実は関係がある広島弁と英語?

2018年プロ野球チームの広島東洋カープが、セ・リーグ優勝を果たしました。球団史上初の3連覇を成し遂げた本球団がある広島県。

その広島県で話される広島弁ですが、映画「仁義なき戦い」の劇中で使用される言葉としてのインパクトが強く、強面の男性が話すイメージが強いかもしれません。広島出身の野球解説者に、広島訛りのイントネーションがみられたりすることも、その要因の一つだと考えられます。

またその一方で、アーティストのPerfumeが、メディア上で広島弁を話すなど、女性が話す可愛らしい広島弁の印象も、徐々に根付いてきています。実は、そんな両面性のある広島弁には、まだまだ知られていない一面があるのです。

それは、英語の発音と深く関係があるという点です。英語の発音というと、日本人が最も苦手としている問題です。現在英語学習をされている方なら、なおさらその難しさは周知のことと思います。長く英語の学習をしていても、なかなかリスニング力が上がらない、聞き取れるけど話せない、そんな方も多いのではないでしょうか。

英語と日本語、ましてやその方言に関していうと、近しい存在ではないと思いますが、どのような関係性があるのか、またそれがどのように英語学習に有効的なのか、ここで見ていきたいと思います。

日本人には難しい英語の発音…

英語を学習していて、日本人にとって最も苦戦するのが英単語の発音です。例えば、「family」という単語は、日本語の発音にはない文字で構成されており、日本人が最も正しく発音しづらい単語の一つとして知られています。

「R」と「L」や、「B」や「V」といった発音の違いも、英語学習者にとって最も苦戦する文字ではないでしょうか。「R」は、舌を丸めるようにして音を出しのに対して、「L」は、上前歯の裏側に舌を当てるようにして発音をします。似ている単語の例として、「fry」(揚げる)と「fly」(飛ぶ)などが挙げられます。

また、「B」は、上下の唇を合わせて、前にあるろうそくの火を消すように、息を出して発音します。「V」は、下唇に上の歯を添えて、唇を振動させるようにして発音します。似ている単語の例としては、「rub」(こする)と「love」(愛)などがありますね。

こういった単語は、きちんと発音しないと全く異なる意味に受け取られてしまう可能性があるので、注意が必要です。

さらに、英語のスピーキングで重要になってくるのが、単語と単語のつながりです。フランス語でいう、リエゾンという語法に近いのですが、フランス語では、前後の単語によって単語の発音が変化します。例えば、「des oranges(いくつかのオレンジ)」は、「デ オランジュ」とは読まず、「デゾランジュ」と単語の読み方を変化させて発音させます。

英語でも同様に、「there is」は「ゼア イズ」ではなく「ゼア リズ」という感じで発音します。このように、英語でも少なからず前後の単語が影響し合って発音されることが分かります。

日本語では基本的にそのような語法は用いないため、外国語の学習においてスピーキングに苦戦を強いられるのですが、そのヒントとして、広島弁が関係してくるのです。

広島弁の特徴を紹介

広島弁とは、主に広島県で話される方言ですが、愛媛や山口、岡山方面でも似通った語彙や語法が使われています。よく知られている表現に、「じゃけぇ」「~けん」といった言葉があります。

広島弁の特徴として、文法では、語尾に「じゃ」「とる/ちょる」「(否定語)〜ん」を、接続助詞には、「けえ」や「けん」を用います。アクセントに関していうと、特徴的な名前の呼び方があります。

例えば、「のりこ」を標準語で呼ぶと、「のりこ(↓)」となり「の」が一番高い音になります。広島弁では、「のり(↑)こ(↓)」というように、「り」が最も高い音として発音されるのです。

広島弁と英語の例

実はこれらの独特な広島弁のイントネーションは、英語の抑揚を発音する時にも役立つのです。早速具体的な例を挙げて、みていきましょう。*太文字は一番高い部分

  • っと(たくさん)→ many

「え」の部分にアクセントを置きます。manyのアクセント位置と同様に単語の前半が強調されて発音されています。

  • ええね(良いですね)→ good

こちらもmanyと同様の位置にアクセントを置きます

  • りゃ(↑)ぁの(↓)ぉー(あれは…)→ That(↑) is(↓)

「りゃぁ」に向けてイントネーションを上げて読み、「のー」で下げます。

  • どー(→)ゆー(→)(どういう意味)→ What do(→) you(→) mean?

発音や子音・母音共に、共通する発音の多い例文です。

  • どー(→)し(↑)よん(↓)(なにをしていますか)→ What are(→) you(→) do(↑)ing(↓)?

「しよん」と「doing」を山のように上下させて発音させます。

日本語の標準語では、各単語をはっきりと発音して文章を完成させます。一方で、広島弁では基本的に、繋げて流れるように単語と単語を発音し、文章として話をするイメージです。

疑問文でも、最後の語尾は力を抜くように下げて発します。この抑揚や語法が、英語の語調と似ているため、広島弁を意識することで英語のスピーキング力も上がるのではないかと考えています。

まとめ

英語の発音をはじめとするスピーキングは、学習者にとって最も大きい悩みの種です。そのため、発音に特化した良い教材もたくさんありますが、スランプに陥ってしまっている、スピーキング学習で何かコツをつかみたいと思っている方には、少し気分転換に、広島弁の勉強をしてみてはいかがでしょうか。

広島弁を練習してイントネーションのコツをつかみ、英語のリスニング力やスピーキング力を鍛えていく方法もお勧めです。

ぜひ、広島弁に挑戦してみてください!