「パッセンジャー」は、日本語でもなじみのあるよく知られたカタカナ語です。
アメリカのSF映画のタイトルにもなっているので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
英語の”passenger”に由来しているカタカナの「パッセンジャー」は、英語の意味と同様に「乗員」や「乗客」を指して使われています。
今回は、日本語に浸透しているカタカナ語「パッセンジャー」について、本来の英語”passenger”の意味と正しい使い方、”traveler”や”commuter”など間違いやすい英単語も合わせて解説していきます。
「パッセンジャー」とは
「パッセンジャー」は、「乗客」を意味する英語”passenger”に由来したカタカナ語です。
車や電車などの車両、船、飛行機といった乗り物に乗って移動している人たちを指します。
さまざまな交通機関において広く使われている言葉で、乗客は、有料で乗車するのが一般的です。
運転や操縦をしている人のことは「パッセンジャー」とはいわず、「ドライバー」や「クルー」と表現します。
グループや集団などの組織において、期待されるような働きができていない人、周囲に負担をかけたり足を引っ張ったりする人に対しては、「足手まとい」または「お荷物」として「パッセンジャー」と呼ぶこともあります。
”passenger”の意味
”passenger”は、乗り物に乗って移動する人を意味する英語です。
辞書では以下のように定義されています。
a person who is travelling in a vehicle, or on a train or plane, but is not driving it, flying it, or working on it
車両、列車、飛行機などに乗車して移動しているが、運転したり、操縦したり、そこで作業したりしていない人のこと
目的地へ向かうために、バスやタクシー、電車、飛行機、船など、さまざまな交通機関を利用している「乗客」が”passenger”に該当します。
運転手や操縦士、乗務員などは、”driver”や”crew”と呼び、”passenger”には含まれません。
”passenger”の発音表記は、イギリス英語が [ˈpæs.ən.dʒər]で、アメリカ英語が[ˈpæs.ən.dʒɚ]です。
どちらも最初の[pæ]にアクセントをおいて「パ」と強く発音します。
形容詞としての”passenger”
”passenger”は、可算名詞として使われることが多いですが、<passenger +名詞>の形で形容詞として用いられることもあります。
その場合は、「旅客の…」「旅客用の…」という意味になるので、一緒に覚えておきましょう。
- passenger car(客車)
- passenger ship(旅客船)
- passenger plane[jet](旅客機)
- passenger train(旅客列車)
- passenger list(乗客名簿)
- passenger seat(助手席を含む客席)
- passenger capacity (乗客定員)
- passenger terminal(旅客ターミナル)
- Air passenger rights(航空旅客の権利)※
※Air passenger rightsとは、航空機を利用する乗客の権利を保護するために2004年にEUで法制化された規則です。
”passenger”を使った例文
訳)昨年は760万人以上の乗客がユーロスター鉄道を利用しました。
訳)幸いなことに、この事故で500人を超える乗客全員に大きなけがはありませんでした。
訳)暴風雨による遅延や欠航の影響で、空港は数千人の乗客でごった返していました。
スラングとして「お荷物」あるいは「足手まとい」といった意味で使われることもあるので覚えておくと良いでしょう。
訳)同社には、お荷物社員を抱えている余裕などありません。
”passenger”と間違いやすい英単語
”passenger”と間違いやすい英単語を2つ紹介します。
”traveler”と”commuter”どちらの単語も、「乗り物に乗って移動する人」を示す点では共通しているものの、使用される状況や文脈によっては含まれるニュアンスが異なるため使い分けには注意が必要です。
traveler
”traveler”は、「旅行者」や「旅人」、「旅行客」などを意味する名詞です。
(イギリス英語では、”traveller”と表記)
a person who travels often, or who is travelling
頻繁に旅行する人、または旅行中の人
辞書の定義からもわかるように、頻繁に旅行する人、または旅行中の人を表します。
以下の例文を参考に、”passenger”が、”traveler”も含めた「乗客」であると認識しておきましょう。
訳)ビジネス旅行者は、同航空会社の乗客のわずか20%ですが、収益の80%を占めています。
commuter
”commuter”は、定期券を使用する「通勤者」や「通勤客」を意味する名詞です。
someone who regularly travels between work and home
職場と自宅を定期的に行き来する人
”regularly”(定期的に、いつも)とあることから、乗り物を定期利用する人たち、すなわち「通勤者」を指していることがわかります。
訳)雪による混乱のため、多くの通勤客が長時間の遅延に見舞われました。
”traveler”は、旅行目的で乗り物に乗る人を指しているのに対して、”commuter”は通勤・通学を目的に乗り物を利用する人を表します。
間違った使い方をしてしまわないよう、どちらの単語が適切か正しく理解しておくことが大切です。
まとめ
日本語でもなじみのあるカタカナ語「パッセンジャー」について、本来の英語”passenger”の意味と正しい使い方、”traveler”や”commuter”といった間違いやすい英単語も一緒に解説しました。
「パッセンジャー」は、英語の”passenger”に由来したカタカナ語です。
”passenger”は、運転手や操縦士、乗務員などを除いて、乗り物に乗って移動している人たち=「乗客」を意味します。
”passenger”と間違いやすい単語に、”traveler”と”commuter”があります。
目的が旅行なのか通勤なのかによって使い分けが異なりますので、それぞれの意味をしっかり理解しておくことが大切です。
なお、乗り物の話題でなく「パッセンジャー」という言葉が出てきた場合は、「お荷物」や「足手まとい」という意味で使われているかもしれないので、注意しながら会話を進めていきましょう。
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