筆者は以前、ロンドンのテムズ川沿いにある国会議事堂を訪れたことがあります。各部屋はかなり豪華で、まるで美術館のようでした。
さて、これら特別な部屋についてroomよりも的確な表現があることを知っていますか?

この記事では、英語chamberの意味や使い方を解説します。加えて、chamberとroomの違いもみていきましょう。

チェンバーの英語

チェンバーの英語

チェンバーは英語chamberからきている言葉です。
chamberになると、カタカナ語の発音はチェムバーとムを意識した読み方になります。ハリー・ポッターの第2巻のタイトルにも”Harry Potter and the Chamber of Secrets”と、Chamberが使われていました。

特別の目的を持つ「部屋」

chamberは部屋は部屋でも、特別の目的を持っていたり、公的な目的で使用される部屋を表現します。
それはchamberのコアイメージが部屋であったり、囲まれたスペースであることからイメージができます。特に大きい部屋がchamberというわけではありません。

例えば、以下のような例文でchamberが使われます。

Aさん
Humans have 4 heart chambers.

訳)人間には、4つの心臓の部屋があります。

人間の心臓には2つずつ室(右心室と左心室)と房(右心房と左心房)がありますね。さらに、心室をcardiac chamber、心房はatrium of heartで表します。
このように、心臓の部屋でさえも、特別の目的を持つ「部屋」としてchamberで表現されるのです。

特別な「部屋」の例5選

心臓についてchamberが使用されることが分かりましたが、他にどのような特別な部屋があるのかみていきましょう。

特別の目的を持つ「部屋」の例

chamberが使われるときの特別な部屋が他にもいくつかあります。それぞれを例文とともに紹介します。

裁判官の私室

まずは裁判官の私室です。この部屋は裁判官(a judge)が弁護士と個人的に法律上の話しを行なうという目的があり、ゆえにchamberを使用します。

Aさん
A lawyer was waiting for the judge in his chamber.

訳)弁護士は、裁判官の部屋で裁判官を待っていた。

議場

議会を構成する人々が使用する部屋=会議をする場所である議場も特別な目的があります。例えば、議事会場の英語はdebate chamber、市など行政の議場はcouncil chamberになります。筆者の住むイギリスの議会は両院制で、The House of Commons(下院)、そしてThe House of Lords(上院)という2つのchamberがあります。冒頭で国会議事堂を訪れたことがあると述べましたが、このときに2つのチェンバーを見てきました。普段テレビで見ている下院、豪華な上院を見学し、イギリスの歴史を感じました。

Aさん
The annual meeting was held in the council chamber.

訳)地方議会会議室で年次総会が開催されました。

室内楽

裁判官や議場というかたい表現が続いた後は、ここでは25人以下で演奏される小編成の管弦合奏である「室内楽」にもchamberが使われることを紹介しましょう。

Aさん
I took part in the chamber music concert last Sunday.

訳)先週の日曜、室内楽コンサートに参加したんです。

この例文のように、the chamber musicで「室内楽」になります。室内楽はもともと、宮廷の広間で演奏されましたが、この広間の英語も実はchamberなのです。

古い時代の寝室

ベッドルーム、特にヴィクトリア時代のような時代の寝室もchamberを使ってbedchamberとして表現します。寝室係の職務は君主の着替えを手伝ったり、食事の際の給仕、そして寝室への出入りの警備のようなものがありました。絶対的な信頼を得た人でないと務まりませんね。

Aさん
The grooms of the bedchamber were close to the king.

訳)寝室の侍従は王に近い存在だった。

なお、現在ホテルで寝室やバスルームを掃除する女性のことはchambermaidと呼ばれます。

エコーチェンバー現象

番外編で「エコーチェンバー現象」を簡単に紹介しましょう。
エコーチェンバーとは、SNSで自分と似たような価値観のユーザーをフォローすることによって、同じようなニュースや情報ばかりが流れてくる情報環境を指します。
英語ではecho chamberと表現し、同じ意見の見聞きによってそれ以外の認識を間違いだと思ってしまう点が危険だと言われています。chamberを使い、閉じたシステム内のコミュニティを表現しています。

chamberとroom違い

chamberとroom違い

さて、ここではchamberとroomの違いに目を向けてみましょう。ここまでお読みになった人であれば、2つの単語の違いをイメージできているかもしれませんね。

chamberとroomの違い

chamberには特別な使用目的があり、華やかな響きがあります。一方、roomは部屋を表す一般的な用語になります。加えて、There’s always room for dessert.というようにデザートは別腹=お腹に余裕があるというように、物理的な余裕、心の余裕にもroomが使われます。これはroomにもともと空間というニュアンスがあるためです。

Aさん
There is a room for rent.

訳)貸し部屋があります。

Aさん
There is a chamber in the Houses of Parliament in London.

訳)ロンドンの国会議事堂には議場があります。

この2つの例文を比較し、特別感の有無をぜひ覚えましょう。

Chambersの意味

次に、Chambersになるとどのような意味になるのかみていきます。

イギリスの商工会議所

地域の事業者を会員とした会員制民間組織に商工会議所があります。商工会議所は税務や労務などの相談や指導、健康診断などの福利厚生事業を商工業者対象に行ないます。
イギリスではこの組織をBritish Chambers of commerceと表現します。ロンドン商工会議所であればLondon Chamber of Commerce and Industry(LCCI)になります。

Aさん
The company is a member of the London Chamber of Commerce and Industry.

訳)当社はロンドン商工会議所の会員です。

Aさん
The London Chamber of Commerce and Industry is London’s key hub for the city’s business community.

訳)ロンドン商工会議所は、ロンドンのビジネスコミュニティの重要な拠点である。

Chamberingとは?

最後に、新約聖書で使われた言葉としてChamberingを紹介しましょう。

私通・ふしだらな行ない

私通(しつう)とは、夫婦でない男女が、密かに関係を結ぶことを言い、密通とも呼ばれます。
淫らな行ないである私通をChamberingとして、新約聖書「ローマ人への手紙」13章13節で使われています。
Chambering=wantonness(浮気)、impurity(不純)です。このように、ふしだらな行ないや淫らな行ないをChamberingが表現します。

Aさん
The word chambering is in Romans 13 of the Bible.

訳)チェンバリングという言葉は、聖書のローマ人への手紙第13章に載っています。

まとめ

chamberは部屋は部屋でも、特別の目的を持っていたり、公的な目的で使用される部屋を表現します。このことから、心臓には2つずつある室と房、裁判官の私室、議場、室内楽、古い時代の寝室などに使われる表現です。
本記事を参考に、roomの違いをしっかり押さえましょう。

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