「英語の会話ができるようになりたい」
「ペラペラ話せなくてもいいから、英語でコミュニケーションをとりたい」
「仕事上、必要最小限のやりとりが英語でできるようになりたい」

英会話について、こんな風に考えるひとは、どのようなことから始めたらいいのでしょうか?

この記事では「英語の会話ができるようになりたい」と願う方のための、目標設定や学習の仕方などをさまざまな角度からみていきます。
英語初心者の方を念頭に置いてわかりやすく説明しますので、英語を上達させたいけれど、どこから始めていいか分からないとお悩みの方は、ぜひ最後までお読みくださいね。
きっとお役に立てると思います。

英会話のための事前準備はゴール設定と心がまえの確認

英会話のための事前準備はゴール設定と心がまえの確認

英語で会話するための準備には、「フィジカル(物質的)な準備」だけでなく、心がまえ、つまり「精神的な準備」も含まれています。
このふたつの準備が整ったときに、あなたがすべきことが見えてきます。それぞれを詳しくみてみましょう。

ゴールの設定

あなたは、<何のために英語の会話ができるようになりたい>と考えるのでしょうか
「英語が話せるようになりたい」というときに、めざすゴールは明確ですか?

英語は、日本人の多くが学校で学ぶ第二言語ですので、辞書や市販の教材も、他のどんな言語よりも種類が多く、数もそろっています。現代では、いわば国際語であることから、周りを見回せば英会話学校もあり、つまり、とりあえず何かを始めるための環境が、英語の場合はかなり整っているといってよいでしょう。

そのため、”人気の”、”売れてる”、”すぐ話せる”といった魅力的なキーワードに釣られて、自分に向かない学習法につい手を出してしまう。その挙句に、(自分に向かないために)続けることが苦痛になり、挫折してしまうというパターンがままあるようです。
……というのはちょっと大げさですが、ここで伝えたいのは、学習者自身が、自分主導の準備をする必要があるという点です。

そのためには、自分のための英会話のゴールを設定することが不可欠なのです。
ゴールとは、たとえば以下のようにいろいろなものがあり、ごくごく身近なものから、将来の夢まで多岐にわたります。

  • 外国人と友達になりたい
  • 外国人と交流がしたい
  • 海外で個人旅行を楽しみたい
  • 好きなブランドの海外通販で買い物をしたい
  • 英語を活かした仕事がしたい
  • 海外に住みたい

英語で会話がある程度できるようになると、自分の世界が広がることは間違いありません。目標を立てたら、そこに向かうためのブレイクダウンを行ない、小さな目標に分解していきます。より小さなステップに分解することによって、具体的な取り組みができるからです。

いきなり壮大な目標には到達できませんが、それぞれの小目標を達成したことで、ポジティブな感情がわいてきたり、さらに上達した自分の姿をイメージすることができたりして、次のステップへの足がかりになります。

 

学習の目標設定は、その後具体的な取り組みを考えるうえでも、とても重要です。次の記事は、英語学習者にとってなぜ目標が必要なのか、どのような目標なら”具体的”といえるのかを考察しています。

心がまえの確認

さて、英語で会話ができるようになりたいと考えているあなたは、こんなことばをご存知でしょうか?

「チャンスは準備された心のみ降り立つ」(Chance favors the prepared mind)

ールイ・パスツール

フランスの細菌学者パスツール(Louis Pasteur)がスピーチのなかで述べたことばで、チャンスは偶然舞い込むものではなく、その機会をつかめるかどうかは自分自身にかかっているという意味が込められています。この「準備された心」は、英会話にも当てはまります。

さて、英会話への心がまえとは何でしょう。当然、<とりあえず勉強を始める>ことではなく、もっと明確な心がまえが必要です。
ひとことで言うなら、英会話への心がまえは「積極性」になります。

これから新しく始めることについては、どうしても不安がつきまとうものです。

<本当に英語が話せるようになるの?>

<正しい英語で会話はできないのでは?>

<外国人と話すのちょっとこわいなあ>

などなど、この記事を読んでくださっているあなたも、感じているかもしれません。

新しく始めることに不安になりがちなのは重々承知していますが、正のスパイラルを起こすためには、こうした不安を上回る、ポジティブな気持ちをもつことが大切です。

ですから、あえてこう考えてみてはいかがでしょう。

<最初はうまく話せなくても、繰り返していけばきっと上達するだろう>

<多少間違った単語や表現を使ったとしても、実践で気がつけば改めるきっかけになる>

<外国人と話すと、新しい世界に出会えるかもしれないなあ>

どうでしょう、先の不安がもっとポジティブな期待に変わっていきませんか?

