「ドメスティック」という言葉を聞いて、みなさんはどのような意味を想像しますか?
もしかすると「ドメスティックバイオレンス」の印象が強く、良くないイメージを持っているかもしれません。
「ドメスティック」は、英語の”domestic”に由来したカタカナ言葉ですが、英語ではネガティブで悪い意味は持っていません。

今回は、勘違いしやすいカタカナ言葉「ドメスティック」について、英語”domestic”の正しい意味と使い方をはじめ、類義語と対義語まで詳しく解説していきます。

「ドメスティック」の意味

「ドメスティック」の意味

「ドメスティック」は、英語の”domestic”をカタカナで表記した言葉です。
”domestic”は、辞書で以下のように定義されています。

【adjective】

  • relating to a person’s own country
    自分の国に関連する
  • relating to or happening in one particular country and not involving any other countries
    特定の国に関連する、または特定の国で起こることであり、他の国は関係ない
  • belonging or relating to the home, house, or family
    家または家族に属する、関連する
  • relating to family relationships and life at home
    家族関係および家庭生活に関連する

【noun】

  • a fight or attack that happens in a home between people who know each other
    お互いを知っている人々の間で家庭内で起こるけんかまたは攻撃
  • someone paid to help with work that needs to be done in a house, such as cleaning and washing clothes
    掃除や洗濯など、家の中で行う仕事で給料をもらう人

参考:Cambridge Dictionary Longman Dictionary

”domestic”には、形容詞と名詞2つの用法があり、文脈によって正しく判断できるようになっておくことが大切です。
形容詞では、「家庭の」「家庭的な」「国内の」、名詞では、「召し使い」「奉公人」「国産品」などと訳されます。

”domestic”の発音記号は、 /dəˈmes.tɪk/ で、「ダ(ュ)メスティック」のように読みます。
[də]の音は、「ド」ではなく「ダ」と聞こえるので、「ダメスティック」と覚えておくと間違いにくいでしょう。

「ドメスティック」を含む言葉

よく見聞きする「ドメスティック」を含む日本語を紹介していきます。
はじめの2つは、「家庭内」や「家族」の意味合いで用いられている言葉です。
普段の会話やニュースでも耳にすることが多いので、比較的なじみのある表現といえるでしょう。

「ドメスティックバイオレンス」

「ドメスティックバイオレンス」は、家庭内暴力を意味する言葉で知られています。
「ドメスティック」が意味するのはあくまでも「家庭内」だけで、「暴力」までは示していません。

「ドメスティックパートナー」

「ドメスティックパートナー」とは、法的な婚姻関係ではないものの、実質的に配偶者のような立場になっている人を指した言葉です。
書類上は何も手続きしていない、いわゆる事実婚状態にあるパートナーを意味します。

続いては、ビジネスにおいて「国内」の意味で用いられている表現を紹介します。
航空業界や旅行業界では、「ドメスティック」という言葉だけで「国内便」「国内旅行」を示す場合も多くみられますよ。

「ドメスティック製品」

「ドメスティック製品」は、国内で作られた製品、つまり「国内産」「国産の製品」を意味する言葉です。
英語では”domestic product”といい、同様に「国産」「国内製」を表します。

「ドメスティック企業」

「ドメスティック企業」とは、国内で活動する企業のことです。
対して、世界中でビジネスを展開する企業は「グローバル企業」といいます。

「ドメスティックブランド」

「ドメスティックブランド」とは、ファッション分野において、日本出身のデザイナーが手がける国内発のブランドを指した言葉です。
国内発の「ドメスティックブランド」に対して、海外発のブランドは「インポートブランド」と呼びます。

”domestic”の使い方

”domestic”の使い方

”domestic”には、大きく分けて「家庭内」と「国内」の2つの意味があります。
それぞれの正しい使い方を例文で確認してみましょう。

「家庭の」「家庭内の」

Aさん
I’ve never been fond of domestic chores like cooking and cleaning.
訳)わたしは料理や掃除のような家事が好きではありません。
Aさん
The store sells a wide range of domestic appliances.
訳)このお店では、家庭用電化製品を幅広く取り扱っています。
Aさん
She likes to keep her domestic life quite separate from her work.
訳)彼女は、家庭生活と仕事とは切り離して考えることを好みます。
Aさん
I think he may be having some domestic problems affecting his work.
訳)彼は家庭内の問題を抱えていて、それが仕事に影響しているのかもしれません。

「自国の」「国内の」

Aさん
The domestic market is still depressed, but demand abroad is picking up.
訳)国内市場は依然として低迷しているものの、海外での需要は回復しています。
Aさん
Focusing on exporting could help fight off domestic and foreign competition.
訳)輸出に注力することで、国内外での競争に打ち勝てるでしょう。
Aさん
The airline serves mainly domestic routes in the US and security has been stepped up considerably.
訳)この航空会社は主にアメリカ国内線に就航しており、セキュリティはかなり強化されています。
Aさん
The President’s speech covered a range of foreign and domestic issues.
訳)大統領のスピーチは、外交および国内のさまざまな問題に言及していました。

”domestic”の類義語と対義語

最後に、”domestic”の類義語と対義語を紹介します。
カタカナの「ドメスティック」が、英語ではどのような意味を持っているのかを改めて確認しましょう。

類義語

  • home 家、自宅、家庭、家庭生活、故郷、本国
  • state 国家、国、状態、ありさま
  • household 家族、一家、世帯
  • family 家族、一家、一族、家柄
  • tame 飼いならされた、人になれた、従順な

対義語

  • foreign 外国の、外国産の、対外の
  • global 地球全体の、世界的な、包括的な
  • International 国際上の、国際間の、国際的な
  • import …へ輸入する、…に持ち込む、…の意味を含む
  • wild 野生の、荒れ果てた、自然のままの、人の住まない

まとめ

勘違いしやすいカタカナ言葉「ドメスティック」について、英語”domestic”の正しい意味と使い方、そして類義語と対義語を解説しました。

「ドメスティック」は、英語の”domestic”に由来したカタカナ言葉です。
「ドメスティックバイオレンス」=家庭内暴力を表すことから、悪い意味で捉えられることも少なくありません。
しかし、本来の英語”domestic”には、ネガティブな意味は含まれておらず、あくまで「家庭内」や「国内」を表現する場合に使われます。

日本語になじみのあるカタカナ言葉は、英語本来の意味と解釈が異なることが多々あります。
「どんな意味かな?」「どうやって使うんだっけ?」と迷ったときは、しっかりと辞書を引いて、正しい使い方を理解しておきましょう。

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