メール作成で宛先以外に「bcc」や「cc」をつけて送ったことはありますか?
事務や営業の仕事で毎日のようにメールを利用していれば、「bcc」や「cc」を目にする機会も多いでしょう。
普段は特に気に留めず使っている「bcc」と「cc」ですが、本来の読み方や意味は知らないままという人も多いのではないでしょうか。
また英文メールとなれば、日本語とは仕様や文章のニュアンスが異なるので、送り方や書き方に困っているといったケースも珍しくありません。
そこで今回は、英文メールで覚えておきたい「bcc」の意味や「cc」との違い、マナーや注意点について解説していきます。
「bcc」は、送信先を伏せて送る
「bcc」とは、”blind carbon copy”(ブラインド・カーボン・コピー)の略で、宛先の人には見えない形で、同じ内容のメールを送信するときに使う送付先のことです。
英英辞書では以下のように定義されています。
“without the knowledge of the other person”とあるように、送信相手に知られずに送付先を伏せて同じメールを送ることを指しているとわかります。
blind carbon copy: used when you are sending a copy of a letter or an email to someone without the knowledge of the other person or people that it is sent to
ブラインド・カーボン・コピー:手紙や電子メールのコピーを、相手に知られずに送る場合に使用する
「bcc」に入力されたメ-ルアドレスは、宛先を含めほかの受信者には一切表示されません。
そのため、相手のほかに受信者がいると知られたくない場合や、「bcc」で送ったメ-ルアドレスを伏せておきたいときに使用します。
以下のような場面では、「bcc」を使うのが好ましいといえるでしょう。
- 取引先へ送ったメールを、念のため上司にも送りたいとき
- 面識のない複数の相手に同じ内容のメールを送りたいとき
- 社外とのやり取りを社内やグループで共有したいとき
- 個人のスマートフォンやパソコンなど、ほかの端末にもコピーが欲しいとき
「bcc」を使ってメールを送るときは、「一斉配信のためBCCで送信しております。」のように一言入れると親切ですよ。
The email was addressed using the blind carbon copy (BCC) field.
訳)このメールは、bccで送信されました。
This email was sent via BCC.
訳)こちらのメールは、bccでお送りしております。
「cc」は、送信先を伏せずに送る
「㏄」は、”carbon copy”(カーボン・コピー)の略で、メールの本文をメインの宛先とは別の受信者と共有したい場合に使用される送信先を指します。
“carbon copy”は、「カーボン紙による写し」や「複写」という意味なので、メールのコピーを受信者が見える状態で送信することを指します。
英英辞書にも、受信者に名前やメールアドレスを載せると書かれています。
carbon copy: written on a letter, email, etc. before the name or email address of someone who will receive a copy
カーボンコピー:手紙や電子メールなどに、コピーを受け取る人の名前やメールアドレスを書くこと
「cc」に入れたメールアドレスは送信相手全員に表示されるため、おもに社内や同じ部署内などでのやり取りに適しています。
そのため、以下のような場合には「cc」を使って送信するのがおすすめです。
- 上司にメールを確認してもらいたいとき
- 同じ社内、部署内の人と内容を共有したいとき
- 複数の相手に同時に報告したいとき
Make sure to CC me on this email thread.
訳)このメールスレッドでは、わたしをccに入れてください。
Please reply to everyone, including the people who were in CC.
訳)ccの方も含めた全員に返信をお願いします。
「cc」に入れることを英語では、”loop in”とも言うので覚えておくと役立ちますよ。
You have yet to receive an email from the company, so I will loop you in.
訳)会社からメール届いていないようなので、ccに入れておきます。
Make sure to keep Daniel in the loop, so that he will see what’s going on.
