「ピース」と聞いて、みなさんはどのような意味を想像しますか?
「平和」や「幸せ」の他に、「パズルのピース」「ピースサイン」などをイメージする人が多いのではないでしょうか。
日本語として使われている「ピース」は、英語の”peace”と”piece”をカタカナで表記した言葉です。
”peace”と”piece”は、それぞれ異なる意味を持っているので、日本語では同じカタカナ表記であっても、状況や文脈によって使い分ける必要があります。
今回は、2つの意味を持っているカタカナ言葉「ピース」について、本来の英語”peace”と”piece”の意味と正しい使い方を解説していきます。
「ピース」の意味
「ピース」は、英語の”peace”と”piece”をカタカナ表記した言葉です。
同じ表記でも、元になっている単語が違うので、それぞれの意味を正確に理解しておくことが大切です。
カタカナの「ピース」は、辞書で以下のように定義されています。
- 平和、講和、和睦
- ピースサインの略 ※日本語での用法
- 部分、小片、ひと組み、ひと揃いのものの一片
参考:goo辞書
ピースサインを略して呼んだり、パズルのピースを示したり、またセットのもののうちの一つを表すときなど、「ピース」にはいろいろな意味があるので、場面に応じた適切な解釈が必要になります。
国や文化で意味が違うピースサイン
写真を撮るときに「ピース」をする人は多いですよね。
わたしたち日本人にとってはごく自然で定番ポーズの「ピースサイン」ですが、じつは国や文化によって、示す意味が異なると知っていましたか?
ピースサインとは、手の人差し指と中指とを開いて、V字形を作るサインです。
日本では「ピース」=「peace」=「平和」を意味するとして、写真を撮るときの定番ポーズになっています。
最近では日本やアジア諸国のピースサインも広く知られるようになり、あまりなじみのない欧米の人々にも理解されてきています。
とはいえ、やはり「日本人が写真を撮るときにやっている変なポーズ」と思われている可能性も否定できません。
じつは、わたしたちが当たり前のようにポーズをとっている「ピース」は、国や文化によってまったく異なる意味を持っています。
ピースサインが示す意味をいくつか紹介しましょう。
アメリカ・フランス・イギリス・スペイン | 「平和」「勝利」の意味 |
イタリア | 「完璧」「素晴らしい」の意味 |
ギリシャ | 「侮辱」の意味 |
南アフリカ | 「力」「決意」の意味 |
イギリス・オーストラリア | 裏ピースが「侮辱」や「揶揄」「性的」の意味 |
なかでも特に注意したいのが、ギリシャでのピースサインです。
昔、犯罪者へ向けて使われていたピースサインは、相手への「侮辱」を表すので使用しないようにしましょう。
「平和」や「勝利」の象徴とされるピースサインは、「支配や暴力に屈しない!」という決意から生まれた「Victory」を意味するサインでもあります。
また、ピースサインがヨーロッパ全体に広がるきっかけになったのは、第二次世界大戦中のヒトラー独裁に対する抵抗運動だったともいわれています。
日本人がイメージしている「ピース」とは、少しニュアンスが違うのがおわかりいただけたでしょうか。
世界のピースサインには、さまざまな歴史的な事象や複雑な背景が関係しています。
写真で「ピース」をするときは、周囲の状況を見て、各国の文化や慣習を尊重できるように心がけてくださいね。
”peace”の意味
「ピース」の一つ目の意味は、英語の”peace”に由来します。
”peace”は、「平和」「平穏」「安心」などの意味を持つ名詞です。
戦争や紛争がない場所で、人々が支配や暴力などから解放され、お互いを尊重、協力し合いながら生活できる状態を指しています。
辞書では以下のように定義されています。
- 平和、泰平
- 治安、秩序
- 平穏、無事、安心、平安
- 静けさ、沈黙
- 和平、講和条約
参考:Weblio英和辞書
- freedom from war and violence, especially when people live and work together happily without disagreements
特に人々が意見の相違なく幸せに暮らし、ともに働くことにおける戦争や暴力からの解放- the state of not being interrupted or annoyed by worry, problems, noise, or unwanted actions
心配事や問題、騒音、望まない行為などに邪魔されたり、悩まされたりしない状態
”peace”の発音記号は /piːs/ カタカナ表記は「ピース」です。
ラテン語の”pax”(条約、合意、戦争のない状態)が語源といわれており、古フランス語の”pais”から中英語の”pes”や”pees”へ変化し、現代英語の”peace”に至ります。
