美食の国フランス、フランス料理は堂々世界3大料理のひとつです。そのフランスではデザートは歴史的にも欠かせない存在となっています。フランスのお菓子は味もプレゼンテーションも素晴らしく、定番であり王道であるスイーツが数多くあります。
皆さんはフランスのお菓子をいくつ知っていますか?

この記事では、ある姉妹がお菓子作りを失敗したことから誕生したフランスのお菓子「タルトタタン」を紹介します。どんなお菓子なのか一緒に発見していきましょう。

伝統的なお菓子「タルトタタン」は林檎タルト

伝統的なお菓子「タルトタタン」は林檎タルト

フランスには、男性の菓子職人であるパティシエ、そして女性の菓子職人パティシエールというプロフェッショナルな職業があり、ケーキ、焼き菓子やデザートの製造・販売が行なわれています。パティシエという言葉は日本でも浸透していますし、フランスで活躍する日本人パティシエもいます。フランス人にとって、お菓子は単なる食べ物ではなく、文化や芸術の象徴の一部として大切な存在であることが分かります。
そのフランスには様々なお菓子がありますが、タルトタタンは伝統的なお菓子のひとつです。使う果物はりんごです。まずはタルトタタンがどのようなお菓子なのかみていきましょう。

りんごのタルト・タルトタタン

タルトタタンはいわゆるリンゴのタルト、フランス語ではtarte tatinと書きます。
タルトは小麦粉やバターで作られ、「甘い生地」という意味を持つパートシュクレの上にフルーツやチョコレートを乗せた焼き菓子です。フルーツタルトはtarte aux fruits、チョコレートタルトはtarte au chocolatです。

では、タルトタタンのtatinとはりんごの意味なのでしょうか?答えはNO、フランス語でりんごはpomme(ポム)だからです。タルトポムと呼ばない理由は次で紹介しましょう。

タルトタタンの主役はりんご

フランスには多くのりんごの品種があり、そのまま食べたり料理や製菓に使われたりします。また、シードルというりんごのお酒もあり、フランス西海岸にある小島にそびえる修道院で有名なモンサンミッシェルという世界遺産にも有名なシードルがあります。

さて、タルトタタンの主役はりんごと言っても過言ではありません。りんごの大きさにもよりますが、ひとつのタルトタタンを作るときに5〜8個のりんごが使われます。なめらかな食感にするため、一般的には皮はむいて使用します。ピンクレディやレーヌ・デ・レネットといった赤い皮の品種を使うときは綺麗な色味を出すためにそのまま皮を使うこともあります。

タルトタタン誕生の裏話し

タルトタタンの作り方をみていく前に、なぜタルトポムではなく、タルトタタンとなったのか楽しいストーリーを紹介しましょう。

ロワール地方のタタン姉妹

その昔、1880年代にフランスのロワールのソローニュ村にタタン姉妹が経営するホテルLa Maison TATINがありました。タタン姉妹とは姉ステファニーと妹カロリーヌ、妹が客の出迎えを、姉は厨房を仕切っていました。

うっかりミス・・・そしてタルトタタンのヒット!

毎日忙しくホテル業をきり回していたタタン姉妹。しかしある出来事が発生します。タルトタタン誕生には諸説あり、ここでは2つを紹介しましょう。

ある日、ステファニーがタルトをオーブンに間違った向きで入れてしまいます。タルト生地とりんごが逆さまになってしまっていたのです。慌てたステファニーはこのデザートをお皿にひっくり返してみるとキャラメル状になってとろけるようなりんごになり、冷める時間も待たずにこの微妙なデザートを出したところ、これが大ヒット!したという説です。

異なる説によると、ステファニーが生地を忘れりんごだけを焼いてしまったというものがあります。ここでカロリーヌが機転を利かせ、素早く生地を乗せ、りんごとともに焼きます。オーブンから取り出し皿をかぶせてひっくり返したところ、いつもよりキャラメル色が濃く、りんごのとろりとした美味しいりんごのタルトが完成し、客からも大評判となったというストーリーです。

いずれにしても、タルトタタンはタタン姉妹による偶然のミスから誕生したスイーツです。その名もタタン姉妹が由来でした。なんとも微笑ましいストーリーですね。

タルトタタンの作り方

タルトタタンの作り方

「ひっくり返した林檎のタルト」と呼ばれるタルトタタン。りんごのキャラメル風味が美味しく、りんご好きな人にもタルト好きな人にも大人気のお菓子です。

タルトタタンの作り方を紹介

もっとも身近でいつでも手に入る果物であるりんごを使って、家でもタルトタタンを手作りすることができます。
以下、タルトタタンの作り方を簡単に紹介します。

りんごは皮を剥き、芯をとって縦に8等分に切ります。砂糖とバターでキャラメルを作ります。このキャラメルにカットしたりんごを投入し、しんなりするまで煮詰めます。型にキャラメリゼされたりんごを並べ、その上にタルト生地をかぶせ、側面を押し込むようにして密着させます。タルト生地は市販のパイシートでも良いですし、手作りの場合は薄力粉に砂糖と塩を入れて混ぜたものにバターを指で潰しながら馴染ませて作ります。
型をオーブンに入れて生地がきつね色にカリッとしたら焼き上がりです。この焼き上がりを10分ほど落ち着かせ、その後大きなお皿をかぶせ、タルトタタンをひっくり返します。ここでは、タタン姉妹になり切りましょう(笑)

タルトタタンとアップルパイの違い

ところで、タルトタタンとアップルパイって違うデザートなの?という声が聞こえてきそうです。そこで、2つを比べてみましょう。

タルトタタンとアップルパイの違い

タルトタタンとアップルパイの違いは明確です。
まず発祥はタルトタタンがフランス、アップルパイはイギリスです。また、見た目もかなり違います。タルトタタンはりんごが表面に並んでいますが、アップルパイは通常格子状にされたパイ生地が上にかぶさっている状態です。さらに食感と味にも違いがあり、タルトタタンのりんごはとろとろでキャラメルの濃厚さ、一方アップルパイはりんごのサクサク感そしてシナモンの香りが効いています。

どちらもそれぞれで美味しいです。フランス、そしてイギリス、それぞれの国を訪れたらぜひ食べてみましょう。

タルトタタンの美味しい食べ方

タルトタタンの美味しい食べ方

キャラメルがからんだりんごのタルトタタンを食べれば幸せ感が素晴らしいです。最後に、おすすめの食べ方も紹介しましょう。

タルトタタンおすすめの食べ方

タルトタタンは焼きたての暖かいまま、または冷やしてと、そのまま食べても美味しいお菓子です。しかし、本場のフランス人はあるものを添えてタルトタタンをさらに美味しくしています。

あるものとはバニラアイスクリーム、暖かいタルトタタンと冷たいアイスクリームのコンビネーションが最高です。そして、生クリームに乳酸菌を加えて発酵させたフランスの乳製品のクレーム・フレッシュも人気であり、りんごとの相性がバッチリです。日本では生クリームやサワークリームで代用できるでしょう。
さらに、ナッツなどをトッピングしても香ばしさと食感がアップしておすすめです。

タルトタタンを食べた後は、熱々の紅茶やコーヒーを飲めば、完璧なフィニッシュとなります。

まとめ

記事ではフランスの伝統的なデザートの「タルトタタン」を紹介しました。キャラメリゼされたりんごとタルト生地の組み合わせは永遠の美味しさです。タタン姉妹もうっかりミスをして以来、約150年もタルトタタンが愛されているなんて想像もしなかったでしょう。
フランスに行く機会があれば、ぜひ本場のタルトタタンを食べることをおすすめします。

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