相手との関係を円滑にするために、「クッション言葉」などビジネスシーンでは色々な日本語の表現が使われます。英語圏の方は、はっきり意見を言う!というイメージがありますが、実は英語でも相手の事を気遣う為のフレーズはたくさんあります。
今回は、7つの具体的なビジネスシーンに焦点を当て、それぞれの状況で使える表現についてまとめてみました。うまく使いこなすことで、ビジネスと日常の両方でスムーズな意思疎通ができるでしょう。
相手への気遣いを示す表現
相手への配慮を表現するには、「クッション言葉」を使用します。クッション言葉とは、コミュニケーションをスムーズにする緩衝材のような役割の表現です。
「お忙しいとは存じますが」や「恐れ入りますが」などは、日本語でも相手を気遣う表現として使われています。
相手の立場を尊重する姿勢を示すことで、依頼や要求を受け入れてもらいやすくなり、円滑なコミュニケーションが可能になります。
お忙しいとは存じますが
“I understand you are very busy, but…”
「お忙しいとは存じますが、何卒ご対応の程お願いいたします」と、クッション言葉としてよく見かけるフレーズですよね。
直訳すると「忙しいと言うのはよく理解しているのですが」ですが、忙しい相手に貴重な時間を割いてもらう事に対する申し訳なさも含んでいるフレーズの為、ビジネスシーンでも使用できます。
お忙しいとは存じますが、何卒宜しくお願いいたします。
直訳の “You may be busy, but…” は「忙しいと思うけど…頼むよ!」のようなカジュアルな表現です。ビジネスシーンには不適切なので、気を付けましょう。
お邪魔でなければよいのですが
“I hope I’m not interrupting,”
相手の時間や作業を妨げる可能性がある際に使えるクッション言葉です。
主にビジネスシーンで用いられますが、日常会話でも使えます。例えば、同僚のデスクに近づく時や、上司のオフィスをノックする際に使用できます。
この表現を使うことで、相手への配慮を示し、自分の要件を切り出しやすくなります。
お邪魔でなければよいのですが、プロジェクトのスケジュールについて少しお時間いただけますでしょうか?
〜に感謝します
“I appreciate your…”
この表現は、相手の特定の行動や態度に対して感謝や認識を示す際に使用します。
相手がしてくれたことをしっかり認めることで、良好な関係を築き、相手のモチベーションを高める効果があります。
急な変更にも柔軟に対応していただき、感謝申し上げます。
相手の希望を尊重する表現
相手に気を遣わせないことを伝えながら、同時に相手のペースで物事を進めてもらえるよう配慮したいときに使えます。
相手への思いやりの気持ちが込められており、ストレスの少ない協力的な雰囲気を作り出すことができます。
相手の立場を尊重しつつコミュニケーションを図ることができ、職場や日常生活が円滑になるでしょう。
気軽に・気兼ねなく
“Feel free to~”
緊張や恐縮してしまっているお客様や取引先の方に対して、「何かございましたらお気軽にお申し付けください」「どうぞお気兼ねなくお召し上がり下さい」「気兼ねなくお寛ぎ下さい」なども良く使われるフレーズです。
もし何か疑問点がございましたら、気軽にご連絡ください。
遠慮なく~して下さい
“not hesitate to~”
自分の作ったものを確認してもらう時など、もしも間違いがあった時には「遠慮なく直して下さい!」と言う時の様に「私の事は気にせずに好きにしてください!」のニュアンスが含まれるフレーズです。
もし間違いがありましたら、遠慮なく必要に応じて書き直して下さい。
また、自宅などに招いた来客に対して「楽にしてください」と声をかける時に使うフレーズもよく使います。
ゆったりとお寛ぎください。
このようなフレーズも、心遣いのひとつとして覚えておきましょう。
ご都合のよいときに
“At your earliest convenience,”
相手に何かを依頼したり、行動を求めたりする際に使用します。この言葉には、「急がなくても大丈夫です」という意味が含まれており、相手のスケジュールや状況を尊重する姿勢が表れています。
相手に時間的な余裕を与えることで、プレッシャーを感じさせずに協力を求められるというメリットがあります。
ご都合のよろしいときに提案書をご確認いただけますようお願いいたします。
丁寧に頼みごとや提案をする表現
上司への報告や同僚へのタスク依頼、取引先への提案など、さまざまな場面で活用できます。押し付けがましさを避けつつ、自分の意図を明確に伝えられる表現です。
よろしければ
“If you don’t mind,”
相手に丁寧に許可を求めたり、依頼をする際に使用します。相手の意思を尊重しつつ、押し付けがましくならないようにする効果があります。
よろしければ、明日の会議の前にこの報告書を確認していただけますでしょうか。
〜できないかと思いまして
“I was wondering if…”
提案や依頼を控えめに、そして丁寧に行う際に使用します。直接的な要求を避け、相手の意向を尊重する姿勢を示すことができます。
来週に会議の日程を変更できないかと思いまして。
ご面倒でなければ
“If it’s not too much trouble,”
相手に負担をかけることを懸念しつつ、丁寧に依頼する際に使用します。相手の都合や気持ちを考慮していることを示す効果があります。
ご面倒でなければ、報告書の最新版を送っていただけますでしょうか。
再確認のための表現
主にビジネスで使用しますが、「確認ですが」のような表現は日常会話でも使えます。
重要な会議の後や複雑な指示を受けた後、契約内容の最終確認など、誤解を防ぎたい場面で有効です。明確なコミュニケーションを図り、ミスを防ぐのに役立ちます。
確認させていただきますが
“Just to clarify,”
簡潔で多くの状況で使いやすい万能フレーズです。
情報や詳細をはっきりさせたい場合に使用します。誤解を防ぎ、正確な理解を確保するのに役立ちます。
確認ですが、このプロジェクトは月末完了を目標にしているということでよろしいでしょうか?
