オンライン英会話は、好きな時間に、好きな場所で、気軽にレッスンを受講して英会話を学べる勉強法です。

レッスンは、基本的に1対1で行われるため、グループ・レッスン、セミ・グループ・レッスンとは異なり、受講者自身が受け答えの中心になります。

また、週1回ベースのレッスンが基本の英会話教室、英語学校に対して、その気になれば毎日、契約の仕方によっては1日に複数回のレッスンを入れることもできるため、集中して取り組むことができれば、短期間でも英会話力をグッと伸ばせる可能性があります。

この記事では、オンライン英会話のレッスンをじょうずに使って、一ヶ月間でも英会話力をつけられる、効果的な方法をお伝えします。

一ヶ月で英語は話せるようになる?

【オンライン英会話】効果的な活用方法・使い方のコツを詳しく解説!

オンライン英会話のレッスンを受講する場合、「たった一ヶ月で英語が話せるようになるのか」は気になるポイントですよね。どのような変化が期待できるのか、順にみていきましょう。

一定の効果は期待できる

結論からいうと、一ヶ月のオンライン英会話受講で「一定の効果」は期待できます。

なぜなら、日本人の多くは中学校と高校の6年間で英語を学んでいますが、単語力、文法力に比べて、会話の力が備わっていないからです。

従来の英語の授業では、英語の基本となる英文法を学んでいますし、語彙を増やすために英単語や熟語も暗記しています。

しかし、部分的にリスニングは取り入れられてはいたものの、学校の授業では英文法、英単語、長文読解の能力が重視され、会話能力は磨かれていません。

日本人の多くが、英文法や英単語を学んできたにもかかわらず、英会話を苦手としているのは、6年間(あるいはそれ以上)で培った知識を活かせていないからです。

中学・高校の入学試験や定期テストで問われるのは会話力ではありませんから、学生時代は英語が得意だったひとでも、こと英会話についてのスキルは未知数ということになります。

「2020年の教育改革」後の英語教育

比較のために、新学習指導要領によって英語が必修になった、現在の状況をまとめてみます。

2020年4月から実施されている新学習指導要領では、下記の5つの領域ごとに英語の力をつけることを意識しています。

  • 聞くこと
  • 読むこと
  • 話すこと
  • (やり取り・発表)
  • 書くこと

そして、段階的に英語学習の目標を設定しています。

  • 小学校(3・4年)…「聞くこと」「話すこと(やり取り・発表)」を中心
  • 小学校(5・6年)…音声に十分慣れ親しんだ上で、段階的に「読むこと」「書くこと」を加える
  • 中学校…自分自身の考えや気持ちなどを伝え合う対話的な活動を重視、授業は外国語※で行うことを基本
  • 高校…5領域を総合的に扱う科目群、ディベートやディスカッション等を通して発信力を高める科目群を設定、授業は外国語で行うことを基本

参考:「新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について」(文部科学省、令和元年)

※資料では「外国語」と表示されていますが、基本的には教科として英語を想定しています。

小学校での英語教育は、「外国語活動」として平成20年度から段階的に実施されてきました。しかし、こうした大きな変化は、これまでの英語教育では、英語のコミュニケーションスキルが十分でない、という認識に基づいています。

オンライン英会話は、英語の会話に特化したレッスンを提供しています(英文法や語彙力を強化するコースもあります)。

オンライン英会話で一ヶ月間、英会話に集中して取り組めば、これまで培ってきた英文法と英単語の力を会話で発揮する機会を得られるので、一定の効果が期待できるというわけです。

