「ミラージュ」という言葉を耳にしたことはありませんか?
三菱自動車の車に「ミラージュ」という名前のものがあったため、車に詳しい方なら、聞いたことがあるかもしれませんね。

この「ミラージュ」ってなんだか不思議な響きに感じませんか?そもそも何語なのでしょう?そしてどういう意味?今回はそんな「ミラージュ」についてご紹介します。

「ミラージュ」って何語?

「ミラージュ」はアルファベットで表記すると”mirage”。実はこの”mirage”はフランス語です。ただ、英語でも同じスペルなのがちょっぴりこの「ミラージュ」のややこしいところ。
スペルは同じでも発音は異なり、英語では「ミラージ」、フランス語では「ミラージュ」となります。どちらも「ラ」にアクセントを置くのがポイント。日本語にはフランス語の発音が採用されているのが興味深いですね。

英語の“mirage”ももともとフランス語から来た言葉とされており、「反映する」を意味する”se mirer” の派生語だそう。

“mirage”の意味はフランス語も英語も同じです。
蜃気楼」と「錯覚によるもので、手に入れることができないもの」の2つです。

蜃気楼とは?

蜃気楼とは?

“mirage”の意味のひとつである「蜃気楼」。
聞いたことはあるけれど、何を意味するかいまいちよくわからない、という方も多いはず。
ここで、「蜃気楼」について簡単に確認しておきましょう。

蜃気楼とは「光の屈折によって遠くの景色が実際とは違う景色に見える現象」のこと。
何もないところに、いわゆる「幻」が浮かんでいるイメージを持つ人が多いですが、そういうわけではありません。

富山県の魚津(うおづ)は江戸時代から蜃気楼の名所として知られていたそう。3月下旬~6月には蜃気楼を目にすることができるかもしれません。
興味のある方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

蜃気楼と陽炎の違い

蜃気楼と似たものに陽炎(かげろう)があります。陽炎とは「地面が揺らめいたように見える現象」です。夏の道路などで遠くの景色が揺れて見えたことはありませんか?あれが陽炎です。

蜃気楼と陽炎は、どちらも大気中の光の屈折によって起こる現象で、陽炎は熱せられた空気が立ち昇り、景色が揺れて見えること。蜃気楼を引き起こすのは地表と空気の温度差に寄って引き起こされ、実際とは違う景色に見えることです。

また、陽炎が発生するのは道路やアスファルトの上である一方、蜃気楼が発生するのは地平線付近の主に海や湖などの水面上。

同じような現象ですが、見え方や発生場所が異なることを覚えておきましょう。

蜃気楼に関する英語表現を確認しよう

蜃気楼や陽炎などの英語表現を確認しましょう。

蜃気楼

蜃気楼を”mirage”ということはすでにご紹介しましたね。

Aさん
I saw a mirage in the desert.
わたしは砂漠で蜃気楼を見た。
Aさん
This strange phenomenon must be due to a mirage.
この奇妙な現象は蜃気楼によるものだろう。

陽炎

陽炎(かげろう)は英語では”heat shimmer””heat haze”と表現します。
”shimmer”は「〔光・熱などによる〕揺らめき、きらめき」、”haze”は「もや、霞」という意味です。

Aさん
The heat haze made the horizon shimmer and waver.
地表からの熱気で、地平線が揺らめいていた。
Aさん
Her shadow looked like a heat shimmer.
彼女の影が陽炎のように見えた。

逃げ水

逃げ水」は蜃気楼の一種。舗装された道路の遠くに、実際はない水たまりが見える現象のことです。この水たまり、近づくと消えて、さらに遠くに表れます。その様子がまるで水が逃げているかのように見えるため、この名前が付けられました。
「逃げ水」は英語では”road mirage”といいます。

Aさん
My son was surprised by a road mirage.
わたしの息子は逃げ水に驚いていた。
Aさん
Today, I saw a road mirage for the first time this year, when I was driving during the day.
昼間、運転中に逃げ水を今年初めて見ました。

蜃気楼は光の屈折に起こる現象ですが、「」も光の屈折によって起こる現象のひとつ。
」の英語は”rainbow”ですね。

Aさん
After the rain, a beautiful rainbow appeared in the sky.
雨の後、空に美しい虹がかかった。
Aさん
The end of the rainbow is elusive.
虹の終わりは捉えどころがない。

elusive” は「(人や動物、虫などが)捕まえにくい、(考え、性格が)捉えどころのない、覚えにくい」という意味の形容詞です。

mirageの「蜃気楼」以外の意味は?

mirageの「蜃気楼」以外の意味は?

“mirage”のもうひとつの意味は「実際には存在しないもの」。

どのように使われるかを確認しましょう。

Aさん
Winning the lottery was just a mirage for most people.
宝くじに当たることは、ほとんどの人にとって夢のまた夢だった。
Aさん
His dream of becoming rich is nothing but a mirage.
彼の金持ちになるという夢は幻に過ぎない。

英語には”mirage”のほかにも「実際には存在しないもの」というような意味を持つ英語があります。代表的な単語を2つ、ご紹介します。

phantom

「幽霊、幻影」という意味を持つ“phantom”も実体のない、目に見えない存在や現象を表現する際に用いられます。ちなみに有名なミュージカル「オペラ座の怪人」、その英語タイトルは “The Phantom of the Opera”です。

Aさん
The phantom of war still haunts the veterans.
戦争の幻影はいまだに退役軍人を悩ませている。
Aさん
Doctors are still trying to understand why phantom pain happens.
なぜ幻肢痛が起こるのか、医師たちはまだ理解しようとしている。

phantom pain(幻肢痛:げんしつう)“とは手腕や足の切断後に失ったはずの手足があるように感じ、幻の手や足を痛く感じることです。

rare

入手困難なアイテムやなかなかできない経験などは”rare”を使って「幻の〜」と表現することができます。

Aさん
This sake is so rare that it’s only available at a few select restaurants.
この幻の酒は、限られたレストランでしか手に入りません。
Aさん
It’s really rare to see the Doctor Yellow Shinkansen, the high-speed test trains.
高速試験車両であるドクターイエローを見ることはめったにない。

まとめ

今回は”mirage”という単語を確認しました。わたしたちが日頃耳にする「ミラージュ」はフランス語のため、英語での発音は「ミラージ」となるところに気をつけましょうね。
”mirage”は「蜃気楼」の意味ですが、そこから転じて「存在しないものや幻」の意味も持ちます。
「幻の」なんて表現を使いこなせれば、会話がグッと盛り上がるはず。
ぜひ、”mirage”以外の表現もマスターしてくださいね。