂糖、食塩を混ぜた生地を熱湯で練ってから、星形の口金で絞り出して油で揚げて作ります。

星型になっているのが最大の特徴ですが、これは揚げたときに水分が多く粘り気ある生地が膨らんで爆発を起こさないようにするためです。
凹凸のある星形にして表面積を大きくすることで、熱の伝わり方が均等になり、中の水分が蒸発しやすくしています。

もし断面が丸くなるような円柱型で揚げた場合、中に閉じ込められた水分が急激に膨張して水蒸気爆発のような現象が発生する危険があります。
チュロスの星型は、かわいらしい見た目やデザインからではなく、しっかりとした科学的な根拠に基づいているのですね。

スペインと日本のチュロスの違い

わたしたちが知っているチュロスは、細長い形をしていて、シナモンやシュガーがたっぷりまぶしてありますよね。
じつはスペインのチュロスは、日本のチュロスと大きさも量も味も大きく異なるのです。

スペインのチュロス

本場スペインのチュロスは、10cm程の棒状のものや弧を描いたように曲がったもの、輪っかになっているものなどが一般的です。
食感はカリッとした軽めで、味はほんのり塩気を感じる程度でほとんどついていません。
お店では、5〜6本セットでられていることが多く、複数本をまとめて注文するのが基本のスタイルとなっています。

日本のチュロス

日本のチュロスといえば、テーマパークで食べるスイーツの定番ですね。
長さは20〜30cmほどの太めの棒状で、凹凸はスペインよりも滑らかに仕上がっています。
生地自体が甘く、外側にはシナモンやシュガーがたっぷりまぶしてあるものが一般的です。
お店では1本あたり500円前後と、1本ずつバラ売りされていることが多いです。

日本では、保存がきく冷凍チュロスも多数販売されています。
トースターで焼くタイプや油で揚げるタイプなど、調理方法は商品によってさまざまです。
スーパーには、ホットケーキミックスと並んで、チュロスミックス粉(スペインドーナツミックス)が販売されているところもありますよ。

スペイン流のチュロスの食べ方

チュロスの英語

スペインでは、揚げたてサクサクのチュロスを、とろけるホットチョコレートに浸けて食べるのが定番の食べ方です。

日本では、テーマパークや出先の食べ歩きフードとして知られていますが、スペインのチュロスは、朝食やおやつ、お酒のおつまみとして日常に溶け込んだ存在なのです。

「朝からチュロス食べるの!?」と驚いてしまいますが、ほんのり塩味で素朴な味わいのスペインのチュロスには、甘さがほとんどありません。
ホットチョコレートの代わりにカフェラテに浸して食べるスタイルも多く、プレーンチュロスとビターなドリンクの組み合わせこそ、まさにスペイン流の朝食なのです。

チュロスの英語

チュロスは、英語で”churros”です。
“churros”は、スペイン語をそのまま使っており、複数形として扱われるのが基本です。

1本だけの場合は単数形となり、「s」がつかない”churro”と表記されます。

“churro”は、辞書で以下のように定義されています

churro

a snack or breakfast food popular in Spain and Latin America, consisting of a long tube of dough (= a flour and water mixture) fried in hot fat, covered in sugar and often eaten with a hot chocolate sauce
スペインやラテンアメリカでポピュラーなスナックや朝食の食べ物で、長い筒状の生地(=小麦粉と水を混ぜたもの)を高温の油で揚げ、砂糖をまぶしたもので、ホットチョコレートソースをかけて食べることが多い。

参考:Cambridge Dictionary

日本では、複数形の”churros”が「チュロス」として定着しています。
スペインでは5〜6本で提供されるのが一般的なので、複数形”churros”で表現されるのが自然なのも納得ですね。
日本のように1本売りされている場合は、厳密にはチュロスではなく単数のチュロというのが正しいと覚えておきましょう。

例文

Aさん
Dad made us churros and chocolate for breakfast.
訳)お父さんが朝食にチュロスとチョコレートを作ってくれました。
Aさん
The stand here sells freshly fried churros at all hours of the day and night.
訳)ここのスタンドでは、昼夜を問わず揚げたてのチュロスを売っています。
Aさん
A night out in Madrid wouldn’t be complete without a post-clubbing bag of churros.
訳)マドリードでの夜遊びには、クラブ帰りのチュロスが欠かせません。

まとめ

スペインの揚げ菓子「チュロス」について、その起源から現地ならではの食べ方、英語表現などを紹介しました。

スペイン生まれのチュロスは、甘くなく、揚げたてをホットチョコレートやコーヒーに浸して食べるのが定番です。
素朴でシンプルな味わいは、朝食やおやつ、夜のおつまみとして多くの人々に親しまれています。

マドリードでは朝食に、バルセロナでは夜のおつまみに、チュロスをテイクアウトしてきて食べるのが一般的なのだとか。
チュロスを食べるときは、ぜひカリカリ香ばしい揚げたてをホットチョコレートにディップするスペイン流で召し上がってみてはいかがでしょうか。

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