「海」は言葉自体はとても簡単で、抽象的でもなく理解しやすい名詞です。しかし、これが英語になると一変します・・・!おそらく皆さんは、英語で海といえばOceanやSeaを思い浮かべると思いますが、これらの違いを厳密に理解して言えるでしょうか。どちらも「海」という意味であると理解していればリスニングの時には困りませんが、しかし自分から発信する時には困ってしまいます。ここでは、そんな「海」に関する英語について解説をしていきます。
oceanは「大洋」
Oceanももちろん「海」ですが、あえて他の単語との違いを明確にするために日本語訳を変えるなら、「大洋」です。つまり、一般的に言う「海」よりも広々としているイメージを持てば良いのです。
ですから、使われる場面で多いのは世界の五大海洋を表す時ですね。太平洋や大西洋、インド洋などはすべてOceanを使います。せっかくなのでここで五大海洋をすべて英語で言えるように見ておきましょう。
- 大西洋:the Atlantic Ocean
- 太平洋:the Pacific Ocean
- インド洋:the Indian Ocean
- 北極海:the Arctic Ocean
- 南極海:the Antarctic Ocean
北極海と南極海は使うシーンが少なく、かつお互いに英語だとちょっと似ているので間違えやすいですね。規模が大きい海ならOceanと覚えましょう。
seaは「一般的な海」
OceanもSeaも日本語にすると両方「海」になってしまいますが、英語では明確に違いがあります。Seaは、Oceanのように広大なイメージはなく、一般的に使う「海」になります。「夏休みに海に行く」と言う時などにはSeaですね。
もっと具体的にSeaのイメージを言うならば、Seaは陸に近い海を示します。ですから、日本語に訳すなら「海岸」や「海浜」でも合っていることになります。
陸に囲まれている比較的小さな海にはSeaを使うため、地中海や瀬戸内海などはOceanではなくSeaを使います。地学的には湖に分類されようとも、海のように大きな湖ならSeaを使っているものもありますね。
- 地中海:the Mediterranean Sea
- アラビア海:the Arabian Sea
- 南シナ海:the South China Sea
- 瀬戸内海:the Seto Inland Sea
- カスピ海:the Caspian Sea
- 死海:the Dead Sea
- 黒海:the Black Sea
overseasは「海外」
Overseasは、「海を越えた」という意味を持つため「海外からの」という意味を持ちます。海を渡らなければいけないような遠い場所というニュアンスを持っているため、陸続きで隣の国を表す時にはちょっと違和感があります。
英語の故郷はイギリスですから、日本と同じ島国。海を渡らなけ蹴れば海外には行けないことを考えると、英語の成り立ちが地理に基づいていたかもしれないことがわかりますね。
offshore は「沖」
他にも、「海」にはOffshoreという英語が使われることがあります。これは岸から遠く離れた海という意味なので、日本語で「海」以外の言葉を選ぶなら「沖」となります。
陸地から離れていることから、「海外の」という意味にもなります。この場合、名詞としてではなく形容詞として使われることになりますね。
「海」を使った英語表現
「海」を表す英単語の違いがわかったので、ここからは「海」を使った慣用句を学んでいきましょう。私たちが暮らす上でなくてはならない存在で、漁師さんなどにとっては身近な海。そんな「海」にはどんな慣用句があるのでしょうか。
oceans of~
Oceans of~というと、「はなはだしい量の~」と言うことができます。先ほどOceansは、「海」の中でも広大なイメージがあると解説しましたよね。だからこの海の大きさを使い、ものすごい量があることを相手に伝えるのです。
面白いことに、同じ意味にMountains of~という熟語がありますが、これは「山」ですよね。日本語でも「仕事の山」のように言うことがありますが、海と山、大きな自然の2つが両方同じ意味として使われているのは興味深いです。
日本では、海というと量の多さを表すよりも深さを表す時に言いますから、英語圏とは少し捉え方が異なるようです。
I have oceans of tasks to do!
訳)やらなきゃならない仕事がしこたまある!
Are you OK? You look tired.
訳)大丈夫?疲れてるみたいだね
sea change
Sea changeは、「急激で大きな変貌」という意味です。ただ、変化と言ってもそれは良い方への変化になるので、大抵の場合はポジティブな意味として捉えられます。
動詞と一緒に使うなら「go through a sea change」や「bring a sea change」が良いでしょう。「良い変貌を遂げる」という意味になります。知らないとどういう訳にしたらいいかわからない熟語ですね。
The little town went through a sea change.
訳)その小さな町は大変貌を遂げたんだ
And now, it is called New York.
訳)そして今、その町はニューヨークと呼ばれている
gift from the sea
Giftは「贈り物」ですから、これは「海からの贈り物」という訳になります。日本語ではもっと良い訳があり、「海の幸」と言いますね。
海に囲まれた島国である日本やイギリスなら海に対する感謝を述べるのはわりと当たり前であり、違和感がなかったりしますが、内陸国だと海という存在自体が遠く、見た子ともないという人も多いためあまり「海の幸」のような独特の表現は持たないこともあるそうです。
Let’s thank you to gifts from the sea.
訳)海の幸に感謝しよう
Itadakimasu!
訳)いただきます!
まとめ
「海」というと簡単なようですが、英語になるとOceanが正しいのか、それともSeaの方が良いのか、はたまたOffshoreでないと伝わらないのかよくわかりませんよね。今回は、Oceanは広大な海であり、大洋に当たること、Seaは一般的な海で、海へ行く時などに使える単語であることを学びました。この2つはよく使うものですが、日本語訳にするとどちらも「海」になってしまうので注意して違いを覚えておきましょう。