「ユニバーサルデザイン」や「ユニバーサルサービス」といった言葉をよく耳にするようになりました。
企業や公共施設など、さまざまな場所やシーンで使われている「ユニバーサル」は、英語の”universal”に由来したカタカナ言葉です。
「誰にでも対応している」もしくは「どんな人にでも合った」のように、多くの人々に適応しているといった意味で用いられています。
英語の意味は深く考えずに、なんとなくの感覚で使っている人も多いのではないでしょうか。
実際には、”universal”をどのようなシーンで、どうやって使えばいいのか、よくわかっていないということもあるかもしれません。
今回は、テーマパークの名称としてもなじみのあるカタカナ言葉「ユニバーサル」について、英語”universal”の意味と正しい使い方、言い換え表現を紹介していきます。
「ユニバーサル」の意味
「ユニバーサル」は、英語”universal”をカタカナで表記した言葉です。
一般的であるさま、全てに共通であるさまを表し、しばしば「普遍的」という日本語で言い換えられる場合もあります。
「ユニバーサル」には、大きく分けて2つの意味があります。
「一般的・普遍的」という意味では、万人に向けた設計や機能などを指して使われます。
例:バリアフリー、ユニバーサルマーク、ユニバーサルデザイン
「宇宙的・世界的」という意味においては、インターナショナルな意味合いが強く、対象となる範囲はより限定的であると考えるとわかりやすいでしょう。
例:ユニバーサルな視点、ユニバーサルな経営方針、ユニバーサルなビジネス
「ユニバーサル」の関連語
「ユニバーサル」が含まれる言葉は、わたしたちの生活にとても浸透しており、公平で柔軟なものに対していろいろなシーンで用いられています。
「ユニバーサルデザイン」 | 性別、世代、文化、国籍を問わず、多くの人が使いやすいようにした仕様 |
「ユニバーサルな社会」 | 誰もが幸せに暮らせる社会 |
「ユニバーサルタイプ」 | どんなタイプにも適応することを示す |
「ユニバーサルマーク」 | 障害を持つ人が利用できることを意味する世界共通のマーク |
上記の中で特によく見聞きするのが、「ユニバーサルデザイン」ではないでしょうか。
「ユニバーサルデザイン」は、障害を持つ人も持たない人も、どんな人であっても利用できる設計(デザイン)のことを表し、頭文字をとって、「UD」と表現されることもあります。
性別、世代、文化、国籍を超えて、多くの人が使いやすい仕様にしたデザインのことで、
アメリカの建築家でデザイナー、教育者でもあったロナルド・メイス氏が提唱しました。
以下の7原則に基づき、世界のもの作りの規格として、国際標準規格にも採用されています。
(1)だれにでも公平に利用できること
(2)使う上で自由度が高いこと
(3)使い方が簡単ですぐわかること
(4)必要な情報がすぐに理解できること
(5)うっかりミスや危険につながらないデザインであること
(6)無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
(7)アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
「ユニバーサル」と似たような言葉に、「ユニバース」があります。
「ユニバース」は英語で”universe”、「宇宙」「地球を含めた万物」「世界」を強調するときに使われる表現です。
似ている言葉ではありますが、それぞれが示す意味は異なるので間違えないようにしましょう。
また、「普遍的な」「万国共通の」といった意味を持つ「ユニバーサル」と、しばしば混同されやすいのが「グローバル」です。
「グローバル」は英語で”global”、「地球全体」「世界中」のほかにも「広範囲にわたる」「全体的な」「包括的な」といった意味を表します。
「ユニバーサル」は、普遍的で広く一般的であるさまを示すのに対して、「グローバル」は「世界的規模」「地球規模」のように、世界や地球を意識した意味合いが強くなると覚えておきましょう。
”universal”の意味
”universal”は、「万人の」「一般的な」「普遍的な」「全世界の」といった意味を持つ英語です。
辞書では以下のように定義されており、”everyone”とあるように「誰もが」「みんなにとって」がコアの意味であることがわかります。
- existing everywhere or involving everyone
どこにでも存在する、または全ての人を巻き込む- involving everyone in the world or in a particular group
世界中の全ての人または特定のグループを巻き込む参考:
Cambridge Dictionary
Longman Dictionary of Contemporary English
”universal”の発音記号は、アメリカ英語とイギリス英語で若干異なります。
