近年、日本の暑さは異常なほどです。熱中症の危険もあり、数ヶ月の間、身体が休まないと感じる方も多くいらっしゃるでしょう。だからこそ、気温が下がって秋の気配を感じられるようになると本当に嬉しいですね。
秋はなにかとやる気が出てきますし、秋の到来を心待ちにする日本では「読書の秋」「食欲の秋」や「行楽の秋」という言葉があります。これらは日本特有の表現ですが、英語にするとどのような表現になるのでしょう?
そこでこの記事では、日本の秋を外国人に英語で説明できるようにフレーズや使い方を紹介します。ぜひ、日本を紹介するときのコミュニケーションにお役立てください。
秋の英語autumnとfallの違い
本題に入る前に、秋の英語をしっかりと押さえましょう。秋を辞書で調べるとautumnとfallという2つの単語が見つかります。さて、この違いをご存知ですか?
autumnとfallはどう違う?
autumnとfallはどちらも夏と冬の間にあり、4つの季節のひとつである「秋」を表します。autumnはイギリスで使われ、fallはアメリカでより使われます。さらに、アメリカ英語では2つとも一般的に使用されますが、イギリス英語ではautumnまたはautumn seasonが使われます。
また、autumnのほうが季節を表す正式な名前として考えられている点も覚えておきましょう。
訳)秋は私にとって、最高の季節です。
訳)去年の秋にボストンにいたんです。
マスターしたい国の英語の「秋」がどちらかなのかを知り、英会話に使うことをおすすめします。
前置詞inを使うin autumn/in fallで「秋に(なると)」の表現もぜひ覚えましょう。
「食欲の秋」の英語
美味しいものがたくさんある日本の秋。私はやっぱり「食欲の秋!」という人も多いでしょう。秋の英語を学んだところで、まずは、「食欲の秋」を英語で表現できるようになるため、英語フレーズや例文を紹介します。
「食欲の秋」は英語で?
「食欲の秋」は日本人の使う表現であり、英語にピッタリと当てはまるフレーズはありません。
食欲といえばappetiteだから、autumn appetite?それとも autumn of appetite?と考えるかもしれませんが、これでは残念ながらネイティブには伝わりません。autumn appetiteというフレーズ自体がありませんし、秋ならではの味覚という感覚も外国人は日本人ほど敏感に持ち合わせていないことも理由かもしれません。それは英語圏に「食欲の秋」という概念がないからとも言えます。
では、どのようにこの感覚をネイティブに伝えればよいのでしょうか?
例えば、夏バテなどの後に、減退していた食欲が戻る季節が秋だという内容で説明すると分かりやすいでしょう。日本の夏が猛暑ということは多くの外国人が知っています。
訳)夏は猛暑で食欲がなくなることがあり得ますが、秋になるとそれが戻ってきます。日本では秋になると、特に旬の食べ物をたくさん食べることができるんです。
lose your appetite:食欲がなくなる・食欲が減退する
the heat wave:猛暑・酷暑・熱波
seasonable foods:旬の食材
この例文には、日本の2つの季節が盛り込まれています。猛暑・酷暑である夏、旬の食べ物が出回る秋、ですね。この対比によって「食欲の秋」を分かりやすく伝えられるでしょう。
また、秋ならではの食材が出回ることも具体的に伝え、相手にとって私たちがどのようなものを秋に美味しく食べているか紹介し、そういった食べ物が人々の食欲をそそるという説明の仕方をすることもできます。
訳)日本の秋には秋刀魚、栗、かぼちゃなど、美味しい旬の食べ物がたくさんあります。だから、これらの美味しい旬の食べ物が人々の食欲をそそります。
saury:さんま
stimulate people’s appetites:人々の食欲をそそる
二番目の英文で「食欲の秋」を表現する場合には、夏が猛暑であることに言及しなくても、シンプルに説明できます。”stimulate”「刺激する」は、物を主語にして「物が何かを刺激する」という便利な動詞ですので、他の英作文でも使える場合には、ぜひ使ってみてください。
日本人が四季を大切にする食文化があることは、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことでも証明されていますね! 近年、欧米諸国だけでなく、日本の近隣のアジア諸国からも、日本の秋の味覚を求めて外国人がたくさん日本を訪れています。
「読書の秋」の説明を英語でしよう
さて、2つ目の秋は「読書の秋」です。「食欲の秋」同様、当てはまる英語表現があるわけではありません。さっそく、どう説明するのか紹介しましょう。
「読書の秋」は英語で?
