「これ、いくら?-少なくとも1,000円はするだろうね。」
「インフルエンザになってしまって。-少なくとも1週間は休んだほうがいいよ。」
家庭や職場、仲間内でこのような会話をしたことがある人は多いでしょう。

日常生活において、時間やお金、距離など数を比較して「少なくとも〜だ」と言う場面は非常にたくさんあります。
もし海外の人を相手に英語で話すとしたら、正しく言える人はどのくらいいるでしょうか?

今回は、そんな「少なくとも」を意味する3つの英語表現を、間違いやすいポイントも踏まえながら解説していきます。

「少なくとも」の代表的フレーズ “at least”

「少なくとも」の代表的フレーズ at least

“at least”は、「少なくとも〜だ」を表す代表的な英語です。
“at least”の後ろには、数詞が来るときがあれば、主語+述語が続くときもあります。

副詞の役割を持つ”at least”は、文頭でも文末でも、動詞の前後や形容詞の前であっても自由に置けるため、初心者でも比較的使いやすい表現といえるでしょう。

英英辞書には、下記のような複数の定義が書かれていました。

  • as much as, or more than, a number or amount
    同じくらいの量、あるいはそれ以上の数字や金額のことを表す
  • used to emphasize that something is good in a bad situation
    悪い状況において、良いことを強調するときに使う
  • used to say that someone should do something small, even if they do nothing else
    たとえ何もしなくても、誰かがすべき小さなことを助言するときに使う

参考:AT LEAST | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

【例文1】

Aさん
I heard you like movies; how many do you watch a month?
訳)映画好きって聞いたけど、月にどのくらい見るの?
Bさん
I never counted, but I saw at least 10 this month.
訳)数えたことないけど、今月は少なくとも10本は見たかな。

 

【例文2】

Aさん
We need at least 20 participants to make the party successful.
訳)パーティーには少なくとも20人の参加者が必要よ。
Bさん
I’ll ask around to see if anyone is available to participate.
訳)僕の周りにも声かけてみるよ。

 

【例文3】

Aさん
It won’t rain, at least in the morning.
訳)少なくとも午前中は、雨は降らないと思うわ。
Bさん
That’s good. At least Mike will come to this game.
訳)よかった。少なくともマイクはこの試合に来るだろう。

 

“at least “の類似表現として、下記のような言い方もよく使われるので、一緒に覚えておきましょう。

  • at most 多くとも
  • at best 最も良くても
  • at worst 最も悪くても(最悪でも)
  • at the earliest 最も早くとも
  • at the latest 最も遅くとも
  • at the longest 最も長くとも

「せいぜい~」「多くても~」を表す”not more than”

「せいぜい~」「多くても~」を表すnot more than

“not more than”は、「せいぜい〜」や「多くても〜」という意味を持つ英語の比較表現です。
2つのものを比較し、数や量、金額などが小さいことを強調するときに使われます。

英英辞書では、下記のように定義されています。

used to emphasize how small an amount is
ある金額がいかに小さいかを強調するために使われる

参考:NOT/NO MORE THAN | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

“how small”とあるように、少なさや小ささを表現していることがわかりますね。

【例文1】

Aさん
Do you know of any scenic spots around here?
訳)この辺りで、景色のいい場所知らない?
Bさん
There is a beautiful lake not more than ten minutes’ drive away.
訳)車で10分かからないところに美しい湖があるよ。

 

【例文2】

Aさん
On this island, it is usually no more than 3 kilometers wide.
訳)この島では、通常、幅が3キロもないのよ。
Bさん
It’s a small island, that’s exactly why there must be something good about it.
訳)小さな島だからこそ、何か良いところがあるに違いないさ。

 

【例文3】

Aさん
That dictionary you have looks good.
訳)その辞書、良さそうね。
Bさん
Not quite. This dictionary contains not more than 20,000 words.
訳)そうでもないよ。この辞書はせいぜい2万語くらいしか載っていないんだ。

 

似た表現として“no more than”がありますが、両者の違いは具体的な数字を比較しているか否かという点です。

“no”は基本的にその後に続く単語を全否定する性質があるため、”not”より否定の意味合いが強くなります。
“not”は「〜でない」という単なる否定を表すのに対し、”no”は比較対象との差がなく、逆の意味を表すということを前提に、下記の例文を読んでみましょう。

【例文】

  1. The wallet has not more than 100 yen.
    財布にはせいぜい100円しかない。
  2. The wallet has no more than 100 yen.
    財布にはたった100円しかない。

【解説】

  1. お金が100円よりも多いことはないと、金額を単純に否定している文です。
  2. 100円より多いことは絶対にない、100円しかないのだというニュアンスになります。

 

「~もの」「~に劣らず」を表す”not less than”

「~もの」「~に劣らず」を表すnot less than“not less than”は、「〜もの」や「〜に劣らず」という意味を表す英語の比較表現です。
同じ「少なくとも」と訳される”at least”と違い、比較しながら数値や状態を強調したいときによく使われます。

【例文1】

Aさん
I heard we expect not less than a 20% increase in sales this quarter.
訳)今期の売上高は、少なくとも20%増が期待されるって聞いた。
Bさん
It would be nice to get a lot of bonuses!
訳)ボーナスが増えるといいな!

 

【例文2】

Aさん
I lost the game yesterday.
訳)昨日の試合、負けちゃったよ。
Bさん
I’m sure you are not less capable than a champion!
訳)君は優勝者にまさるとも劣らぬ力を持っていると思うよ!

 

【例文3】

Aさん
Look! He gave these earrings to me for our anniversary!
訳)見て!このイヤリング、彼からの記念日のプレゼントなの。
Bさん
That’s so cute! That brand could not have cost less than $100.
訳)すごくかわいい!そのブランドなら少なくとも100ドルはしただろうね。

 

間違いやすい表現として“no less than”が挙げられますが、先述した“not”(単純否定)と”no”(完全否定)の違いに注目すると理解しやすくなります。

英英辞書にも、大きな数に対する想定外の感情や驚きを表すと書かれており、否定することでむしろ逆の内容を強調していることがわかります。

used to show your surprise at a large number
数が多い、大きいことに驚きを表すときに使われる

参考:NO LESS THAN | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

【例文】

  1. The wallet has not less than 100 yen.
    財布には少なくとも100円はある。
  2. The wallet has no less than 100 yen.
    財布には100円もある。

【解説】

  1. 100円よりも少ないお金ではないと、金額を単純に否定している文です。
  2. 100円より少ないことは絶対にない、むしろ100円も持っているのだという意味合いになります。

“not less than”と”no less than”は非常に混同しやすいので、違いをしっかりと頭に入れておきましょう。

まとめ

「少なくとも」を意味する3つの英語表現を、間違いやすいポイントを踏まえながら解説しました。
“at least”は「少なくとも」を意味する代表的な英語です。
副詞なので文頭でも文中でも文末でも、比較的自由に置ける使いやすいフレーズといえます。
英語初心者なら、まずは”at least”を覚えておくのがおすすめです。

比較級の”not more than”と”not less than”は、どちらも「少なくとも」を表す表現ですが、それぞれ”no more than”と”no less than”との言い間違いには注意してくださいね。

副詞や比較級を使うと、自分の気持ちをより正確に伝えられるようになります。
簡単なことではありませんが、少しずつボキャブラリーを増やし、会話力アップにつなげていきましょう!

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