東南アジアの旅行先や英語の留学先として「インドネシア」を選ぶ方はたくさんいますよね。
空港やホテルをはじめとした観光地では、当たり前のように英語が話されているので、英語が主要言語と思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、日本から約10時間の距離にある「インドネシア」について、言語や文化、教育などさまざまな英語事情を解説していきます。
「インドネシア」はこんな国
インドネシアは、東南アジアに位置し、数多くの島々から成りたっている世界最大の島国です。
スマトラ島、ジャワ島、バリ島などを含むスンダ列島をはじめ、カリマンタン島、スラウェシ島、モルッカ諸島など、何千もの島々と数百の民族で構成された多言語多民族国家です。
正式名称は「インドネシア共和国」、首都はジャカルタで、2.7億人(2022年)いる住民の多くがイスラム教を信仰しています。
インドネシアは自然が豊かで、コモドオオトカゲ、ゾウ、オランウータン、トラといった多くの種類の動物が生息していることでも知られています。
訳)インドネシアには多様な文化があり、さまざまな民族がいます。
訳)インドネシアは、世界でもイスラム教徒が多数を占める国です。
インドネシアは、英語で”Indonesia”です。
国名は固有名詞なので頭文字は必ず大文字表記になります。
なお、「インドネシア共和国」という正式名称の場合は、”the Republic of Indonesia”と表記されます。
”Iindonesia”の発音記号は、/ˌɪndəˈniːʒə/ で、「インダニージャ」のように読めます。
わたしたちが普段話しているカタカナの「インドネシア」とは読み方が異なるため、注意が必要です。
訳)インドネシアの群島には、18,000以上の島々があります。
訳)バリ島は、インドネシアの人気観光地です。
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インドネシアの公用語
インドネシアの公用語は、インドネシア語です。
インドネシア語は、英語で”Indonesian”または”Bahasa Indonesia”と表記します。
”Bahasa”と省略されることもありますが、マレーシア語も”Bahasa Malaysia”を略して”Bahasa”と言われる場合があるので注意が必要です。
インドネシアの公用語、インドネシア語(バハサ・インドネシア)は、かつてオランダの植民地下にあった東インド時代に、オランダ語とともに公用語として使われていた言語です。
1945年に独立した後、インドネシア唯一の公用語に位置づけられ、現在にいたります。
インドネシアは、火山を含む18,000以上の島々と、300以上の種族・民族から構成されています。
そのため、公用語のインドネシア語「バハサ・インドネシア」をはじめ、ジャワ語、スンダ語、マドゥラ語、ミナンカバウ語など、地域や民族によってさまざまな言語が話されています。
多様な民族や文化が共存するインドネシアでは、公用語の「バハサ・インドネシア」が、公用語として人々の橋渡しの役割を果たしているといえるでしょう。
訳)インドネシアの公用語は、インドネシア語です。
訳)わたしは、現地で「バハサ・インドネシア」と呼ばれているインドネシア語を話します。
「インドネシア」の都市部なら英語が通じる
インドネシア語「バハサ・インドネシア」が公用語とされているインドネシアでは、英語は通じるのでしょうか?
結論からいうと、インドネシアでは、バリやジャカルタなど、観光地や一部の都市に限って英語が通じます。
日本人にも人気の観光地バリ島では、英語ができればほとんど不自由なく生活できます。
首都ジャカルタでも、ホテルや空港など、英語圏の人々が多く出入りしているような場所では、普通に英語が通じます。
現地の人たちは、ビジネスパーソンや観光客と英語で会話することに慣れているため、接客では終始英語で対応される場合も珍しくありません。
一方で、都市部を離れた田舎の地方では、英語はほとんど通じないと思っておいて間違いないでしょう。
英語を話すということがステータスになっているような、グローバル意識を強く持った若い世代では特に英語が堪能な人が多いのに対し、年齢層の高い人々や英語教育の環境が整っていない地域の人々は、総じて英語が話せない傾向にあります。
これは、英語教育が充実しているインターナショナルスクールや日系・外資系企業の多くが都市部に集中していることも関係しています。
インドネシアにおける英語の普及率は高いとはいえず、地域や環境、年齢層によってかなり差があるのが現状です。
訳)インドネシアでは、700もの言語が使用されています。
訳)彼は、インドネシア語のほか、フランス語とドイツ語を話せます。
「インドネシア」の英語事情
インドネシアは、シンガポールやフィリピン、中国などのアジア諸国に比べると、英語教育にそこまで積極的ではないように思われます。
もちろん、都市部にはインターナショナルスクールや語学学校が集まっているので、意識の高い富裕層では、幼少期から英語教育に力を入れている家庭も少なくありません。
英語の英才教育を受けた子どもたちは、家庭でも学校でも会話はすべて英語で行うのが当たり前になっています。
スイスの教育機関が毎年実施する世界最大の英語能力指数調査では、インドネシアは78位(日本は87位)と、「低い英語能力」の国であることが示されました。
2023年は113の国と地域から220万人が参加しており、ヨーロッパ諸国の中で唯一、アジアで最も英語教育が進んでいるシンガポールが2位に入りました。
2023年の英語能力指数ランキング
順位 | 国 | スコア |
1 | オランダ | 647 |
2 | シンガポール | 631 |
3 | オーストリア | 616 |
4 | デンマーク | 615 |
5 | ノルウェー | 614 |
6 | スウェーデン | 609 |
7 | ベルギー | 608 |
8 | ポルトガル | 607 |
9 | 南アメリカ | 605 |
10 | ドイツ | 604 |
79 | インドネシア | 473 |
87 | 日本 | 457 |
参考: EF English Proficiency Index |The world’s largest ranking of countries and regions by English skills
「英語力が低い国」とされたインドネシアですが、同じく低い英語力の日本と大きく違う点は、発話の量ではないでしょうか。
受験や資格試験で読み書きに注力しがちな日本に対し、インドネシアの英語教育では、文法よりもまずスピーキング、実際に使って話してみることが重要視されています。
そのため、文法やスペルのミスなどは気にせず、子どもも大人も、積極的に英語を使って話す姿を多く見かけます。
インドネシアの都市部に住むエリート層や富裕層は、グローバル感度が高い親のもと、幼い頃から英語を学べる環境が整っています。
質の高い英語教育を受けているため、英語力が高いのも納得ですよね。
しかしながら、地方や離島では英語の英才教育どころか、現地ではほとんど英語を話されていないため、国全体でみると「英語力が低い」という結果になってしまうのでしょう。
英語の必要性は年々高まっているものの、なかなか能力の差が埋まらないのは、英語を習得することがいかに難しいかを物語っています。
英語能力の向上を図るには、母国語での読み書きを学ぶことを大前提としながらも、国をあげての教育制度を充実させていくことが重要といえるでしょう。
訳)インドネシアは多文化の国ですが、公用語は英語ではありません。
訳)インドネシアに行ったら、インドネシア語と英語を使ってコミュニケーションをとりたいです。
まとめ
「インドネシア」の公用語や文化、宗教、教育など、さまざまな英語事情を解説しました。
都市部ではなんの問題もなく英語が通じるため、国全体でも英語が使えると思われがちなインドネシア。
じつは、地域や環境によって、英語の使用頻度には大きく差があるのが現実です。
日本でも英語が必修化され、徐々に英語の重要性が高まってきてはいるものの、スピーキングをはじめとする英語力はまだまだ発展途上といえます。
今後ますます進んでいくグローバル化に取り残されないよう、生活の一部に英語学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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