望ましくないこと、失敗してしまうことをつい想像してしまうために、英会話は、始める前が一番ハードルが高いかもしれません。しかし、「英語で会話ができるようになりたい」を実現するために、今ここで会話学習における積極性のあるマインドに切り替えてください。

このようなときにぴったりの、英語のことわざがあります。

The first step is always the hardest.(最初の一歩は、いつももっとも難しい)

積極性をもった心がまえを具体的に述べましょう。英会話はコミュニケーションをするためのものだということを再確認してください。

  • 積極的にインプット&アウトプットする
  • 恥ずかしがらない
  • 間違いを恐れない
  • 勉強した分だけ自分のものになっていくと信じる
  • 英会話をしている将来の自分を想像する

語学は継続が力になります。それは積極性をもった心がまえによって達成されます。やはり、「チャンスは準備された心のみ降り立つ」なんですね。

小さな失敗は想定内としてとらえ、それ以上に、英語を話している自分をイメージしてポジティブに学習を進めましょう。

 

ところで、英語で「積極的な」ことをどう表現するのでしょうか。どのような積極性なのか、次の記事はニュアンスの違いを含めて説明しているので、参考になります。

英会話に必要な要素とは?

英会話に必要な要素とは?

英会話とは、英語でやりとりして会話することであり、会話を通じてコミュニケーションをとるという意味になります。机の上でする勉強と違い、相手がいて、自分がいるという状況です。

そこで必要とされるのは、言うまでもなくスピーキング力です。しかし、話す能力だけあっても聞く力がなければ双方向の会話にはなりません。
従って、英会話に必要な要素とは、スピーキング力とリスニング力のふたつになるんですね。

このふたつの要素に積極性が加われば、英会話力はアップしていきます。<英語で会話ができるようになりたい>をかなえるためには、できれば最初のうちから英語を日本語に翻訳せず、英語を英語のままで理解するようにすることがベストです。

スピーキング力とリスニング力の基となる能力

初心者がスピーキング力とリスニング力のふたつを獲得するには、英文を作る上で基本になるものが欠かせません。それは次の3つです。

  • 発音
  • 中学校で習う程度の英文法
  • 中学校で習う程度の単語や熟語

英語で会話するときには、英語のネイティブスピーカーがナチュラルなスピードで話すとまったく聞き取れない、ということが起きがちです。思ったよりもできなくて、落ち込むこともあるかもしれません。

スピーキング力とリスニング力には、ネイティブスピーカーの発音、日頃使われる単語や熟語、それらを文にするための英文法がなくては不可能なのです。発音に関しては、単語と単語がつながった場合の「リエゾン」にも慣れていく必要があります。

・liaison (名詞) 連声、連結、リエゾン 単語の最後の子音が、次の単語の語頭にある母音と合わさって発音されることなどを指します。

英会話学習の正しい順序

英会話学習の正しい順序

初心者が英会話の学習を始めるとき、どのような順序で進めていくべきでしょうか?

すべきことを大きくふたつに分けると、以下のようになります。

  1. 発音・英文法・単語や熟語の学習
  2. 英会話のインプット&アウトプット

発音・英文法・単語や熟語の学習

発音に関しては次で詳しく解説しますので、ここでは英文法・単語や熟語の学習について紹介します。

難しい単語や英文法を最初から覚える必要はありません。中学生が習う範囲の英文法、単語・熟語から徹底的におさらいします。
英文法は、主語+動詞+目的語などの基本5文型や、肯定文と疑問文の作り方などを確実に学びます。
学ぶ方法ですが、無料アプリでゲーム感覚にするのもよし、参考書と問題集でするのもよし、これらを合わせて使うやり方も勧められます。

 

英会話の勉強に教科書は役に立たない、と決めつけてはいないでしょうか。次の記事は、学び直しに英語の教科書が意外と役立つことを説明しています。英文法、単語・熟語の「徹底的なおさらい」をするときに参考にしてください。

英会話のインプット&アウトプット

発音・英文法・単語や熟語の学習を進めるなかで、学んだことを実際に使う機会も必要になります。これまでの日本の英語教育では、アウトプットが弱かったので、インプットだけ続けてしまうと英会話の上達が感じられず、自信を失ってしまう恐れがあるからです。

そこで、外国人と会う機会が必要になります。仕事上のつきあいやプライベートで外国人の知り合いがいる場合はよいのですが、いないひとはどのようにしたらよいのでしょうか。

  • 英語学校に通う
  • 英会話教室、サークルに参加する
  • 外国人の集まる催し、パーティーなどに参加する
  • オンライン英会話を受講してみる

身の回りに外国人の知り合いがいないひとは、地元の英会話サークルに参加したり、外国人の集まる催しに参加したりしてみましょう。英語圏のひとばかりではないかもしれませんが、もっとも普及しているのが英語ですから、英語で話せる相手が見つかるかもしれません。

また、オンライン英会話の利用を考えてみてもいいかもしれません。英語のネイティブスピーカー、または日常的に英語を話す国のひとと気軽に話せるので、英会話の場数を踏む、言い回しに慣れることができます。

基本を学びながら、勉強したことを実際に使える機会づくり、というインプット&アウトプットの2本立てで英会話の学習を進めていきましょう。

「発音」を勉強するには?

「発音」の勉強は?

