この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「春夏秋冬」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。
「春夏秋冬」とは、1年に訪れる四季のことです。日本では3月中旬から4月にかけての暖かく桜や梅が咲く時期を「春」、5月から8月ごろまの日差しが熱くひまわりが咲く時期を「夏」、9月から11月ごろのコスモスが咲く時期を「秋」、12月から2月頃までのシクラメンが咲く時期を「冬」といいます。
季節を大きく分けると「春夏秋冬」といいますが、その間には「初夏」や「梅雨」など細かく季節を表す子場もあります。
また、日本の場合は春夏秋冬がありますが、世界では、日本と同じように「春夏秋冬」が訪れていながらも、「春夏秋冬」という概念がない国もあります。
そんな「春夏秋冬」のつく「ことわざ」を今回は7つ選んで英語に訳してみました。
1. 飛んで火にいる夏の虫
夏になると街灯や自販機の光に寄せられて、虫がぽったりとくっついている光景を見たことがありませんか?
「飛んで火にいる夏の虫」は、そんな灯りに集まる夏の虫の特性に例え、自ら進んで災難に飛び込むという意味の「ことわざ」です。
英語では
”He who perishes in needless dangers, is the Devil’s Martyr.”
と翻訳することができます。
直訳すると「不必要な危険で死ぬ者は、悪魔の殉教者である」という意味です。代名詞 Heの後に関係代名詞を続けることは、現代英語ではあまりないですが、Old English Dictionary の中で上記の文が紹介されています。
”martyr”は「殉教者、殉ずる人、犠牲者」、”perish”は「(暴力・窮乏などのため天寿を全うせずに)死ぬ」、”needless”は「不必要な」という意味です。
needless dangers「不必要な危険」というのは、身の回りで増えているようです。近年、地球温暖化や気候変動の影響で自然災害が増えていて、自然災害で亡くなる人もいて、自然災害で亡くなるのは不幸な災難です。一方で、水難事故も増えていて、遊びに行った川や海での水難事故で命を落とすのは、needless dangers と言えるような気がします。
日本のことわざでは「飛んで火に入る夏の虫」と「虫」が使われていますが、英語では「人間」がたとえに使われていて、英語の方がたとえが現実的ですね。機会があれば、ぜひ英語のことわざの方を使ってみましょう。
訳)川や海に遊びに行って水難事故で亡くなる人は、不必要な危険で死ぬ人みたいです。
2. 夏の虫 氷を笑う
このことわざは、「夏の虫は夏の間だけ生きているため、冬の寒い時期にできる氷を見たことがないので、氷を見せても理解できずに笑って、まともにとりあわない」という意味です。
これを英語で、直訳すると、”Summer bugs laughing at ice” となります。
先ほども「夏の虫」が登場しましたが、「夏の虫」が出てくる日本のこどわざは、結構ありますね。
このことわざと類似のことわざは、「井の中の蛙 大海を知らず」で、こちらの方が広く知られています。
「井の中の蛙大海を知らず」は、
”The frog in the well knows nothing of the great ocean.”
と翻訳することができます。
3. 秋茄子は嫁に食わすな
「秋茄子は嫁に食わすな」は、おいしい秋の茄子は嫁に食べさせるなという嫁いびりの言葉ですが、それとは反対に「茄子は体を冷やすことや、種子が少ないことから子供ができないことを心配する姑の気持ち」を表すこともある「ことわざ」です。
1つの「ことわざ」に全く異なる意味が込められている珍しい例です。できる限りは、心配する意味で使用したいですね。
英語では
”Do not let the son’s wife eat autumn eggplant.”
と翻訳することができます。
”eggplant”は「ナス」の意味です。
4. 夏歌う者は冬泣く
「夏歌う者は冬泣く」は、働ける季節に遊び怠ける者は、後になってから生活に困るようになることを意味する「ことわざ」です。
暖かい夏のうちにある程度働いておけば、寒くなる冬に苦労することはありませんよね。今でこそ暖房を直ぐにつけることができるので寒さで苦労する機会は減りましたが、昔の人はそう簡単に暖をとることができず、冬の仕事で苦労したのではないでしょうか。
英語では
”Those who sing in summer will cry in winter.”
