英語で会話をしていて、自分が意図したこととは違った風に受け取られてしまったことはありませんか?

あるいは、英文を和訳して、ネイティブスピーカーから誤訳と指摘されてしまったことはないでしょうか?

そもそも誤訳とは

外国語を学ぶ難しさは、日本語の単語を、単純にそのことばの単語に置き換えるわけにはいかないことにあります。

単語をそのまま訳した直訳でも、意味を重視して訳した意訳でも、内容が正しく通じるように訳すのは意外に難しいものです。

日本人の場合は、多くのひとが母語である日本語に引きずられた間違いをしています。もちろん、他の国のひとも、その母語に影響されたミスをしています。

辞書による「誤訳」の定義は次の通りです。

「誤訳」ーまちがって訳すこと。また、その誤った翻訳。(精選版 日本国語大辞典

完全になくすことはできないにしても、もしその間違いの起きる原因を把握して気をつけることができれば、日本語話者に共通のミスを減らせる機会になります。

この記事では、日本人がしがちな誤訳の実例から、きちんと意味がとれる訳出の仕方を考えます。ポイントを押さえて、正しい翻訳ができるようにしていきましょう!

 

単語の選択がふさわしくない誤訳の例

単語による誤訳

誤訳の原因の多くは、日本語で使う語彙を、そのまま英語にしてしまうことで生じます。

ほとんどの場合、「日本語=英語」にはならないので、日本語で言いたいことを単語だけ置き換えても、正しく訳したことにならないのです。「確かに日本語ではそう言うけれど、英語では適切ではない」と思われてしまうこともあるでしょう。

ふさわしくない単語を使ってしまう結果、違和感のある訳文になってしまうことは結構多いので、ここではよくある誤訳の例を見てみましょう。

大人のお出かけに play は使えない

日本語では、「遊び仲間」「夜遊び」も含めて、大人でも「遊ぶ」という言い方をします。

しかし英語では、子どもの「遊ぶ」と大人の「遊ぶ」は違うものと考え、違う単語を使います。

子どもが遊ぶ場合に使う動詞は”play”ですが、大人が遊ぶ場合には”hang out”や”chill out”を使うほうが一般的です。

play 遊ぶ 《★【比較】 特に,子供が勉強しないで楽しむことで,学生・大人の時には enjoy oneself,relax などを用いる》(Weblio辞書

従って、大人なのにうっかり”play”を使うと、完全な間違いではないにしても、なんだか違和感のある表現になってしまいます。

ちなみに、雑誌のタイトルにもなっている “playboy” は「(派手にお金をつかって)遊びまわるひと、遊び人」という意味があり、それが女性ならば “playgirl” といいます。状況によっては、指し示す内容に誤解が生まれるもとになるので注意しておきましょう。

以下は “play” を使った誤訳バージョンと、より正確な表現に改めた修正バージョンの会話です。

【誤訳】

Aさん
Let’s play some time next week!
訳)来週のいつか遊びましょう!
Bさん
Ah…OK! You mean “chill out”?
訳)えっと・・・いいよ!”chill out”って意味だよね?

【修正後】

Aさん
Let’s hang out some time next week!
訳)来週のいつか遊びましょう!
Bさん
Of course!
訳)もちろん!
この項で紹介した “play” のように、英和辞書で引いて意味が合っていても、実際に使うとしっくりこない語はまだあります。
たとえば、耳元を飾る「ピアス」は英語でなんというでしょうか。英語にも ”pierce” という語はありますが、これは日本語の「ピアス」と同じ意味ではなく、使い方も異なります。

この記事では、ピアスを英語で何というか以外に、いろいろなピアスの種類、そしてピアスをつける場所などを詳しくまとめているので、おしゃれに関心のある方にはきっと参考になると思います。