英語には、日本語にはない発音がありますから、日本人にとって英語の発音は難しいですね。

発音学習の大切さ

筆者はイギリス在住17年になりますが、それでも、自分が言ったことが相手にうまく伝わらないことがたまにあります。

あるとき、車酔いしやすい息子がスクールトリップ(学校の遠足、小旅行のこと)に行くので、Bootsというドラッグストアで酔い止めを買おうとしました。ところが、これが数回繰り返して言っても、なかなか店員に伝わりませんでした。

そこで「ほら、スクールトリップでコーチ(バス)に乗ると気分が悪くなったりするでしょ。そういうときに飲む薬のことよ」という説明をして、無事に購入することができました。相手によっては伝わらない、発音を学ぶ大切さを感じました。

さて、コミュニケーションに発音の勉強は必須です。
しかし、周りに日本人ばかりの環境では、どのようにして英語の発音を勉強すればいいのでしょう。英語の映画やドラマ、動画を利用するのもおすすめですし、学習方法としては「ディクテーション」というトレーニング法があります。

ディクテーションによるトレーニング

ディクテーションとは、聞いた英語を一語一句書き取っていくトレーニングを指します。英語の音声を聞き、聞こえてきたすべてを書き出します。

・dictation (名詞)口述、書き取り

・dictate (動詞)<…に>書きとらせる、口述する

具体的には、このようなトレーニング方法です。

必要なのは英語の音声を聞き取れる機器(パソコン、スマートフォン、テレビ、ラジオ)と、流れてくる音声を文字で確認できるもの(スクリプトなど)です。

英語ニュースを例にすると、ニュースで聞いた英文をすべて書き取って文章にしていきます。

最初のうちは、聞き取れなかったところが多いはずです。また、間違って書き取ってしまったところも出てくるでしょう。

いったん書き取ったものをスクリプトの英文などで確認し、聞き取れるまで何度もこの作業を繰り返します。

最後には、音声すべてを聞き取れるようになったり、単語と単語の接続で音が変化するリエゾンにも慣れていったりします。

 

同時に、自分も音声を真似してアウトプットしていくことで、英語のネイティブスピーカーの発音に近づけていきます。

ディクテーションは、最初は短い、簡単な内容の音声から始めるのがコツです。何度も繰り返して完全に聞き取れるようになったら、少し長く、内容を難しく、レベルを上げて繰り返していきましょう。

プロの通訳をめざすひとなども実践している訓練法ですので、ディクテーションは、初めはなかなかうまくできなくても、続けているうちにきっと実力がつく学習法といえます。

在英日本人の英会話力

在英日本人の英会話力

海外在住の日本人について、たとえば<イギリスに住んでいるなら、英語はペラペラなんでしょう>と思いがちかもしれません。けれども、そのひとの周りの環境によっては英会話力に差がつく現状があります。
たとえば、次のようなケースでは「イギリスに住んでいる日本人」でも背景が大きく異なります。

  • (イギリス人)パートナーが日本大好きで、日本語を話せるひと、なおかつロンドンの日本企業で働いているひと
  • 家庭では英語のみを使っていて、かつ外国企業に勤めているひと

これだけでも環境の違いが大いにあります。

もちろん、前者もイギリスで生活するのに必要な英会話力はもっています。それは、英語を使わなければいけないところに身を置いているからです。しかし、話すほうも聞くほうも英語のみ、という環境でない場合、スムーズにやりとりできる場面が限られることもあるかもしれません。

子どもがいれば、子どもの通う学校と英語でやりとりすることもしばしば必要になります。病院にでもかかれば、もちろん医療関係者に子どもの状態を伝えたり、あるいは診断の結果や治療方針、日常生活の上で注意することなど、説明を受ける機会も多いことでしょう。

大切なアウトプットの機会

英会話は、インプットだけしていてもなかなか上達は難しいと感じます。しかし、インプットとアウトプットができる状態にすることで、英語が母語ではない日本人でも、英語のコミュニケーションができるようになっていきます。
「英語で会話ができるようになりたい」を日本にいながら実現しようとするならば、その点を強く意識した学習をすることを強く勧めます。

英会話の学習をするにはインプットとアウトプットが大切です。次の記事は、効率よく上達させるための心構えや具体的な手法を紹介しています。あわせて読んでいただけると役立ちます。

まとめ

本記事では、日本に住む日本人が、英会話ができるようになるためのヒントをお届けしました。

毎日コツコツ勉強するのがつらくなるのは、自分の上達ぶり、頑張った分の手応えが感じられなくなるときです。まったくのゼロから始めた初学者よりも、むしろある程度学習が進んだ段階の方が、「伸びている感じ」が得にくいかもしれません。

アプリなど独学で基本を学ぶだけでなく、インプットしたものをアウトプットする機会があればこそ、英会話の醍醐味を実感します。そもそもの目的の”外国人と英語で話せた!”ということになるからです。そのような機会では、<少しくらい間違ってもいい>くらいの気持ちで、積極的に英会話を楽しんでみてください。

「チャンスは準備された心のみ降り立つ」、この記事を読んでくださったあなたが、英語の会話が楽しいと思える日は近くきますよ!