大改革ともいわれた新学習指導要領で、日本の学校の英語教育は大きく変わりつつあります。

自分が受けてきた英語教育とは何が変わったのか、興味のある方には、次の記事が参考になります。

一ヶ月の成長具合は受講者の現在の英語力による

前項で、「これまで培ってきた英文法と英単語の力を会話で発揮する機会」と書きました。

オンライン英会話を受講する一ヶ月間の成長具合は、受講生の現在の英語力によって決まります。

なぜなら、短期間のオンライン英会話学習で得られる効果のほとんどは、「現在もっている英語力を”英会話で発揮する”こと」だからです。

人間の頭は、新しいことを「覚える」よりも、一度覚えたことを「思い出す」ことのほうが得意です。

一ヶ月という短期間では、新しいことを覚えて使いこなせるようになるよりも、一度覚えたけれども忘れてしまっていた記憶を思い出して定着させる方が、より現実的でしょう。

英語学習で「思い出す」対象は、これまで培ってきた英語力(英文法や、英単語・英熟語の語彙力)を指します。

従って、「受講者の現在の英語力が、オンライン英会話受講一ヶ月の成長具合を決める」といえるわけです。

ところで、英語で「一ヶ月」をなんというか、さっと頭に浮かぶでしょうか?

では、「二ヶ月」はどうでしょう?

次の記事は、「一ヶ月」を含む、いろいろな英語の表現を紹介しています。「1ヶ月に一回」や「1ヶ月間」なども、ぱっと出てくるようになると会話もスムーズになりますね。

 

一ヶ月だけでは劇的な改善は難しい点に注意

最初に、一ヶ月のオンライン英会話受講で「一定の効果」は期待できると書きました。しかし、短期間の受講では、劇的な英会話力の改善は難しい点だけ気に留めておいてください。

なぜなら、おとなの学習者の場合、思い出す英語知識が多いほど、英会話で発揮させるためには多くの時間が必要になるからです。

英文法や語彙力はあるが、英会話が苦手な例

極端な例ですが、ちょっと想像してみてください。「TOEIC900点、英検1級をもっているけど、英会話だけはからっきし苦手」というひとがいたとします。

このひとは英会話が苦手なだけで、英文法の知識や英単語力は備えているはずです。

短期間(一ヶ月間)のオンライン英会話で一定の成果を挙げられるのは、「現在もっている英語力を、英会話で発揮させる力を養う」からです。従って、TOEIC900点と英検1級の資格をもつこのひとは、オンライン英会話で機会を得ることで、グンと英会話力が伸びることを期待できそうに思いますよね。

しかし、考えてみてください。

TOEIC900点と英検1級レベルの英文法と、単語・熟語の英語の語彙力は、非英語圏の外国人の知識としては相当なものです。それだけの量の知識を、わずか一ヶ月で十全に英会話に移行できるものでしょうか?

英語の知識を英会話に活かすためには、あるフレーズを言いたいときに、「この英単語を組み合わせてみよう」「この文型で使ってみよう」というひらめきを得て、実践する機会が必要になります。当然、英語の知識が多ければ多いだけ、ひらめきや実践の機会は豊富に必要になるわけです。

「一ヶ月のオンライン英会話だけでは、劇的な成果は得にくい」点もあることを考慮する必要があります。

さて、オンライン英会話のレッスンを受ける目的はさまざまでしょうが、せっかく受講するなら「英語を話せるようになりたい」という方も多いのではないでしょうか。

次の記事では、オンライン英会話を半年間受講したら、どのくらいの効果が期待できるのかを説明しています。「一ヶ月のオンライン英会話だけでは、劇的な成果は得にくい」ときの参考になるかもしれません。

1ヶ月間毎日オンライン英会話を実践するメリットとは?

1ヶ月毎日オンライン英会話を実践するメリットとは?

先に書いた通り、オンライン英会話は手軽に受講できるのが魅力です。そして、英会話教室や英語学校に比べて安価で、毎日レッスンを受けることもできます。

英会話は、英文法や英単語・熟語の語彙力に加えて、場数を踏んで慣れることで上達します。まして一ヶ月間という短期間で少しでも成果を出したいなら、できる限り毎日でもオンライン英会話のレッスンを受けたいところです。

一ヶ月のあいだ、毎日オンライン英会話のレッスンを受講すると、「毎日の英語学習の効果が大きく増幅する」というメリットがあります。レッスンを受講することで、毎回の学習で知識を得るわけですが、それを一ヶ月、そして毎日集中して続けることで、どのように効果が増すのでしょうか。根拠を順にみていきましょう。