まず、読書を英語にすると名詞readingになります。readingといえば、英語学習をしている皆さんにとっては4技能のひとつですね。ちなみに、readingには「読むこと・読書」「読み物」「読み上げ」といった意味があります。
「読書の秋」に当たる英語フレーズはありませんが、どう近い表現にするかがキーになります。
日本人にとって、readingをするのにもっとも適している季節が秋と言われています。
訳)日本の秋は、読書に最適な季節です。
この英文を聞いた英語圏の人は、なぜ日本の秋が読書に最適な季節なのだろう?と思うかもしれません。ですので、なぜ秋が読書に最適なのか、その理由も付け加えるといいでしょう。
なぜ日本の秋が読書に最適な季節なのだと思いますか?
その第一の理由としては、暑すぎなくて、過ごしやすいことが挙げられるでしょう。
訳)なぜなら、日本の秋は一般的に暑すぎず、過ごすのに快適な季節だと考えられるからです。
こういった言い方が「読書の秋」を伝える基本フレーズです。日本の秋+読書の季節、です。頭で日本語を無理に英語にせず、このようなシンプルな表現ができるようにしていきましょう。
「読書の秋」の英語に使えるフレーズ
続けて「読書の秋」を説明する際の他フレーズをみてきます。
enjoy reading in autumn
「秋になると読書することを楽しむ」という訳に使われているreadingは動詞readです。enjoyの後には不定詞ではなく動名詞がくるというルールがありましたね。
なぜ「読書の秋」なのか理由を説明
それでは、なぜ「読書の秋」と言われるのか、その理由を以下の例文で表現します。enjoy reading in autumnを変化させて使っていますのでチェックしてみてくださいね。
訳)秋は気温が下がり、夜が長くなるので、人々は読書を楽しみます。
読書をするのに、過ごしやすい秋は気候的にもベストシーズンであることを外国人に伝えています。
イギリスのNational Book Month
実際、筆者の住むイギリスにはNational Book Monthと言って秋である10月が毎年「読書月間」です。
秋にあるNational Book Month
National Book Monthの期間、スマホなどを置いて読書を親しみます。読書の秋とまでは呼ばないものの、秋に本を読むことに共通点があり面白いですね。学校の新学期が9月に始まることも関係しているのかもしれません。
これに加えて、10月にはDyslexia Awareness Month(ディスレクシア啓発月間)というものもあります。Dyslexia(ディスレクシア)とは失読症のことで、文字の読み書きに限定した困難があります。アインシュタイン、トム・クルーズ、アガサ・クリスティなど多くの有名人がディスレクシアと言われています。
英語圏のイギリスやアメリカには、Dyslexia 失読症かどうか診断するクリニックがあります。その専門家によれば、Dyslexia かどうか診断する兆候があり、それらの兆候は主に次の4つの分野から分析されます。
- Reading
- Writing
- Speaking
- Mental Health
Speaking でFiller words (つなぎ言葉)のYou know, Uh, Kinds of … を多用するとその兆候ありと診断されるかもしれません。また、日常生活によく出てくるスペル、例えばHumanity をHumidity などと混乱して覚えているのも、兆候ありと診断されるようです。Dyslexia 失読症の診断において、読むことだけでなく、話すことや書くこともチェックして診断するというのが興味深く、それらはつながっていることを感じます。失読症の診断に、Listeningは入っていませんが、Writing や Speaking の 2技能が入っており、読むことと書くことや話すことはつながっていると考えられていることが分かります。
日本では、高校受験や大学受験に英検の上位級取得が必要になってきていますが、明確に「読書月間」などは設定されていません。資格を取得することばかり推奨していますが、実はほとんどしない人は、上位級の合格が難しいのではないでしょうか。
「行楽の秋」の英語フレーズ
最後は、3つ目の秋「行楽の秋」の紹介です。食欲の秋、読書の秋と同様、夏の暑さが去り、紅葉狩りやグルメの旅を秋に楽しむアクティビティを指します。
「行楽の秋」は英語で?
