「石」とは鉱物質のかけらである、岩よりも小さく、砂よりも大きいものを指します。

石は見た目や材質から、「石のように固まっている」「石の上にも三年」など、石そのものを指すのではなく、比喩的な表現として使われることも多い単語です。

では、英語で「石」は何と表現するのでしょうか。基本的な英語表現に加え、「石」を使ったことわざも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

「石」の5つの英語表現

「石」を英語で表現してくださいと言われたら、「stone」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、英語で「石」はstoneだけでなく、ニュアンスなどの違いによって複数の単語が使い分けられています。「石」を表現する5つの英単語について、違いを見ていきましょう。

stone

「stone」という英単語は、名詞で「石」、動詞で「石を投げる」という意味で使われます。

stoneは、地球上の天然の硬質物質を指し、岩石や鉱石などを表現するときに使われます。また、建築材料としての石、大理石や花崗岩などを表現するときもこちらの単語が使われます。

Aさん
She skipped a stone across the pond.
彼女は石を池に投げて跳びはねさせました。
Aさん
His heart turned to a stone after the betrayal.
彼は裏切りによって心が石のようになった。

こちらの文章では、物質としての”stone”ではなく、“石のように”とが比喩的な表現で使われており、心が沈んでいる様子や感情を失っている様子表現しています。

rock

rockは「岩」「岩盤」といった意味があり、stone(石)よりもごつごつした岩石を表現できます。

“rock”は、「岩石」という意味のほか、力強さや堅さといったニュアンスを持ちます。そのため、自然の要素としての岩石だけでなく、頑固さや安定感といったイメージも表現するときにも用いられることがあるので覚えておきましょう。

Aさん
We sat on the rocks and enjoyed the view of the ocean.
私たちは岩の上に座って、海の景色を楽しみました。

pebble

pebbleという英単語も「石」という意味で使われることがありますが、小さくて丸い石や小石を指すのが特徴です。通常、水や泥の中に見られる滑らかな表面の石、河原で見かけるような石を表現するのに使われます。

Aさん
The child’s pockets were filled with smooth pebbles they collected by the river.
子どものポケットは、川のそばで集めた滑らかな小石でいっぱいでした。

gravel

gravelという英単語も「石」という意味で使われますが、とくに小さな石や砂利を指します。道路や敷地の表面の舗装に使用されたり、建築や造園において利用されたりする砂利をイメージするとわかりやすいでしょう。

Aさん
The path through the forest was covered with gravel.
森の中の小道は砂利で覆われていた。

gem

gemという英単語は「石」という意味ですが、自然のものではなく、宝石やダイヤモンド、エメラルドのように装飾品になったものを指します。

Aさん
The museum displayed a collection of rare gems from around the world.
その博物館では世界中から集められた珍しい宝石のコレクションが展示されていました。

「石」が付く単語

「石」が付く単語

こちらでは、日本語で良く出てくる「石」が付く英単語を5つご紹介します。

石器時代:Stone Age

“Age” は “Stone Age” や “Dinosaur age”(恐竜時代)のように、 特定の物事に単語を付けて〇〇時代と表現できます。

Aさん
A variety of extinct animals lived during the Stone Age.
訳)石器時代にはさまざまな絶滅動物が生息していました。

縁石:Curb

縁石は、歩道と車道の境界線として置かれているコンクリートブロックです。他に、歩道全体を表す “sidewalk” も同じ意味として使われることもあります。

Aさん
My car accidentally went up onto the curb.
訳)あやまって車が縁石に乗り上げてしまいました。

隕石 :Meteor

“Meteor” は隕石や流れ星を指す単語で、”shooting star”と同じ意味です。類義語の “Meteorite” は、地表に落ちたもののみを指します。

Aさん
Dinosaurs became extinct due to a meteor impact.
訳)隕石の衝突によって、恐竜は絶滅しました。

石畳:Cobblestones

“Cobble” は「丸い石」「敷石」を意味する単語で、それらが集まって出来た道を “Cobblestones” と言います。

Aさん
In Europe, you can see beautiful scenes with Cobblestones and historical buildings.
訳)ヨーロッパでは、石畳の道と歴史的な建物がある美しい風景を見ることができます。

賢者の石:Philosopher’s Stone

ハリーポッターでおなじみの「賢者の石」。”Philosopher’s Stone” は、イギリスや多くのヨーロッパの地域で使われる表現です。 “Sorcerer’s Stone” は、アメリカやカナダなどの北米で使われます。