アウトプットの必要性を得られる

オンライン英会話のレッスンは、インターネットを経由して、画面越しに講師と1対1で向き合う形式が主流です。

多人数で受ける学校の授業や、グループ・レッスン、セミ・グループ・レッスンが基本の英会話教室、英語学校のレッスンとは異なり、受講者は主体的なアウトプットを求められます。

ここでいうアウトプットとは、英語を書いたり、話したりすることで、自分のもっている英語の知識を、頭の中から取り出して使う英語ことを指します。

日本語だけで、仕事から生活までほぼ事足りる日本の生活では、英語を勉強していても、実際に使う機会は決して多くありません。仮に仕事で英語を使うとなると、それは「練習」ではなく、いきなり「実践」ですから、正確で、誤りのないものであることが必要です。

そういう環境のなかで、オンライン英会話のレッスンを受講することは、「アウトプットの必要性」に迫られることになります。レッスンはと1対1ですから、「お客さん」として傍観していることはできず、あなた自身が話す、聞く、尋ねるという行為者になります。

そして、「アウトプットの必要性」があることは、学習する上で大きな動機づけになり、かつ、漠然と何かを覚えるのではなく、実際に使うつもりで具体的に学ぶので定着しやすい効果があります。それを毎日、集中して繰り返すことで、大きな増幅効果が得られるのです。

想像してみてください。

オンライン英会話のレッスンを予約するだけで、「今日はオンライン英会話のレッスンがあるな」と意識しますよね。

自然と、レッスンの内容が頭に浮かぶでしょうし、特定のコースであれば今日のトピックについて、フリートークであれば「どんな話をしようかな」と考えるでしょう。話したいことがあれば、どの単語や文型を使うか、どのように切り出したらいいか、どう説明したら講師にわかってもらいやすいか、予習するきっかけにもなります。

このような利用の仕方をすると、日々の英語学習の内容を「実際に英会話で使う機会」を得られるので、「学習効果が大きく増幅する」ことが期待できるわけです。

日常に実践の機会をもつこと、という意味で、短期間の留学の経験談は参考になります。

この記事は、大学卒業前にオーストラリアのブリスベンの英語学校で2週間研修を受け、2週間は小学校の日本語教師ボランティアをするという内容で、オーストラリア人家庭でのホームステイを経験した方のレポートです。

オーストラリア生活のなかで英語を使うことで、英語の話し方、多人数のなかでの発言の機会をつかみ方など、いろいろな発見があり、一ヶ月の滞在の充実ぶりが伝わってきます。

脳内リハーサルが大事

前項で書いた通り、オンライン英会話は、主体的に英語を話さなければならない場です。英語で話すこと、話すことを前提に、その前にあれこれ思いめぐらせることが英語の学習の上で効果的なことは「第二言語習得論」でも取り上げられています。

「第二言語習得論」とは、ひとびとがどのようにして外国語を使えるようになるかを研究している学問分野です。

言語学者で、第二言語習得論を研究している白井恭弘さんは、著書『外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か』(岩波新書)のなかで、こう述べています。

その日起こったことや学んだことについて、「誰かに(英語で)話すことを脳内でリハーサルをするのが効果的だと考えられる」

オンライン英会話のレッスンは、否が応でも英語を話さなければならない場です。講師と英語で話す場面を想定して、ふだんの学習で学んだ内容を、何度も、形を変えて頭のなかでリハーサルすることは、とても意味があります。

1ヶ月間毎日、オンライン英会話のレッスンを受けることにより、それを毎日繰り替えすことは「学習効果が大きく増幅する」ためにもの大切です。

1ヶ月で英語力をアップさせる上達の秘訣とは?

上達の秘訣?短期間(1ヶ月)で英語力をアップさせる方法とは?