【アメリカ英語】 /ˌjuː.nəˈvɝː.səl/ ユネヴァースォ(ル)
【イギリス英語】 /ˌjuː.nɪˈvɜː.səl/ ユニヴァースォ(ル)
「ə」と「ɪ」のわずかな違いですが、日本語で使っている「ユニバーサル」とは読みもアクセントも異なるため、正しい英語の発音を習得しておきましょう。
”universal”を使った例文
「一般的な」「普遍的な」「万国共通」「全世界の」など、複数の意味を持つ”universal”の使い方を例文で紹介していきます。
「一般的な」「普遍的な」を意味する”universal”
訳)長年にわたり、彼女の作品は普遍的な賞賛と信頼を余儀なくされてきました。
訳)成功した理由のひとつは、彼女の小説が普遍的な魅力を持っていることです。
訳)恋愛や人間関係というのは、いつの時代も普遍的な関心事です。
「万国共通」「全世界の」を意味する”universal”
訳)音楽は、世界共通の言語だといわれています。
訳)この映画は世界的に高く評価され、現在映画化もされています。
訳)全ての人に、無料国民皆保険を与えるべきです。
”universal”の言い換え表現
”universal”は、「世界的」や「全体的」などを意味する他の英語に言い換えも可能です。
”universal”と似た意味を持つ英語を紹介します。
widespread
”widespread”は、「広範囲に」「蔓延した」「広く行きわたった」「一般に普及した」といった意味を表す英語です。
ある物事や現象が、広範囲にわたり存在していること、影響が広がっていることを指して使われます。
訳)フランス北部では、広範囲にわたって洪水が発生しています。
general
”general”は、「全体的な」「全面的な」「一般の」「大体の」「世間一般の」などを意味する英語です。
ほとんど、あるいは全ての人やもの、場所などを含む全体を表します。
派生語に、「通常」「普通」を意味する副詞”generally”や、「一般論」「普遍化」などを表す名詞”generalization”があります。
訳)その講演は、一般的な関心を引くことを意図しています。
common
”common”は、「普及している」「一般的な」「共通した」という意味のほかに、「日常的な」「普通の」「公の」「平凡な」などの意味を持っている英語です。
ある状況における物事の共通性や典型性、共有物、共通認識などを表現する際に使われます。
訳)同じような服装をしたカップルをよく見かけます。
whole
”whole”は、「全体の」「完全な」「無傷の」「そっくりそのままの」「欠けていない」といった意味を表す英語です。
全て揃っているさま、一部分も欠けていないさまを示しており、おもに名詞や形容詞として、あるものや事象の全ての部分を含む状態を表現するときに使用されます。
訳)エクササイズのクラスが終わると、全身が痛くなりました。
total
”total”は、「全体の」「総計の」「完全な」「総力的な」などを意味する英語です。
形容詞、動詞、名詞の3つの用法があります。
・形容詞「全体の」「完全な」
・動詞「合計する」「総計になる」
・名詞「合計」「総額」
全ての数値や値段などを合計するときに非常によく使われるので、必ずおさえておきたい単語ですよ。
訳)残業代も含めると、わたしの総支給額はかなり高いです。
unlimited
”unlimited”は、「無限の」「広々とした」「際限のない」「無制限の」「絶大な」といった意味を持つ英語です。
数量や範囲、能力などにおいて、制限が一切ない状態を表しています。
何らかの制約や制限が存在しないので、非常に自由度が高いことを表現するときにも使えます。
訳)これらのパスは、1ヶ月間ヨーロッパ内を無制限で旅行する際に利用できます。
worldwide
”worldwide”は、「世界的規模の」「世界中に広がった」という意味を表す英語です。
何かが世界中に及んでいるさま、地球全体に関わっているさまを示します。
訳)平均気温が数度上昇するだけで、世界中で環境問題が発生する可能性があります。
まとめ
日本語としてもなじみのあるカタカナ言葉「ユニバーサル」について、英語”universal”の意味と正しい使い方、言い換え表現を紹介しました。
「ユニバーサル」は、英語”universal”をそのままカタカナで表記した言葉です。
”universal”は、「普遍的」「一般的」という意味だけでなく、「世界共通の」「万国共通の」のように世界規模での文脈においても用いられるとても使用頻度の高い単語です。
公平性や平等性を表現するときに便利な「ユニバーサル」を使った言葉は、これからますます増えていく表現でもあります。
解釈や説明に迷ったときは、英語での意味をしっかりと頭に入れて、正しく使えるようになっておきたいですね。
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