「彼が来なかったので、私はまるまる1日無駄にしたわ」
「部署全体でディナーに行きました」
さて、この2つの英文に共通していることは何でしょう?
まるまる1日、そして部署全体という部分であり、一部ではない全体の・全部のという範囲で話しているところが共通点です。
この記事では、全体を表す英語entireまたwholeについて解説します。意味や正しい使い方を説明するとともに、entireとwholeの違いについても紹介します。
意外に使うことのある単語entireとwholeを、この機会に英会話に使えるようにしていきましょう。
entireの意味
本記事では似た意味を持つ2つの単語を取り上げますが、まず一つ目はentireについて紹介していきます。
entireで「全体の」「完全な」
entireは形容詞です。意味は「全体の・完全な」であり、カタカナ語の読み方はエンタイアのように発音します。その語源は「完全な・全体の」という意味を持つラテン語entireになります。現在のentireは一部も残さない全体、一つも残らず含まれていること、このことからまったく壊れていない、損傷も腐敗もしていない完全な状態を表現します。
ここで一つ、冒頭で出てきた「部署全体でディナーに行きました」という文でentireの意味を確認しましょう。皆さんも英文作りにトライしてみてくださいね。
まず、部署全体を英語でどう表現するかが本記事のポイントです。企業における部署はdepartment、では部署全体は?ということになります。
訳)部署全体で夕食に出かけました。
entireはdepartmentにかかる形容詞、1人も残さず全員が揃い一緒にディナーに出かけた様子をイメージしてください。
wholeの意味
本記事では、もう一つの単語wholeについても取り上げます。その上で、後ほどentireとwholeの違いについても解説しましょう。
wholeで「全部」「まるごと」
entireは形容詞でしたが、whole(ホール)は形容詞・名詞・副詞の使われ方があります。wholeもやはり全部や全体、損傷していない状態、まるごとと言うようにそれ自体で完結するものを表します。
冒頭のもうひとつの日本語文「彼が来なかったので、私はまるまる1日無駄にしたわ」をwholeを使って英訳してみましょう。「まるまる1日」部分にwholeが使えそうですね。
訳)彼が来なかったので、私はまるまる1日無駄にしたわ。
wasteは「無駄にする・浪費する」などの意味を持つ動詞、そしてmy whole dayとすることで自分の1日まるごと(=1日中)です。
訳)教師は、クラス全体の状況がひどいことに気づいた。
特定の時点で起こったことを一連の出来事を含めて把握するような全体的な状況をthe whole situationで表しています。
ところで、誕生日のお祝いに欠かせないのが誕生日ケーキ、それもホールケーキです。ホールケーキはハッピーバースデーの歌を唄ってお祝いした後、皆で切り分けて食べる大型のケーキですね。このケーキの英語はa whole cakeです。誰もまだ食べていない丸ごと全部の状態を表します。a whole pizzaなんても言えますね。
このように、wholeは物ごとが部分的に分けられておらず全てであること(1日まるごと・クラス内の状況すべて)を表現する言葉であることをしっかりと確認しましょう。
Entireで「完全な」
さて、話をentireに戻します。意味の一つに「完全な」がありました。ここでは、その意味と使い方についてさらに解説をしていきましょう。
entireで「完全な」
訳)球体は完全である。
訳)美しいヴィクトリア朝のアンティーク皿は完全な状態です。
傷や割れ目の入っていない、完全な元のままのお皿をentireで表現しています。
訳)遺体は無傷ではありませんでした。
逆に、完全な状態ではないこともentireを使い否定形で表します。
副詞entirelyで「完全に」
ここで、entireの関連用語である副詞entirelyを使った例文を一つ紹介します。entirelyには「完全に・まったく」の意味があります。
訳)それは完全に私のせいだった。
この例文からもentireの「完全な」の意味の理解が進むのではないでしょうか?
entireの使い方
続けて、entireの使い方のパターンを紹介します。その後に例文を挙げますので確認をしていきましょう。
entire+単数のパターン
entireを使用する際は、まとめて全体を一つと考えるためにentire+単数のパターンにします。
記事で最初に紹介したThe entire department gone for dinner.の例文ではentire department(部署全体)でした。
他にも例えば、the entire world(全世界)、the entire community(全コミュニティ)、the entire life(生涯)など、全体を指して表現するときにさまざまな使い方ができます。
entireの例文
entireは形容詞で「全体の」の意味があることを改めて例文でみていきます。
訳)私は飛行機でその本全部を読みました。
訳)彼の家族全員はスペインでホリデー中です。
訳)地震のため、その市全体で停電が起きました。
訳)私たちはこのプロジェクトの準備に、まる一ヶ月を費やしました。
entire+単数のパターンもだいぶ慣れてきましたね。
entireとwholeの違い
the entire world(全世界)という例を挙げましたが、これはthe whole world(全世界)とすることもできます。では、違いはどこにあるのでしょう?
entire vs whole
entireそしてwholeどちらにも、全部、全体という意味があります。同じ意味で使われるものの、2つの単語の違いは以下になります。
何かが完全で100%であることをさらに強調したい場合にはentireを選びます。一方wholeはホールケーキなど、分けられていない状態のニュアンスが含まれます。それに対して、entireは欠けていない完全の状態を表します。
There’s still an entire month left until my boyfriend’s birthday.
There’s still a whole month left until my boyfriend’s birthday.
どちらも「彼の誕生日まで、まる1ケ月ある」の訳になります。両単語の使い分けをしなくても、このように相手には通じるということも加えておきましょう。
Overallとentireの違い
全体という際、overallという単語もあります。最後に、overallそしてentireの違いも解説します。
entire vs overall
overallには形容詞で「全体の・全部の」、副詞として「全体に・全部で」といった意味があります。
entireはこれまで解説してきたとおり、何かの範囲や時間など欠けていない完全の状態を強く強調したいときの単語です。一方、overallはもう少し抽象的なものにも使われ、全体的な印象を述べるような場合に使用します。
訳)車の全体的な状態は十分良いので、購入しよう。
allの使い方
ちなみに、overallの一部に使われているallも「すべての・全部の・全体の」の意味を持っていて、皆さんに親しみのある単語です。allの使い方ですが、何かが複数あり、それをまとめる形からすべてと表現する際に使用します。ゆえに、すでに100%欠けていない「全部」のentireとの違いが明確です。
訳)日本食を用意した我が家のパーティでは、ゲスト全員が喜んでいました。
仮にentireを使う場合には、The entire guestですね。guestが単数形か複数形かという点もご確認ください。
まとめ
何も欠けていなく完全で100%の状態であることを強調したい場合に使う表現がentireです。一方、wholeは分けられていない状態のニュアンスが含まれます。
この機会に、entireやwholeを英会話に使えるようにしていきましょう。
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