Aさん
The title of the book was changed to “Harry Potter and the Sorcerer’s Stone” in the US.
訳)アメリカでは本のタイトルが「ハリー・ポッターと魔法使いの石」に変更されました。
Bさん
I wonder why the title in the UK was changed in the US?
訳)なぜイギリスでのタイトルがアメリカでは変更されたのかな?
Aさん
I hear “philosopher” sounds boring and unfamiliar and ” Sorcerer” sounds exciting in the US. 
訳)アメリカでは「賢者(哲学者)」が退屈でなじみがないように聞こえて、「魔法使い」はワクワクするように聞こえると聞いたよ。
Bさん
Both are English-speaking countries, but the titles of books written in English are sometimes changed.
訳)どちらも英語圏の国なのに、英語で書かれた本のタイトルが変えられることがあるんだね。

 

「石」の関連表現

「石」の5つの英語表現

石によって起こる動作や状態などを表す表現をご紹介します。

石につまずく “stumble over a stone”

“stumble over~” は、何かにつまずくというフレーズです。

Aさん
He stumbled over a stone, but didn’t fall.
訳)彼は石につまずいたが、こけませんでした。

石がゴロゴロしている砂利道 “gravel road”

舗装されていない、デコボコした道は一般的に ”gravel road”と言います。山や海、公園などにある砂利道を指します。

Aさん
I drove down the gravel road to get to the lake.
訳)私は湖に行くために、砂利道を運転しました。

反対に、コンクリートで舗装された道は “paved road” と表現します。

Aさん
The paved road made it easy to walk to the park.
訳)舗装道路のおかげで、公園まで歩きやすくなりました。

「石」の慣用句

「石」の慣用句

日本語では、たとえ話に石をよく使いますが、「石」を使った日本語の表現をそのまま英語に訳そうとしても、本来の意味から離れているので、うまく表現しにくいことが多いではないでしょうか。

ここでは日本語でよく使われる慣用句の中から3つを紹介して、その意味を英語で表現してみます。

石にかじりつく

この表現は「何がなんでも」や「どんなに苦労しても」という意味の慣用句です。英語で表現する際には、石という単語は使いません。

Aさん
I’m committed to seeing this through, no matter what it takes.
訳)何があっても、私はこれをやり遂げる。

一石を投じる

水面に石を投げ入れると波紋ができることから「問題提起をする」という意味で使われる言葉です。

”make waves to~”で「〜に波を立てる」、つまり一石を投じるという意味で使えます。

Aさん
I don’t want to make waves at work, so I’ll just keep my head down.
訳)仕事で波風を立てたくないから、黙々と仕事に取り組むだけだよ。

石橋を叩いて渡る

「石橋を叩いて渡る」は、”knocking a stone bridge before crossing it” と表現します。

「慎重に物事を行う」「何度も安全性を確かめる」という意味で、人や様子を表す言葉として使われます。この表現は、日本語でも英語でも “stone” が使われていて、「石橋」 “stone bridge” が「頑丈で安全な物」という概念がどちらの言語にもあることが分かります。

Aさん
She tends to be the person who knocks a stone bridge before crossing it.
訳)彼女は石橋を叩いて渡るタイプの人間です。

“Stone” を使った表現

石から連想する動きや温度をたとえた表現がいくつかあります。ここでは “Stone” を使って「石」以外の意味で使うフレーズをご紹介します。

Rolling stone

イギリスのバンド「ローリングストーンズ」を思い浮かべる人もいるでしょう。

“Like a Rolling Stone”『ライク・ア・ローリング・ストーン』というボブ・ディランの歌もあります。直訳すると「転がる石のように」という意味にもとれますが、ポジティブな意味ではなく、あえて訳すなら「風来坊のように」というのがふさわしい訳です。

”Rolling stone” は、仕事や住所を転々とする人、または風来坊という意味です。ボブ・ディラン作詞の曲は、自由奔放な様子ではなく、社会的に孤立した厳しい状況を歌ったものです。

Aさん
He quit his job already. He is like a rolling stone.
訳)彼はもう仕事を辞めたんだって。まるで風来坊だね。

stone-cold

“stone-cold” は、石の冷たさを例えて「かなり冷たい」「温かみが全くない」という意味で使われます

Aさん
While we were out, the food went stone-cold.
訳)私たちが外出している間に、食事はすっかり冷え切ってしまいました。

stone-faced

“stone-faced” は、「石のような顔」という意味で、無表情または感情を表に出さない様子を表すときに使います。
Aさん
He remained stone-faced despite having a large sum of money stolen by his co-workers.
訳)大金を同僚に盗まれたにも関わらず、彼は無表情のままでいた。

heart of stone

“heart of stone”は、文字通り「石の心」で、「冷淡な心」という意味になります。映画のタイトルにも、”Heart of Stone”という作品があります。

ちなみに、”heart of gold”「金の心」はどういう意味になると思いますか?

