古代エジプトの神話には数多くの神々が登場しますが、その中でも「ホルス(Horus)」は特に有名で、天空と王権を象徴する神として知られています。鷹の頭を持つ姿で描かれることが多く、空を自由に飛び回る存在としてエジプトの人々に崇拝されました。また、父オシリスを殺したセトとの戦いで勝利したことで「正義と王権の守護者」とされ、歴代のファラオは自らを「生けるホルス」としてその正当性を示しました。さらに、失われた片目を取り戻した伝説から生まれた「ホルスの目(Eye of Horus)」は、いまでも「守護・癒し・繁栄」のシンボルとして広く知られています。
本記事では、ホルスの誕生、セトとの対立、ファラオとの関係、そして「ホルスの目」の意味までをわかりやすく解説し、英語で簡単に説明できるフレーズも紹介します。歴史や神話が好きな方はもちろん、英語学習にも役立つ内容となっています。
ホルスとは? エジプト神話の空と王の神

ホルス(Horus)は古代エジプト神話に登場する最も重要な神の一柱で、「天空の神」「王権の守護者」として知られています。鷹の頭を持つ姿で表現されることが多く、太陽や月をその目に宿す存在として描かれました。
また、ホルスは父オシリスと母イシスの子どもであり、父を殺したセトに立ち向かい、長い戦いの末に勝利したことで「正義と秩序を取り戻す神」として崇められます。この戦いの伝説から、彼の片目を失い再生した物語が生まれ、「ホルスの目(Eye of Horus)」が守護や癒しのシンボルとなりました。
さらに、歴代のファラオは「生けるホルス」として自らを神の代理人と位置づけ、王の正当性を示すためにホルスの名を名乗りました。つまりホルスは、天空と戦い、そして王権の象徴として、古代エジプト社会に深く根付いていた存在なのです。
英語で説明しよう!
Horus is the Egyptian god of the sky and kingship.
(ホルスはエジプト神話の天空と王権の神です。)
ホルスの誕生と家族 ― オシリスとイシスとのつながり
ホルスは、冥界の王であるオシリスと、魔術に長けた女神イシスの子どもとして誕生しました。オシリスは弟セトの策略によって殺され、その身体をバラバラにされてしまいます。しかし、イシスは夫の遺体を集め、魔法の力で命を吹き込み、一時的にオシリスを復活させました。その時に生まれたのがホルスです。
幼いホルスは、父を殺したセトの魔の手から守るため、母イシスにより秘密裏に育てられました。ナイル川のデルタ地帯や湿地帯に隠れて成長し、その間イシスはホルスに知恵や力を授けました。この「隠されて育った英雄」という背景が、のちにホルスが王権を取り戻す物語に深い意味を与えています。
ホルスは単なる「空の神」ではなく、オシリスの正統な後継者としての地位を持ち、エジプトにおける秩序(マアト)を回復する使命を帯びた存在だったのです。
英語で説明しよう!
Horus was the son of Osiris and Isis.
(ホルスはオシリスとイシスの子どもです。)
ホルスとセトの戦い ― 王権をめぐる神話