と翻訳することができます。
ここでは “Those who sing in summer” がこの文の主語で、「夏に歌う者」という意味です。
5. 夏炉冬扇(かろとうせん)
「夏炉冬扇」は、夏の囲炉裏と冬の団扇を略したことわざで、無用なもののたとえですが、その時には必要のないものでも必ず役に立つときが来るという意味です。
単に無用なものに言及していることわざかと思いきや、それだけではなくて、人間も同じで、出番のない時も与えられた仕事をきちんとやっていけば、必要とされる機会が訪れるという意味にも解釈できるそうです。
「夏炉冬扇」を英語で直訳すると、“Stoves in summer and fans in winter”となりますが、深い意味が込められてそのことわざが使われている場合は、訳し方が変わってきます。
たとえば、こんな風に訳してみてはいかがでしょうか。
Even useless things like stoves in summer and fans in winter are needed in the high season.
(夏炉冬扇のように無用な物でも、ハイシーズンには必要とされる。)
6. 春は花散り 夏は腐れ縁 秋は飽き易い
「春は花散り 夏は腐れ 秋は飽き易い」は、結婚は春は離れやすく、夏は家庭がうまくいかず、秋は夫婦仲が冷めやすいことから、冬にするのがいいという意味の「俗諺」です。また、「結婚するなら忙しい時期は避けて、暇な冬にしてほしい」という注文とも言われているそうです。
その日本語の俗諺を聞いても、結婚のことは言っているという前置きがないと、何のことを言っているのか分かりづらいです。「秋は飽き易い」というは「秋」と「飽き」をかけていて、ダジャレのように聞こえます。
英語では
“Winter is good if you get married.”
と翻訳することができます。
直訳すると「もし結婚するなら冬が良い」という意味です。日本語のことわざには、冬が登場していませんが「結婚するなら冬がいい」という意味が込められており、英語はその要点だけを述べていて分かりやすく、それぞれの言語の特徴が表れていますね。
”get married”は「結婚する」という意味です。一般的に結婚式を挙げるのには、初夏や秋がベストとされており、昔は冬に結婚式を挙げるカップルは少なかったようです。冬の結婚式を促進したいという結婚式場の思惑も込められているように感じられます。
7. 冬来たりなば春遠からじ
最後に、冬に関することわざをもう1つ紹介します。このことわざは、寒く厳しい冬が来たら、暖かい春がもう目の前まで来ているという意味ですが、辛い状況であってもじっと耐え忍んでいれば、いずれ幸せがやってくるというたとえです。
これを英語にすると、 If Winter comes, can Spring be far behind? ー(by Percy Bysshe Shelley) となります。英語を直訳すると、「冬が来たら、春ははるかに遅れていないですよね」という意味です。
日本の学校は、4月から新学年が始まり、入学時期も春なので、受験で辛くて苦しい時期を過ごしている生徒さん向けに、受験塾などでこのことわざがよく引用されています。
上記の英語のことわざの作者 パーシー・ビッシュ・シェリー Percy Bysshe Shelley (1792-1822) はイギリスのロマン派の詩人で、存命中に名声を得ることはありませんでしたが、死後、彼の詩の業績に対する評価は高まり、その後の世代の詩人たちに重要な影響を与えるようになりました。
まとめ
今回は、「春夏秋冬」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。
「夏歌う者は冬泣く」という「ことわざ」があるように、ある時期に遊んでばかりいて、いざという時に英語が分からず苦労する……なんてことにならないよう、日々の学習を積み重ねていきましょう!
英語の学習はコツコツと積み重ねることが重要です。毎日5つでも英単語を覚えてみる、1行でも英文を読んでみることを繰り返すことで、あなたの中に英語が蓄積していくはずです。英単語を覚えるとき、文の中でその単語はどんな風に使われているかも確認しながら覚えると、長い間その単語を覚えていられます。
今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!