”heart of gold”は、「思いやりの心」という意味になります。

Aさん
Which would you choose a billionaire with a heart of stone or a very poor guy with a heart of gold to marry?
訳)冷淡な心を持っている億万長者と、思いやりの心を持っている貧乏な男性、結婚相手にどっちを選びますか?

leave no stone unturned

“leave no stone unturned” は、「石をひとつ残らずひっくり返す」→「あらゆる手段をつくす」という意味になります。

Aさん
We should leave no stone unturned in our search for a peaceful solution to the crisis.
訳)私たちは危機の平和的解決に向け、あらゆる手段を尽くすべきだ。

cast the first stone

“cast the first stone”は、文字通り「最初の石を投げる」という意味ですが、「他人の過ちや欠点を最初に指摘すること」を意味して、批判的な意味合いを持ちます。

他人の過ちや欠点を最初に指摘すること自体は、別に悪くないように思えますが、そのことを批判的に見ている場合に使われる表現です。

Aさん
He is always criticizing his colleagues, casting the first stone in any circumstances.
訳)彼はいつも同僚を非難していて、どんな状況でも他人の過ちを指摘しているよ。
Bさん
He should check the situation well before condemning his colleagues.
訳)彼はよく状況を確認した上で同僚を非難すべきだね。
Aさん
That’s right. It’s important to keep good relationships at work in order to keep working at the office for a long time.
訳)その通りだよ。長く働き続けるためには、職場で人間関係を良好に保つことは重要だね。

「石」を使ったことわざの英語表現

「石」を使ったことわざの英語表現

「石」の基本的な英語表現について解説しましたが、石は見た目や材質から、「一石二鳥」「石の上にも三年」など、石そのものを指すのではなく、比喩的な表現として使われることも多い単語です。

では、「石」を使ったことわざは英語で何と表現するのか見ていきましょう。

一石二鳥

「一石二鳥」ということわざは、一度の行動や努力で2つの利益や成果を得ることを意味します。

たとえば、仕事で一つのプロジェクトを進める際、会社の利益につながると同時に、チームのスキル向上や経験の獲得にもつながる場合は、一つの行動で2つの利益につながっているので「一石二鳥」といえます。

この「一石二鳥」ということわざを英語で表現するなら、「kill two birds with one stone」となります。直訳すると、「一つの石で二羽の鳥を殺す」となり、「一度の行動で2つの利益や目標を達成する」というニュアンスを表現できます。

Aさん
It will kill two birds with one stone.
そうすれば一石二鳥です。

石の上にも三年

「石の上にも三年」ということわざは、困難や苦境に直面しても、忍耐強く努力を続ければ最終的には成功するという意味を持ちます。冷たく硬い石であっても、3年座り続ければ暖かくなるように、辛い出来事や仕事であっても、3年も経てば慣れて目標を達成に近づくという意味合いがあります。

このことわざの背後には、焦らずに目標に向かって着実に努力し続けることの重要性が示されています。困難や挫折があっても諦めずに立ち向かい、持続的な努力を続けることで、成功や目標の達成が可能になるというメッセージが込められています。

「石の上にも三年」は英語で「Sit on a stone for three years.」となりますが、日本独自のことわざなのでそのまま英語で表現してもうまくニュアンスが伝わらない可能性があります。

似たような意味で
「Rome wasn’t built in a day. (ローマは一日にして成らず。)」という表現があり、「大きな成果や偉業はすぐには達成できない」という意味で、長期的な努力や時間を必要とすることを示すイディオムがあります。

焼石に水

「焼石に水」ということわざは、火で熱された石に水をかけてもすぐに乾いてしまって効果がないことから、何らかの行動や努力をしても無駄である様子を表現しています。

このことわざは、問題や困難が発生したときに適切な解決策や対策がない、その行動が無駄になるであろうときに使われます。

「焼石に水」は英語で “Water to the burned stone”となりますが、日本のことわざをそのまま英語で表現してもうまくニュアンスが伝わらない可能性があります。

英語での類似の表現としては、「water off a duck’s back.(アヒルの背中に水)」があります。

アヒルは首の後ろから油を出しており、これにより水を弾いてプカプカと浮いていられるのですが、全身を油でガードしているアヒルに対して水をかけても何の効果もないことから、「water off a duck’s back.(アヒルの背中に水)」→「効き目がない」となります。
この表現は、何をしても効果がなく、相手に全く影響を与えないことを指します。

Aさん
Trying to convince him to change his mind is like pouring water on a duck’s back.
彼に考えを変えるよう説得しようとするのは、アヒルの背中に水をかけるようなものだ(無駄だ)。

 

まとめ

今回は「石」の英語表現について解説しました。

「石」は英語でstoneと表現できますが、ほかにもrockやpebble、grave、gemといった表現があります。単語によって表現できる石のニュアンスが異なるので、違いを押さえて使い分けましょう。

また、石のつくことわざは、「一石二鳥」や「焼石に水」など日常会話でももちいられる「ことわざ」が多く、石に関連してことわざも覚えておくと英会話で役立ちます。

ぜひ今回の記事を参考に、「石」の英語表現をマスターしてみれくださいね。