英語の勉強をしていると「原形不定詞」に出会うことはよくありますね。

「不定詞」と言えば”to”を伴(ともな)った「to不定詞」が一般的ですが、文章中の動詞に伴(ともな)って例外的に「動詞の原形」を使って不定詞を表すことがあります。それが「原形不定詞」です。

「原形不定詞」は今では中学英語で習う範囲で、特に英語の検定試験TOEICでもよく出題される英文法要素です。

この記事では、「原形不定詞」についてわかりやすく解説します。

原形不定詞とは

原形不定詞とは、文字通り「動詞の原形のまま不定詞として使われる文法要素」を指します。

ほとんどの場合、不定詞は”to 〜”の形で使われますから、「不定詞=”to ~”の形」と覚えている方がほとんどでしょう。(筆者の僕も同じです。)

ただし例外的に不定詞がto無しの「原型」で使われることがあり、それこそが「原形不定詞」と呼ばれているわけですね。

それでは、どんな時に不定詞が「原形不定詞」の形で使われるのでしょうか?

次の項から見ていきましょう。

「原形不定詞」 を使う用法

「原形不定詞」 を使う用法

不定詞でtoがつかない「原形不定詞」を使う場面は、大まかに以下のように分けられます。

使役動詞

不定詞でtoがつかない「原形不定詞」を使う場面として、「使役動詞」が挙げられます。

「使役動詞」は、「O(目的語)をC(補語)にする」という形で使われる動詞を指します。

例えば、The cat makes me happy.(その猫は私を幸せな気分にしてくれます。)のように、動詞の”make”が起点となって、「me(目的語)をhappy(補語)にする」という形を作るのが「使役動詞」です。

「使役動詞」の「使役」は、「(誰かに)〜させる(やらせる)」という意味ですから、使役動詞の「使役」という言葉から意味を連想して覚えられると効果的です。

原形不定詞を使う使役動詞として、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

  • make
  • let
  • have

これら3つは、日本語に訳してしまえば「〜させる」という意味になりますが、微妙に意味や使い方が変わってきます。

順番に見ていきましょう。

make

使役動詞の”make”は「〜させる」の意味で使われます。

使役動詞は基本的に「〜させる」の意味で使われますが、使役動詞の”make”は「強制力が高い」のが特徴です。

例文を見ながら、細かい意味に注目してみましょう。

【例文】

  • The teacher made us stay after class to finish our homework.
    先生は私たちに宿題を終わらせるために授業後も残らせた。
  • The coach made the players run five extra laps after practice.
    コーチは練習後に選手たちに追加で5周走らせた。
  • The CEO made all department heads submit their reports by noon.
    CEO(最高経営責任者)は全ての部門長に正午までに報告書を提出させた。

例文を見ると、下線を引いた部分が使役動詞の”make”と、それに伴(ともな)って原形不定詞の形になっているのがわかりますね。

どの例文も、「先生が生徒に」や、「コーチが選手に」「経営者が部下に」といった形で、「上下関係」があるのがわかりますね。

上の立場の人から、強制力を伴って行動を促(うなが)す時に”make”を使うわけですね。

let

使役動詞の”let”は「許可」の意味で「〜させる」を英語で表現します。

例文を見ながら、「許可」の意味で使われる「〜させる」について見ていきましょう。

【例文】

  1. The teacher let the students ask questions freely.
    先生は生徒たちに自由に質問させた。
  2. The teacher let the students use their phones during the break.
    先生は休憩時間に生徒たちが携帯を使うのを許した。
  3. The CEO let the employees work remotely to improve work-life balance.
    CEO(最高経営責任者)はワークライフバランスを改善するため、従業員のリモートワークを許可した。

例文を見ると、”make”の「〜させる」と違って、使役動詞のletは「強制力」がないことがわかりますよね。

1.の例文では、先生は生徒に「質問(ask)」することを「強制」はしてないですし

2.の例文でも、先生は生徒に携帯電話を「使う(use)」ことを「強制」していません。

3.の例文も、責任者が従業員の「リモートワーク(work remotely)」を「強制」していませんよね。

使役動詞の”let”が、「許可」をしている意味合いで「~させる」を表現しているわけですね。

have

使役動詞の”have”は「お願い」の意味で「~してもらう」を、「指示」の意味で「~させる」を英語で表現します。

使役動詞の”have”で「お願い」を表現するときは、「相手の厚意でやってもらう」ニュアンスで、「指示」を表現するときは「業務や作業を指示する」ニュアンスで使われます。

上述した”make”ほどの強制力はないイメージですね。

【例文】

  • She had her assistant call the client.
    彼女はアシスタントにクライアントへ電話させた。(指示)
  • I had him fix my bike.(お願い)
    私は彼に自転車を直してもらった。
  • He had the waiter bring some water.(指示)
    彼はウェイターに水を持って来させた。

知覚動詞

不定詞でtoがつかない「原形不定詞」を使う場面として、「知覚動詞」も挙げられます。

「知覚動詞」も、使役動詞のように「O(目的語)がC(補語)するのをV(知覚動詞)する」という形で使われます。

補語(C)にあたる不定詞の部分が、「原型不定詞」となるので「動詞の原形」になるわけですね。

原形不定詞を使う知覚動詞として、主に以下の5つが挙げられます。

  • see(見る)
  • hear(聞く)
  • feel(感じる)
  • watch(観る)
  • notice(気づく)

知覚動詞は主に五感で感じたり、気がつく時に使われる動詞を指し、中でも上述した5つが「原形不定詞」を使うイメージですね。

【例文】

  • I saw my friend drop his phone into the pool.
    友達がプールにスマホを落とすのを見たよ。
  • I heard my brother talk in his sleep last night.
    昨夜、弟が寝言を言うのを聞いた。
  • We watched the workers install the new equipment.
    私たちは作業員が新しい設備を設置するのを見た。
  • He felt the ground shake during the earthquake.
    彼は地震で地面が揺れるのを感じた。
  • They noticed the thief run out of the store.
    彼らは泥棒が店から走り出すのに気づいた。

まとめ

まとめ

この記事では、原形不定詞について以下の点からお伝えしました。

  • 原形不定詞とは、”to”を伴(ともな)わずに「動詞の原形」で不定詞を表す文法要素
  • 原形不定詞は、一部の使役動詞と一部の知覚動詞に伴って使われる
  • 原形不定詞を伴う使役動詞は主にmake, let, haveが挙げられる
  • 原形不定詞を伴う知覚動詞は主にsee, hear, watch, feel, noticeが挙げられる

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより充実したものにできれば幸いです。

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