念のためもう一度確認させてください
“Let me double-check this with you,”
この表現は、すでに話し合った内容や決定事項を再確認する際に使用します。
“double-check” は「何かをもう一度確認する」という意味の、2つ以上の既存の単語を組み合わせて作られた複合語です。
コミュニケーションの正確性を高められるほか、慎重さや細やかな配慮を示すことにもつながります。
念のため確認させていただきますが、提案書の提出は金曜日の午後5時までの予定で間違いありませんか?
認識を合わせるために
“To make sure we’re on the same page,”
全員が同じ理解や認識を持っているかを確認する際に使用します。特に複雑な議論や長いミーティングの後によく使われます。
議論の内容を整理するために、主なポイントを確認させていただきたいと思います。
上手に断ったり延期したりする表現
取引先からの無理な要求を断る時や、友人との約束を変更する際など、相手の感情に配慮が必要な場面で使います。
丁寧に断ることで、良好な関係を維持しつつ、自身の立場を説明できます。
またの機会に
“Can I take a rain check?”
せっかく誘ってくれたのに予定が合わないなど、「残念だけどまた予定があれば誘ってほしい」という肯定の気持ちを込める事もあれば、不採用の通知における「またの機会に宜しくお願いいたします」など、否定の気持ちが込められている事もありますので、文脈から相手の意図を組まなければいけない表現となっています。
“Rain check”とは、「雨次第で」という意味ですが、英語では「またの機会に」を指す言葉です。
肯定の意味でも、相手の誘いをやんわりとお断りする時にも使える表現です。
すみませんが来週水曜日は顧客との約束がありまして、またの機会に宜しくお願いいたします。
また類似表現で “next opportunity”(次回に)、もしくは “have a chance again”(次の機会があれば)などがあります。“Rain check” よりも肯定的な意味を含んでいるので、状況に応じて使い分けましょう。
申し訳ありませんが
“I’m afraid, but…”
相手に悪い知らせを伝えたり、要求を断ったりする際に使用します。
直接的な否定を避け、申し訳なさや残念な気持ちを示すことで、相手への配慮を表現できます。
申し訳ありませんが、ミーティングの日程を変更させていただく必要があります。
後ほどお返事させていただきます
“I’ll have to get back to you on that.”
即座に回答や決定ができない場合に使用します。
相手の質問や提案を認識しつつ、十分な検討や確認の時間が必要であることを示せるため頻繁に使われる表現です。
興味深いご提案ですね。チームと相談した後、改めてお返事させていただきます。
自分を控えめに表現する言葉
謙遜の表現は、日本のビジネス文化で特に重要視されますよね。
主にプレゼンテーションの冒頭や自己紹介の際によく用いられます。適度な謙遜を示すことで、相手に好印象を与え、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
ただし、頻繁に使うと自信がないと誤解される可能性があるので、使い過ぎには注意しましょう。
ささやかながら
「ささやかながら」「普通の、なんでもない」は英語で “ordinary” です。
相手に対して贈り物をする時や、催し物にお誘いする時「ささやかながら、お祝いのしるしをご用意致しました」「ささやかながら、宴をご用意致しました」などと表現します。
ささやかながらとは、「つまらない・くだらない」という意味ですが、自分の身を落としてへりくだり、相手に敬意を表す日本語らしい表現です。
ささやかな贈り物ではございますが、感謝の印としてお受け取りいただければ幸いです。
単純に規模や価値の小ささを表現するには、“small”(小さい)や“a little”(少ない、つつましい)を使用すると良いです。“small party”(ささやかな宴)や “a little present”(ちょっとした贈り物)などは日常でもよく使います。
専門家ではありませんが
“I’m no expert, but…”
会議やプレゼンテーションで意見を述べる際に使用でき、自分の立場を控えめに示しつつ、建設的な提案をする際に有効です。
専門家ではございませんが、弊社のプロセス改善について若干の提案がございます。
大したものではありませんが
“It’s not much, but…”
自分の行動や贈り物などを控えめに表現する際に使用される謙遜の言葉です。
この表現は、贈り物を渡すとき、自分の成果や貢献を説明するとき、あるいは他人を助けた際にその行為を控えめに表現するときなど、さまざまな場面で用いられます。
大したものではありませんが、昨日の会議に参加できなかった方々のために簡単な要約を用意しました。
意見の相違を柔らかく伝える表現
会議での意見交換や上司への提案、同僚との打ち合わせなど前向きな話し合いが必要な場面で役立ちます。
相手の考えを認めつつ、新たな視点を示すことで、実りある議論につながります。
あえて申し上げますと
“If I may,”
控えめに意見を述べる際に使用します。特に、微妙な話題や異なる意見を提示する前に使うと効果的です。
あえて申し上げますと、この案件はもう少し時間をかけて検討すべきだと思います。
ご指摘はごもっともですが
“I see your point, however…”
相手の意見を認めつつ、別の視点や懸念する事柄を伝える際に使えます。
対立を避けながら生産的な話し合いを促す、「議論の気遣い表現」といえます。
ご指摘はごもっともですが、コスト面でのリスクも考慮する必要があります。
そのとおりだと思います。一方で…
“That’s a fair point. On the other hand…”
相手の意見に同意しつつ、補足的な意見や異なる側面について話す際に使います。
バランスの取れた議論を展開するのに役立つ表現です。
そのとおりだと思います。一方で、長期的な視点で見ると、別の課題が浮かび上がってきます。
まとめ
英語でも日本語でも、相手に配慮したり気遣う為のフレーズは存在しています。上手に使って、ビジネスシーンにおける英会話でも円滑なやりとりができるようになると、自分の表現の幅も広がりますよ。