ホルスの神話の中で最も有名なのが、父を殺したセトとの戦いです。セトは砂漠と混沌を象徴する神であり、エジプトの正統な王位をめぐってホルスと激しく争いました。
二神の戦いは数十年にわたり、時には裁判形式で神々の前で争いが裁かれることもありました。その中で有名なのが「ホルスの目」に関するエピソードです。戦いの中でホルスの左目がセトによって奪われ、傷つけられてしまいます。しかし、知恵の神トトの力によってその目は回復され、「ウジャトの目(ホルスの目)」と呼ばれる強力なお守りとなりました。この「ホルスの目」は健康や繁栄をもたらす象徴として、現在でもエジプトを代表するシンボルのひとつです。
最終的にホルスはセトを打ち破り、父オシリスの正統な後継者としてエジプトの王権を獲得しました。この勝利によって、ホルスは「秩序と正義を取り戻す存在」として位置づけられました。
英語で説明しよう!
Horus fought against Set, the god of chaos.
(ホルスは混沌の神セトと戦いました。)
He hurt his left eye in a fight, but Thoth made it better.
(戦いで左目をけがしましたが、トトが治療してくれました。)
This eye is called the Eye of Horus. It means safety and health.
(この目は「ホルスの目」と呼ばれ、安全と健康の象徴とされています。)
ホルスの姿と象徴 ― 鷹の神としてのイメージ
ホルスはエジプト神話の中でも、特に「鷹の神」として知られています。多くの壁画や彫像では、鷹の頭を持つ姿、あるいは完全な鷹の姿で描かれています。鋭い目と力強い翼は、空を支配する存在としての力を象徴しています。
また、ホルスは頭に「二重冠(白冠と赤冠を組み合わせたもの)」をかぶる姿でも表現されます。これは、上エジプトと下エジプトを統一する王の象徴です。つまりホルスの姿そのものが「エジプト王権の正当性」を示す重要なシンボルでした。
さらに、ホルスの目(ウジャトの目)は護符として使われ、病気や災難から身を守る力を持つと信じられていました。古代エジプトの人々は、船や墓、装飾品などにこの目を刻み込み、安全や繁栄を祈りました。
英語で説明しよう!
Horus is often shown as a falcon or a man with a falcon’s head.
(ホルスは鷹、または鷹の頭を持つ人として描かれます。)
He wears the double crown, a symbol of Upper and Lower Egypt.
(彼は上下エジプトを表す二重冠をかぶっています。)
The Eye of Horus was used as a charm for protection and health.
(ホルスの目は守護と健康のお守りとして使われました。)
ホルス信仰の広がりとエジプト文化への影響
ホルスは古代エジプトで最も重要な神の一柱であり、その信仰は数千年にわたり広がりました。エジプト王は「ホルスの化身」と考えられ、王権の正統性を強調するために王名にも「ホルス名」が組み込まれていました。これは、王が地上におけるホルスの代理人であるという思想に基づいています。
また、ホルスの目(ウジャトの目)はエジプトを越えて知られる象徴となり、ギリシアやローマ時代にも使用されました。現代でも「アイ・オブ・ホルス」は装飾品やタトゥー、デザインモチーフとして人気があります。
さらに、ホルスはエジプト神話の中で「太陽の神」とも関連付けられ、日々の太陽の動きが彼の力と結び付けられました。このことから、ホルス信仰は自然信仰とも深く関わり、農業や生活の基盤を支える存在とみなされていました。
英語で説明しよう!
Horus was worshipped as a symbol of kingship in ancient Egypt.
(ホルスは古代エジプトで王権の象徴として信仰されました。)
Pharaohs were seen as living Horus on Earth.
(ファラオは地上における生きたホルスと考えられました。)
The Eye of Horus is still known today as a symbol of protection.
(ホルスの目は今でも守護の象徴として知られています。)
ホルスを英語で説明してみよう!

ここまでで、ホルスの神話やエピソードを学んできました。最後に、ホルスについて 英語で説明する練習 をしてみましょう。小学生でも話せるように、シンプルで分かりやすい英文にまとめました。
Horus is an Egyptian god with the head of a falcon.
(ホルスはタカの頭を持つエジプトの神です。)
He is the god of the sky and kingship.
(彼は天空と王権の神です。)
He fought against Set to protect his father Osiris.
(彼は父オシリスを守るためにセトと戦いました。)
The Eye of Horus is a symbol of protection and healing.
(ホルスの目は守護と癒やしの象徴です。)
まとめ|ホルス神話を学んで英語で伝えよう
ホルスは、エジプト神話の中でも特に有名な神のひとりです。タカの頭を持つ姿で描かれ、天空や王権を象徴しました。父オシリスを守るためにセトと戦い、「ホルスの目」という強力な守護と癒やしのシンボルを残したことは、後のエジプト文化に大きな影響を与えています。
今回の記事では、ホルスの神話的な役割や家族関係、象徴的なエピソードを整理しながら、英語で説明できる例文も学びました。短い英文を組み合わせるだけでも、しっかりと神話を紹介できることが分かったと思います。
神話を知ることは歴史や文化を学ぶきっかけになりますし、それを 英語で説明できることは国際的な視野を広げる第一歩 です。ホルスをきっかけに、他のエジプト神話の神々についても調べてみると、さらに楽しく学べるでしょう!