「趣味」を尋ねるなら What’s your hobby? ではないほうがいい

中学校ぐらいの英語では、相手の趣味を尋ねるときの表現として “What’s your hobby?” を習ったかもしれません。

しかし、残念ながら英語のネイティブスピーカーには違和感を覚えるものが多々あるものです。

間違いではないにしても、なぜ “What’s your hobby?” が趣味を尋ねる表現として違和感があるかという理由は、やはり単語にあります。”hobby” には「趣味、道楽」という意味がありますが、ウェブスター辞典による “hobby” の定義は以下の通りです。

hobby a pursuit outside one’s regular occupation engaged in especially for relaxation (Merriam-Webster)

(そのひとの本業以外にする娯楽で、特に息抜きのために行うもの)というわけで、「本業以外」で「息抜きのためにするもの」であることがわかりますね。日本語で使われることがある「仕事が趣味」は明らかにこの文脈に合いません。

“hobby” はどちらかというと、ひとりで静かにするものを指すので、スポーツなどは含みません。日本語でいう「趣味」には、読書や映画鑑賞、園芸、旅行、草野球、ゴルフなどいろいろなものを含みますから、”hobby”という語ではカバーできないこともわかります。

以下は、”hobby”を使った言い回しと、よりふさわしい表現に改めた修正バージョンです。

【誤訳】

Aさん
What’s your hobby?
訳)あなたの趣味(凝っていること)はなんですか?

【修正後】

Aさん
What do you do in your free time?
訳)あなたは暇なとき、何をしているんですか?

だれかに趣味」を聞きたいなら、「暇なときに何をしているか」と表現を変えてみましょう。

“pastime”(気晴らし、娯楽)という単語を使って、気に入りの余暇の過ごし方を尋ねることもできます。

Aさん
What is your pastime?
訳)あなたの気晴らしはどんなことですか?

 

特に気をつけたいカタカナ英語

海外で生活した経験がある、または仕事や私的な人間関係で日常的に英語を使うひとたちの間でよく話題に上るのが、カタカナ英語の弊害です。

自分が知らない、または使い方に自信がない単語なら辞書で調べるものですが、カタカナ英語が厄介なのは、おかしいとは思わないので、つい使ってしまいがちなことです。

その結果、多少英語に慣れたひとは、多かれ少なかれ、カタカナ英語が英語圏のひとに通じなかったり、誤解されてしまったりという経験をもっています。

次の記事では、日本語で「苦情」を指す意味でよく使う「クレーム」が、英語では正しくない意味になっていることを説明しています。ぜひ読んで参考にしてください。

 

 

ふさわしい表現でないことによる間違い

表現による間違い

ここからは、日本人が間違いやすい、表現にまつわる誤訳を紹介していきます。

正しい文章とほぼ同じであっても、英語のネイティブ・スピーカーからすると、何かおかしい、違和感を覚える言い方があるものです。

たとえば、日本に来たばかりの外国人も同じような過程を経験します。

「あなたの名前は誰ですか」と日本語で質問されたことがあります。

「名前」は何かと尋ねることはできますが、「名前」を「誰か」とは通常聞きません。

Aさん

What is your name?

訳)あなたのお名前はなんですか?

英語を学ぶ場合も、より自然な言い回しを習得したいなら、ありがちなミスは今日を最後に封印しましょう!

 

whereで場所を聞くのは不適切なことも

「どこ?」と場所を聞くときには必ず「where」を使うと覚えていると、正しく翻訳できないことがあります。

確かに、学生時代に英語を習ったときには、疑問詞について、それぞれ和訳を教えられました。しかし、それでは正しい表現にならないケースが存在します。これも、先ほどの例で説明したように、日本語と英語が同じようには使えないから起きる現象ですね。

疑問詞 “where”は確かに「どこ」ですが、場所や方角を尋ねるとき、あるいは何かのプロジェクトの段階を聞くときに使います。

「オーストラリアの首都(キャンベラ)はどこか」という質問の場合、「場所」を尋ねられたと解釈するなら、もし地図を眺めている状況であれば「南緯35度18分、東経149度07分」という座標を指し示した答えもあるかもしれません。

あるいは「方角」を聞かれたと解釈するなら、「シドニーの南西300キロメートル」という答えもあり得ます。

つまり、「オーストラリアの首都の名前が思い出せない」「どこだっけ?」というような場合には、英語では「首都はどこか」というよりも、「首都名は何か」と聞く方がナチュラルとわかります。

【誤訳】

Aさん
Where is the capital of Australia?
訳)オーストラリアの首都はどこですか?

