ビジネスシーンで「ケースバイケースで対応してください。」など、「ケースバイケース」という言葉をよく耳にしませんか?
ビジネスシーンで使われる「ケースバイケース」には、独特なニュアンスや使い方があります。
また、「ケースバイケース」の元となっている英語の”case by case”は本来どんな意味なのでしょうか?
この記事では、ビジネスシーンで使われる「ケースバイケース」の意味と、英語の”case by case”の使い方を紹介します。
ケースバイケースはどんな意味で使われてるの?
ビジネスシーンで使われる「ケースバイケース」は「状況に応じて」「場合によって」「柔軟に対応する」といった意味で使われることが多いです。
例えば、接客業などの「人」が相手のお仕事で使われるケースが多いですね。
接客業で使われる「ケースバイケース」の事例として、ホテル業務が顕著(けんちょ)だと言えるでしょう。
お客さんからお部屋についてクレームが来た際、その時々のホテルの状況に応じて柔軟に対応が求められます。
例えば空き室の状況を見て、お部屋をグレードアップしたり(ホテルに限らず飛行機の予約でも考えられる対応ですね)、お部屋が満室であれば、朝食のサービスを無料で提供したり、チェックアウトの時間を伸ばしたりする対応も考慮します。
このように接客業では、マニュアル通りの対応だけではなく、お客さんの希望を考えながら、その都度最善の方法を考えて対応することを求められますね。
また接客業の他にも、IT業界ではクライアントからの要望に対して、「すぐに対応できるものは対応する。細かな調整が必要な場合は、期限と追加の予算を、エンジニア部門と相談しながらすり合わせていく。」といった、決まったマニュアルがなく、その都度柔軟な対応が求められます。
他にも医療業界、教育業界、製造業などでも、状況や場合に応じた柔軟な対応を、「ケースバイケースで対応する」と表現します。
英語の”case by case”はどんな意味なの?
英語の”case by case”は、もちろん上述したビジネスシーンの「ケースバイケース」の意味と重なる部分も多いです。
ただし、微妙にニュアンスが違う部分もあります。
英語の”case by case”は、カタカナ英語の「ケースバイケース」と比べて、「個別に」や「ひとつひとつの事例に応じて」の意味合いが強いと言えます。
カタカナ英語の「ケースバイケース」が「状況に応じた対応」「柔軟な対応」などを広く意味するのに対して、英語の”case by case”は「個別の出来事や問題に対して、ひとつひとつ処理する」イメージだと言えます。
つまり、カタカナ英語の「ケースバイケース」と比べて、英語の”case by case”は、dividedなイメージ(分けられたイメージ)だと言えるでしょう。
以下の例文を見てみてください。
訳)私たちは各申請を個別に審査します。
例文のように、ひとつひとつの事例に対して、ひとつのルールですべて処理するのではなく、個別に判断して対応するイメージですね。
「ケースバイケース」にはどんな言い換え表現がある?
ビジネスシーンで使われるカタカナ英語の「ケースバイケース」、英語の”case by case”、どちらにもよく使われる言い換え表現があります。
「ケースバイケース」の言い換え
ビジネスシーンで使われる「ケースバイケース」は、主に以下のように言い換えることができます。
順番に見ていきましょう。
臨機応変に
ビジネスシーンで使われるカタカナ英語の「ケースバイケース」は、「臨機応変に」と言い換えることができます。
「臨機応変」とは、「その場の状況を考えて、最善を尽くすために対応を変化させること」を指します。
「対応の柔軟さ」を意味するカタカナ英語の「ケースバイケース」を意味するのに、「臨機応変」はピッタリの言葉だと言えるでしょう。
例えば、以下のようなシチュエーション
この場合のケースバイケースは、そのまま「臨機応変に」と言い換えても意味が通ります。
以上のように、カタカナ英語の「ケースバイケース」は、「臨機応変に」という日本語に言い換えることができます。
“case by case”の言い換え
英語の”case by case”は、”on an individual basis”と言い換えることができます。
“on an individual basis”は、直訳すると「個別ベースで」となり、「個別の事案に応じて」という意味合いで使われます。
「個別の事案に応じて、個別の対応をする」ことを意味する英語の”case by case”を言い換えるのにピッタリの表現だと言えますね。
例えば、以下のようなシチュエーション
訳)治療プランは患者さんそれぞれの状態を考えて、ケースバイケースで立てていきます。
上の例文の”case by case”の部分を、そのまま”on an individual basis”と言い換えることができます。
訳)治療プランは患者さんそれぞれの状態を考えて、個別ベースで立てていきます。
以上のように、英語の”case by case”は、”on an individual basis”と言い換えることができます。
“case”を使った色んな英語
上述した”case by case”の他にも、英語では”case”を使った色んな表現があります。
使われているのは同じ”case”という単語なのに、英語のネイティブスピーカーは表現力豊かに色んな意味で使うので、奥深くて面白いですよ。
以下に簡単に紹介します。
just in case
“just in case”を使って「念の為」を表現できます。
「雨が降るといけないから、念の為、傘を持ってきてね」という感じで、「万が一に備えて」というニュアンスですね。
in case of
”in case of”は「〜の場合には」を意味します。
「火事が起こった時は、あちらの非常口をお使いください。」など、緊急事態に直面した時を表す「〜の場合には」で使います。
case in point
”case in point”は「典型的な例として」を意味します。
事実を伝えた上で、具体例を挙げるシチュエーションでよく使われます。
case closed
”case closed”は「一件落着」といった感じで、「問題は解決しました。」を意味します。
特にミステリー物などで「事件解決」を表現するときにも”case closed”が使われますね。
この場合の”case”は「事件」のニュアンスです。
まとめ
この記事では、ビジネスシーンでよく使われる「ケースバイケース」と、「ケースバイケース」の元となっている英語の”case by case”の意味と使い方を紹介しました。
ここまでお読みのあなたは、ビジネスシーンで使われる「ケースバイケース」の意味と使い方、そして元となっている英語の”case by case”の意味と使い方をそれぞれ適切に使えるようになっているでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたのお役に立てば幸いです。
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