それでは、短期間(ここでは一ヶ月として)のうちに、オンライン英会話で英語力をアップさせるには、どのようなことに注意すればよいでしょうか。上達の秘訣として考えられることは、以下のポイントです。

オンライン英会話をメインの学習法にしない

これまでに説明してきた通り、英語力は「読む」「聞く」「書く」「話す」の総合的な能力です。これに対して、オンライン英会話は、その名の通り、英会話の力をつけるために、会話に特化したコースが主流です。

一ヶ月で英語力をアップさせる、上達の秘訣のひとつは「オンライン英会話をメインの学習法にしない」ことです。

つまり、オンライン英会話のほかに、英文法や英単語に軸足を置いた英語学習をするということです。

これは、前項でお伝えした「アウトプットの必要性」と「脳内リハーサル」のポイントにも合致します。

英語の構造を理解するために英文法を身につけ、英単語や英熟語を覚えて語彙力を増やした上で、その学習内容の「実践の場」「活用の場」として、オンライン英会話のレッスンを受けるということですね。

会話の場数だけを増やしても、文章を形づくる文型が頭に入っていなかったり、そもそも単語や熟語の絶対数が足りなければ、言いたいことを十分に伝えることはできず、また相手が話していることを正確に理解することはできません。

運用能力を高めるときに必要なことは、日本語でも外国語でも同じです。

テーマを決めて予習をする

もうひとつ、一ヶ月で英語力をアップさせる、上達の秘訣のひとつは「テーマを決めて予習をする」ことです。

こちらも前項でお伝えした「アウトプットの必要性」と「脳内リハーサル」の話にかかわりがあります。

オンライン英会話の、画面越しに講師と1対1で向き合う形式は、雄弁なひとにだけ話す機会が集中してしまいがちな、グループ・レッスンとは違う利点があります。

一方、講師と話すことだけを重視してしまうと、単なるおしゃべりに流れてしまう、「英語が通じた」ことに満足して正しい表現を学び損ねてしまう危険性もあります。

もちろん、オンライン英会話の講師は、一定の指導経験があり、サービスを提供するプラットフォームで研修を受けているはずですが、そうは言っても、講師自身の能力や経験値は一様ではないので、受講する側も目標を定めておく必要があります。

今回は「この文法を使って(このフレーズを使って)、このテーマの話をしよう」と決めて予習をし、その上でオンライン英会話のレッスンに挑むならば、予習した内容がいっそう定着しやすくなるわけですね。

オンライン英会話 Kimini の特訓コース

教材出版社の学研が提供するオンライン英会話 Kimini には、標準的な英会話コースのほかに、資格試験対策や、一通りの基礎は学んだひと向けの、おさらいを目的にしたコースがあります。

全10レッスンで構成される「特訓コース」もあり、短期間に集中してトレーニングしたいときに適しています。

  • 海外旅行直前!特訓コース<移動>編
    これから外国を旅行するひとにぴったりのコースで、「空港・機内でのやりとりや、タクシー・電車・バスに乗る際に必要な英語」を集中して学びます。ことばの不安がなくなれば、海外旅行はいっそう楽しくなりますね。
  • 自分の事を話そう!特訓コース<自己紹介>編
    仕事やプライベートで誰かと会うときは、自分を紹介する必要があります。これは自分のことを話す練習をするのに合ったコースで、「初対面の人との簡単な挨拶や会話」にポイントを置いて学習します。
  • 発音特訓コース<日本人が苦手な発音>編
    英語には特徴的な発音があり、日本語のカタカナで発音しても通じにくい単語があります。このコースでは、「LとRやBとVの音の違いなど、日本人が苦手としている発音」を集中して練習することで、いっそうの会話力アップをねらいます。

まとめ

この記事では、オンライン英会話を使って、短期間(ここでは一ヶ月間)でも英語力を上げられる理由と、オンライン英会話のレッスンを使って英会話力を上達させるための方法をお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、オンライン英会話のレッスンを利用することで得られる「アウトプットの必要性」の効果の高さ、そして短期間(一ヶ月間)でも、賢く効果的に英語力を伸ばせる具体的な方法について理解されたことでしょう。

まずは一ヶ月間オンライン英会話に挑戦してみるのもよいでしょうし、もう少し腰をすえて、じっくり受講してみたいなら、それもまた素晴らしいことです。

この記事でお伝えしたことが、あなたの英語学習をより充実したものにする助けになれば幸いです。