訳)ダニエルも忘れずccに入れておいてください。そうすれば彼も状況を把握できますので。
「bcc」と「cc」の違い
日本語でも英語でも、大切な取引先や面識のない相手に送るビジネスメールは、その後のやり取りを左右する重要なコミュニケーションツールですよね。
送信先を伏せた「bcc」と送信先もメール内容も共有される「cc」とでは、受信者の印象も取るべき対応も異なります。
目的の違う「bcc」と「cc」、またメインの送信先である「to」の意味と用途を一覧にまとめました。
to | メインとなる送信先(宛先) | 名前、メールアドレスが表示される |
cc | 送信先の情報を含め、メールの内容を共有しても良い相手 | 名前、メールアドレスが表示される |
bcc | 送信先としての情報を伏せたい相手 | 名前、メールアドレスは表示されない |
「bcc」と「cc」の決定的な違いは、複数の受信者にお互いのメールアドレスが共有されるか否かという点です。
たとえば、セミナーやイベントに際して参加者に一斉メールを送るときや、顧客へのクレーム対応をメールで行うときなど、お互いの名前やメールアドレスといった個人情報を非公開にしたいときには「bcc」を使うのがベストといえるでしょう。
「bcc」も「cc」も使わない英文メール
日本語でも英語でも「bcc」と「cc」の使い分けはとても重要ですが、特に英文メールにおいて、複数の送信先はできるだけ「bcc」にして、「cc」はほとんど使われません。
日本では、「cc」に関係者全員のアドレスを入れたり、確認のため上司を「cc」に入れて内容を共有したりするのが当然のような風潮がありますよね。
「cc」に入れ忘れたために、「そんな話は聞いてない」といったトラブルに発展してしまうケースも少なくないでしょう。
しかし、海外では「cc」を使ってメール内容や送信先を共有する文化はほぼないと思っておいて間違いありません。
複数の送信先と情報を共有したいときは、特別な指示のない限り「cc」は使わず、複数の送信先は基本的にすべて「bcc」を使うのがマナーです。
なかには「bcc」でさえ、返信ミスや個人情報の流出を防ぐために使わないのが一般的となっています。
そもそも、ビジネスメールは非常に受信量が多く、「cc」に自分が入っていたとしても読まない人が圧倒的に多いのです。
また、メールに知らない送信先が載っていることで、相手に余計な不信感を与えてしまうことにもなりかねません。
上司を「cc」に入れておいて、「一応報告しておきます」「念のため確認をお願いします」のような対応をしても通じない場合がほとんどでしょう。
どうしても「bcc」または「cc」に入れて報告しておきたい場合には、以下のように明確な理由と目的を書いておく必要があります。
This email was sent via BCC as there are multiple recipients.
訳)こちらのメールは、送付先多数につきbccで送付いたします。
We will CC Kevin from our development team who will be in touch with you later.
訳)後日、開発チームのケビンから連絡いたしますのでccに入れておきます。
「bcc」を使うときの注意点
日本語のメールにも同じことがいえますが、英文メールで「bcc」を使うときには細心の注意が必要です。
「bcc」に入れる相手を誤って「cc」に追加してしまったり、「bcc」と「cc」を分けずに全員に返信してしまったりすると、個人情報の流出や信頼関係が崩れるトラブルにもつながりかねません。
「bcc」を使うときには、以下の点に注意して送信先とメールの内容を念入りにチェックするようにしましょう。
- 「to」、「cc」、「bcc」の送信先を確認する
- メールアドレスに誤りがないか確認する
- 「bcc」もしくは「cc」に入れた理由と目的を書いておく
- 自分が「bcc」に入っていた場合、返信先に注意する
名前やメールアドレスなど個人情報の流出は、決してあってはならないことです。
会社全体のセキュリティ問題にもつながるため、「bcc」や「cc」を使った一斉メールでは送信先、返信先に間違いがないか確認することを習慣づけると良いでしょう。
まとめ
英文メールで覚えておきたい「bcc」の意味や「cc」との違い、マナーや注意点について解説しました。
「bcc」とは、”blind carbon copy”(ブラインド・カーボン・コピー)の略で、送信先は非公開となります。
「cc」は、”carbon copy”(カーボン・コピー)の略で、送信先の名前やメールアドレスが全員に公開されます。
海外では日本のように「cc」で一緒に報告したり共有したりする文化はなく、「bcc」でさえもあまり使われていません。
「bcc」もしくは「cc」で内容を共有する場合には、万が一の個人情報流出を防ぐためにも、細心の注意を払って使い分けるようにしましょう。
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