【修正後】

Aさん
What is the capital of Australia?
訳)オーストラリアの首都はどこですか?
これは英語のニュアンス、使い方による違いなので、覚えてしまうとよいでしょう。

「おめでとう」はCongratulationsではないことも

何かよいことがあったとき、祝福の気持ちを伝えるために「おめでとう」という表現を使うことがよくあります。
それでは「誕生日おめでとう」「結婚おめでとう」「合格おめでとう」は同じ表現を使っていいのでしょうか。
次の記事では、場面にふさわしいお祝いの表現や、なぜ “Congratulations.” や “Best wishes.” などの祝福の言葉は複数形なのか、といった英語のあれこれを掘り下げて説明しています。

英語の自然な感覚を身につける学習法

日本生まれ・日本育ちで、標準的な公教育を受けている日本人の場合、学生時代に習ったことが間違いだと指摘されたら、「どうして?」と思うのは当然のことです。
しかし、しばしば「学校英語」「教科書英語」といわれるように、学校で習った単語や表現が実社会でも正しいとは限りません。そしてこれが、日本の英語教育が実践的でないといわれる理由のひとつになっています。
そもそも、教える立場の英語教師が日常的に英語を使う環境で暮らしているわけではなく、英語の新聞やテレビのニュースを十分に理解できる、またはEメールやSNSで自在に英語が書けるほどの力量がない場合、日本人児童・生徒の英語運用能力を高めるのは容易ではありません。
仕事や海外滞在・出張など実地で使うつもりなら、日本の英語教育を超えて、「英語圏で自然な言い回し」を身につける必要があります。

「オンライン英会話」で英語に触れる

帰国生のように海外に住んだ経験もなく、たとえばインターナショナスクールなどで英語による教育を受けたことがないと、日本語と英語とのギャップになかなか気がつきにくいこともあります。
こういうとき、好きな時間に好きな場所で受講できる「オンライン英会話」が役に立ちます。
運営者によってさまざまな違いはありますが、外国人に教えるための研修を受けた英語のネイティブスピーカーが英語で会話の相手をするプログラムの場合は、以下のように助言を受けることができます。
「英語ではこういう言い方をします」
「この単語を使うと、もっと正しい(あるいは言いたいことにぴったりの)表現ができます」

学研の「オンライン英会話 Kimini」

「オンライン英会話 Kimini」は教材出版社の学研が提供するオンライン英会話サービスです。
標準的な英会話コースでは、英語が公用語として広く使われているフィリピン出身の講師が、一対一で画面越しに向き合います。教材に沿って質問・回答をするコースもあれば、自由に会話を楽しむコースもあり、日本にいながら英語の会話力を磨くことができます。
一通りの基礎はある大学生・社会人向けには、中学校・高校で学んだ内容を復習するコース、実用英語検定やTOEICなどの資格試験の準備を目的にしたコースもあるので、自分に合うものがあるかどうか、探してみてはいかがでしょうか。
初めて「オンライン英会話 Kimini」に出会った方には「無料体験レッスン」を設けていて、10日間(キャンペーン期間には30日間)、実際の授業を無料で受けることができます。

まとめ

日本語環境で育った日本人が、正しい意味が伝わるように英語で話したい、書きたい伝えたい、と思っても、うまくできないことがあります。また、きちんと理解したいと思っても、日本語の感覚が邪魔して、正しく理解できないこともあります。

これは、日本語と英語のあいだで単語のニュアンスの違いがあり、表現の仕方も同じではないために、単純に置き換えられないことによるものです。

ここからが社会人としての、実践的な英語の勉強です。せっかく勉強するなら、より自然で、日常よく使うような言い回しを覚えたいものですね。