「読書の秋」をAutumn in Japan is the best season for reading.(日本の秋は、読書に最適な季節です。)と説明することを紹介しました。行楽の秋もこの英文を変化させてみましょう。
訳)日本の秋は、旅行に最適な季節です。
the bestはa greatに置き換えてもよいですね。最上級の best の前には 定冠詞のthe がつきますが、great に変えた場合は 不定冠詞の a をつけて表現するというのもポイントです。以下、さらに情報を追加してみましょう。
訳)日本の秋は、旅行やその地元の美味しい食べ物を食べるのに最適な季節です。
訳)日本の秋は、美しい紅葉を見るために旅行するのに最適な季節です。
秋と言えば紅葉です。紅葉はautumn leaves, autumn colour, autumn foliageなどのフレーズで表現します。春のサクラだけでなく、紅葉も外国人にその美しさをアピールできます。
日本の紅葉の魅力とは?
秋に紅葉を見るために、日本を訪れる外国人も増えていますが、日本の紅葉の魅力は何なのでしょうか?
なぜ日本の紅葉がそこまで人々を惹きつけるのか、その理由は主に2つあります。
1つめの理由は、日本の紅葉の色彩の豊かさです。紅葉が見られる国自体が世界的に珍しく、紅葉は東アジアの沿岸部やアメリカ、ヨーロッパの一部でしか見られません。
それに加えて、日本以外の国では日本以外の国では、一カ所で見られる紅葉は、「紅」か「黄色」のどちらか一触のみです。日本では、紅葉した木々の紅・黄色と常緑樹の緑という3色が、一カ所で見られますね。
また、日本では、紅葉は標高によっても色づき方が違うので、日本では山頂から麓まで、美しくグラデーションがかかった紅葉が楽しめます。
2つめの理由は、紅葉のさまざまなバリエーションとシチュエーションです。
日本の紅葉が楽しめる場所を思い浮かべてください。紅葉は日本のさまざまな山で楽しめるだけでなく、神社やお寺や植物園でも楽しめることができます。
訳)日本の紅葉の魅力の1つは、日本の紅葉の色彩の豊かさです。
訳)日本の紅葉のもう1つの魅力は、紅葉のさまざまなバリエーションとシチュエーションです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「読書の秋」「食欲の秋」「行楽の秋」という日本の秋の人気な過ごし方を説明する英語フレーズはありませんが、一例として “Autumn in Japan is the best season for ◯◯.のように表現してみてはいかがでしょうか。the best season を a great season に変えて表現するのもありです。ある程度、定型表現を覚えて、そこに自分の意見などを表現しながら、英作文するところから始めるといいですね。
イギリスの10月がNational Book Monthに指定されていることも紹介しました。日本では、読書離れが進行しているようですが、英語圏の人はかなり本を読みますし、英語圏の国で過ごしている学生時代を過ごしている日本人の子供たちも本をたくさん読みます。英検やTOEICの試験も、上位級になると、Readingが苦手な人にはハイスコアを取るのが厳しい試験になってきています。
「読書の秋」「食欲の秋」「行楽の秋」という日本の秋を英語でどう表現するかを解説してきましたが、本記事で紹介した例文を参考にして、ぜひあなたの秋を表現できるよう英文作りをしてみてください。
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