”peace”と似た意味を持つ類語には、以下のような英語があります。
いずれの表現も「平和」や「平穏」を意味していますが、文脈によってはニュアンスが異なる場合もあるので覚えておきましょう。
- tranquility…静穏、落ち着き、平静
- serenity…晴朗、うららかさ、心の平静、落ち着き、沈着
- harmony…調和、一致、和合、和声、和音、ハーモニー
- calmness…静かさ、冷静、平穏、落ち着き
”peace”を使った例文
”peace”を使った例文を紹介します。
訳)世界平和は多くの人々に共通した目標です。
訳)彼女は瞑想を通じて心の平穏を見出しました。
訳)彼女は世界平和のために祈り、人生を捧げました。
訳)ルームメートたちは平和に暮らしていました。
”piece”の意味
「ピース」の二つ目の意味は、英語の”piece”に由来します。
”piece”は、「断片」「破片」「組を成すものの一つ」「部分」「作品」「一節」など多くの意味を持つ名詞です。
「断片」には、ジグソーパズルのピースやチェスの駒、ホールケーキを切り分けたものなどが該当します。
音楽や美術などの芸術作品も、”piano piece”(ピアノの小作品)や”masterpiece”(最高傑作)と、”piece”を使って表現します。
辞書でも、以下のように多くの意味が記載されています。
- 断片、破片
- (組を成すものの)一つ
- (機械などの)部分、部品
- 一片、一個、一枚、一編、一節
- (動作・性質などの)一例
- (土地などの) 一区画
- 一編の作品(詩、散文、作曲、劇)、一枚の絵、一個の彫刻
- 新聞(雑誌)の記事
- (量の一定した物の単位としての)一定量
- (仕事の)でき高.
- 硬貨、ペニー
- (陸海軍、軍事の)銃、重砲
- (チェスなどの)駒、歩
- 意見、見解
参考:Weblio英和辞書
- a part of something
何かの一部分- a single thing of a particular type, especially one of many
特定の種類の単一のもの、特に多くのもののうちの1つ- something that has been created by an artist, musician, or writer:
芸術家、音楽家、作家によって創作された作品- a coin that has a value below 100 pence, cents, etc
100ペンス以下の硬貨- a gun
銃
”piece”の発音記号は、”peace”と同じで /piːs/ カタカナ表記も「ピース」です。
古フランス語の”pieche”(仕事の一定の量)が語源といわれており、後に「断片、部分」の意味が追加され、現代の”piece”のようなたくさんの意味を持つようになりました。
”piece”と似た意味を持つ類語も合わせて覚えておきましょう。
- fragment…破片、断片、かけら、断章、砕ける、分解する
- part…全体を構成する部分、一部分、重要な部分、要素、割合、部、編、巻
- portion…切り離された一部分、分け前、分与産、相続分、一人前、運命
- bit…小片、細片、わずか、少しばかり、少しばかりの、一片、一つ
”piece”を使った例文
”piece”を使った例文を紹介します。
訳)彼は少女のために書いた曲を演奏しました。
訳)彼女は、割れたガラスの破片を慎重に拾い集めました。
訳)オセロは最後に、より多くのピースを持っている人が勝ちです。
訳)この映画は、彼の不朽の名作です。
”a piece of cake”は、日本語で「朝飯前」を意味するお決まりのフレーズです。
一切れのケーキを食べるのは非常に簡単であることから、「たやすいこと」「簡単なこと」「容易にできること」を表現するときによく使われます。
訳)そのテストはとても簡単だったよ!
まとめ
誰もが知っているカタカナ言葉「ピース」について、本来の英語”peace”と”piece”の意味と正しい使い方を解説しました。
「ピース」は、英語の”peace”(平和)と”piece”(一片)をカタカナ表記した言葉です。
日本語では同じ「ピース」表記でも、元の単語が違うため、それぞれの意味を正確に理解しておく必要があります。
写真を撮るときの定番ポーズであるピースサインは、国や文化によって意味が異なり、必ずしもポジティブな意味を持つわけではありません。
カタカナ言葉をそのまま英語で使用すると、意味が通じなかったり、思わぬ誤解を招いてしまったりします。
特に日本語としてなじみのある英単語は、意味と使い方をしっかりと習得し、適切で正確な使用を心がけましょう。
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