「彼はアカデミックの分野で広い知識がある」

「誤解や思い込みがないように、アカデミックな視点で考えるべきだ」

以上のように学術的な分野のことを「アカデミック」と言いますよね。

そんな「アカデミック」を英語では”academic”と言いますが、どういう使われ方がされるのでしょうか?

この記事では、そんな「アカデミック」の英語表現と、アカデミック(学術的)な英語の身につけ方を紹介します。

アカデミック(academic)はどんな意味なの?

アカデミック(academic)はどんな意味なの?

アカデミックは英語にすると”academic”という綴り(スペル)になり、「学術の」や「学術的な」を意味する英語表現になります。

映画の賞である「アカデミー賞」を連想して映画に関わる単語だと勘違いしやすい(筆者も高校生の間ずっと勘違いしていました)ですが、これはアカデミー賞を与える側の組織が、「映画芸術科学アカデミー」(Academy of Motion Picture Arts and Sciences。AMPASと略される。)という名前だからです。

そして”academy”は「学校」や「学院」という意味なので、そのacademyがacademicと形を変えて「学術の」や「学術的な」の意味になるわけですね。

「アカデミック」のビジネスシーンでの使い方

アカデミック(academic)は上述した通り「学術の」や「学術的な」の意味で使われますが、大学院で研究されるような専門的な学問の分野で使われることが多いです。

特にビジネスシーンで「アカデミックな」と言われると、「実用上はともかくとして、論文や学会ではそう言われている」のようなニュアンスで、ビジネスシーンでの業務や一般社会での認知や認識とは「一歩引いた」意味合いで使われる場合も多いです。

「学術的な根拠の下に検証を続けるべきだ」といったポジティブなニュアンスと、「学術的にはそうだが、実務上ではどうかな」という一歩引いたニュアンスとでそれぞれ使われることがあることを把握しておくと良いですよ。

【例文】

  • Academic research suggests a correlation between employee satisfaction and productivity.
    学術的な研究は、従業員の満足度と生産性の相関関係を表しています。
  • While academically valid, we need to assess if these findings align with our operational realities.
    これらの結果は学術的に言えば妥当ですが、私たちの業務実態と合致しているかどうかを見極める必要があります。
  • It’s important to support decisions with academic evidence in our business strategy.
    ビジネス戦略では、学術的な証拠をもとに意思決定をサポートすることが重要です。

アカデミックな人ってどんな人?

「アカデミックな人」と言われると、以下のような人々を思い浮かべる場合が多いです。

  1. 研究者として大学で学術論文を書いったり、学術論文を書くために研究室で実験を繰り返している学者さん
  2. 企業や大学などで、技術開発や商品開発を目的とした「研究」を職業にしている「研究職」の方々
  3. 物事の考え方が、論理思考を優先していて「学術的だ」と感じさせる人

上2つは、物やサービスを売って利益を得る「ビジネス」とは少し違った、学術的な論文や研究結果などで社会に貢献している人たちを指すニュアンスで使われます。

一方で3つ目は、ビジネスシーンやプライベートで見かける人でも、上述した2つの「研究」的な視野で物事を考える人に広く使える表現だと言えます。

どの表現も、その人が持つ「学術的な」要素を指して「アカデミックな人」と言っているのがわかりますね。

アカデミックな英語を身につけるには?

アカデミックな英語を身につけるには?

アカデミックな英語とは、日本語で表すと「学術的な英語」となり、学術論文などを読むための英語力を指します。

学術論文を書いたり読んだりする学者や大学生、大学院生に限らず、社会人になっても自分の業界や商品に関わる知識を学術雑誌(science誌やnature誌など)で読む機会もあるでしょう。

例えば筆者は大学卒業後に、プラスチック製品を作る企業向けの大型機械を取り扱う会社に就職しましたが、その際にはプラスチックを含んだマテリアル(素材)に関わる学術雑誌の記事を、辞書をひきながらわかる範囲で読んでいました。

このように、学術的な英語を身につけるには、自分の業界に関わりがあるなど、背景知識を持っている分野の学術記事を英文で読んでみると大変身につきやすいです。

また、学術英語を磨くことの出来る以下のような検定試験(資格)もあります。

英検上位級

英検の上位級を勉強することで学術英語を磨くことが出来ます。

上位級というのは、具体的には1級と準1級、部分的には2級も挙げられます。

各級ごとにそれぞれ、1級は医学や学問の第一線で論文を読んで理解するレベル、準1級は海外の大学で論文の要約や学術記事の抜粋を読むレベル、2級は大学でレポートを提出するレベルの学術英語を学べるイメージです。

英検に並ぶ日本の英語資格としてTOEICが挙げられますが、学術記事の抜粋などの学術寄りの英語が使われるのは英検ですから、「学術英語」を意識するのであれば英検の方が身につくでしょう。

TOEFL

TOEFLはアメリカの語学機関である”ETS”が運営する英語の試験で、主にアメリカ本国の大学や大学院への正規留学、移民、就職試験などで英語力の指標として使われる大変権威のある英語資格です。

ETSは日本で有名な英語の試験である”TOEIC”を運営する機関でもあります。

TOEFLは英語が母国語のアメリカで英語力の指標として使われるわけですから、世界的に英語力を証明できる資格だと言えますね。

そんなTOEFLは、移民や就職試験で使われる「ジェネラル・モジュール」と、大学や大学院への正規留学に使われる「アカデミック・モジュール」があります。

学術英語を学べるのは「アカデミック・モジュール」です。

大学や大学院で研究できる英語力があるかを測る試験ですから、使われる英語に専門用語や学術用語が出てきて難しく感じますが、一方でジェネラル・モジュールと比べて総合的な英語の難易度は易しめだと言えます。(それでも簡単ではありませんが)

IELTS

IELTSは、上述したTOEFLのイギリスバージョンと考えて頂くとわかりやすいです。(イギリス人にそう言うと顰蹙〈ひんしゅく〉を買うかもしれませんが〈笑〉)

IELTSはイギリスの「ブリティッシュ・カウンシル」が運営する機関で、TOEFLと同じようにジェネラル・モジュールとアカデミック・モジュールがあります。

移民や就職でジェネラル・モジュールを、正規留学でアカデミック・モジュールが使われるのはTOEFLと同じで、TOEFLはアメリカ、IELTSはイギリスで指標にされやすい性質があります。(ただし、どちらも採用しているところも多いです)

学術英語を身につけるなら、やはりアカデミック・モジュールを学ぶと良いでしょう。

イギリス英語を身に着けたい、イギリス英語の方が得意、という方にも相性が良いですよ。

まとめ

この記事では、そんな「アカデミック」の英語表現と、アカデミック(学術的)な英語の身につけ方を紹介しました。

ここまでお読みのあなたは、「アカデミック」や「学術的」という言葉が日英ともにどんな風に使われるのか、そして学術の分野で書かれた英語をどんな風に読めるようになるのかを十分に知識を得ているでしょう。

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより充実したものにできれば幸いです。